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ケルビーノは、スーツ姿の新入社員といった雰囲気。ケイト・リンジーの見かけは、男の子っぽくてふさわしい。5重唱では見つかっておこられ、手錠で資料棚にくくりつけられる。その後の婚礼の合唱は、社員全員で社訓を読み上げているようだ。
フィガロのアリア中、ケルビーノはからかいまくられ、ネクタイを引っ張り取られ、ベルトも取られる。ズボンを降ろされトランクス姿となり、スギちゃんでもあるまいに、そでを引きちぎられる。フィガロはボロボロのケルビーノに、自分の上着をかけてあげる。
そこで気づいたが、幕ごとに場面の説明が付いていた。
第1幕 中央に大きな椅子を置いたがらんとした部屋
第2幕 アルコーヴ付きの立派な部屋
両方ともなにを言いたいのかわからない説明だ。
よくあるように、休憩は2幕の後だけなので、第1幕が終わると、右側にあった壁(厚さ20cm)が、左に動いて新しい部屋が見える。回転舞台かと思ったら、手動で壁を動かしているようだ。
当然、オフィスであるがロジーナの部屋である。ドレス、ミシン、衣装ハンガーなどがある。婚礼用のドレスの仮縫いなどをしているのだ。ケルビーノは、フィガロにボロボロにされたままの格好出てくる。が、スギちゃん袖の、引きちぎられ具合が違っているので、いちおう新しい衣装なのだろう。
細々と書いてきましたが、歌手が大事なアリアを歌っている最中に、なんやかやと作業をさせたり、変な姿勢で絡ませたりという演出は好きじゃない。音楽優先にしてもらいたい。パンツを広げたり、ブラを投げつけたりしていては、音楽の感動も薄れるというもの。そろそろバカバカしくなって、舞台の説明は省略しようかなーと思った。
ここまでは、演出が気になって音楽が良くなかったのだ。ところがどっこい、スザンナのアリア。このアリアは、そもそもがケルビーノに女装をさせるドタバタ劇中歌なので、こんな演出でも違和感がない。ここから音楽に集中できたのだ。
ロジーナ婦人は、下着姿になると、妊娠しているらしくお腹が出ている。(たぶんそうなのだろうが、そうでなかったらごめんなさい)。庭師のアントニオは、ビヤ樽のようにお腹が張っているが、これが普通の体型なのだろう。
フィナーレの最後、部屋の壁がバラバラに分割される。やっぱり手動なのだ。ここで、フィガロとバルトロは殴り合い。スザンナとマルチェリーナながーいブーケの綱引き。やっぱり大げさなドタバタだ。ただ、この後半に来てやっと、音楽が楽しめるようになった。ガーディナーのような快速演奏だ。
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