米塚
外輪山の中にある、小さい噴火口です。


あそこめ写真2

あそこめ写真


あそこめ2
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[2017/09/05 18:41] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
子供の絵
子どもの絵1

子どもの絵2

子どもの絵3

子どもの絵4

子どもの絵5

子どもの絵6

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[2017/07/04 19:22] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
吉野水分神社
吉野水分(みくまり)神社です。
時期をちょっとずらして、春に3回行きましたけれど、いつも桜が満開でした。
牡丹のような、ふわふわ丸い桜です。

吉野水分神社

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[2017/01/22 18:34] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
裏 ときのさと30 1
先日、「ときのさと」を30号に描きなおしましたが、それと同じところを。
やはり新たに発掘された「モネのパラソル」に、
「ときのさと」の反対向きを30号に描き始めました。
したがって、建物とか、田んぼとか、両側の木は同じものです。
続編であるこっちの方が、時間がかかりそうです。

裏とき0

裏とき1

裏とき3

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[2016/09/26 11:17] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
蒼いパルマイ河
蒼いパルマイ河 たぶん、北海道。

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[2015/08/14 07:58] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『タンホイザー』 バイロイト2014 第3幕
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 幕間には、またスターウォーズばりの文字の羅列が出てくる。それから舞台上でミサのようなものが執り行なわれること20分、演奏が始まる。序曲に似た前奏曲の間に、細胞を培養して、細胞分裂してしている映像が映る。いや卵子の回りを精子が取り巻いて、受精して、細胞分裂が始まったようだ。これはヴェーヌスのお腹の中にいる子供ってことだろう。乳房聖母の背後にその映像が重なる。この施設の掃除係みたいな巡礼者が現れる。タンクトップで、モップ、バケツ、ぞうきんを持っている。

 おおエリーザベトの衣装が、荒い手編みのセーターを全身に引き延ばしたような真っ白着ぐるみで、真っ白が故に普通の演出の神聖さに満ちあふれたエリーザベトだ。歌も良かったし、まともだ。エリーザベトが、こんなにエリーザベトらしいのはめずらしい。ギネス・ジョーンズやチェレスティーナ・カサピエトラ以来ではないかと思う。ただ歌い終わった彼女はバイオガスのタンクに自ら入る。ウォルフラムが外からかんぬきを掛ける。もう二度と出てくるなってことか。

 ウォルフラムのいまいち出来のよくない歌の後、チョコバナナみたいな飴を手に、ヴェーヌスが現れる。夕星の歌あたりでは、ウォルフラムとヴェーヌスがダンスを踊って仲良さそうである。その後、バイオガスのタンクのかんぬきが外れ、ドアからエリーザベトの手が出て、力尽きて倒れる。白いエリーザベトの映像が、乳房聖母の映像と重なる。

 ここから先のタンホイザーとヴォルフラムの対話は、どっちがヴェーヌスを得るかというのを競っているようだ。トルステン・ケールの声は、非常に聴きやすい。新国の「死の都」はとてもよかった。おそらくリチャード・ヴァーサルに似ているのだろう。だから生で聴いたら、ヘンデンなところは感じられないかもしれない。ローマ語りに入ると、もはや背景のクズなどどうでもよくなり、音楽に集中できる。いつもは長いこの場面が、あっという間に終わる。

 ヴェーヌスベルグへ戻ろう!ヴォルフラムも行こう。
ヴェーヌスは地下へ降りていき、掃除夫や精子くんなどの有象無象が出てくる。タンホイザーは死んだが、子供は生まれた。子供をみんなで回す。お腹のへこんだヴェーヌスは、なかなかカッコイイ。エリーザベトは二階から祈る。アムネリスみたいに地上で祈る。ヴェーヌスは地下のアイーダで、赤ちゃんを抱いて前に出て、勝利のガッツポーズ。


 プラトンが言うように、ヴァルトブルクの人々は、自分が縛られて動けないでいることも知らず、前で見せられている影絵を現実だと思っている。そんなやつらにエリーザベトは渡したくない。ヴェーヌスもエリーザベトも、タンホイザーだけが好きなのだ。タンホイザーだけが外の世界を見てきたからだ。美人は薄命だ、天才は短命、タンホイザーもソクラテスも、この世に長くいられない。

 見終わった後、興奮していたのである。。
私は猫の森に帰ろうっと。


Tannhauser
Ⅰ.58m12s Ⅱ.68m30s Ⅲ.50m16s
Musikalische Leitung : Axel Kober
Regie : Sebastian Baumgarten
Buhnenbild : Joep van Lieshout
Kostume : Nina von Mechow
Licht : Franck Evin
Video : Christopher Kondek
Dramaturgie : Carl Hegemann
Chorleitung : Eberhard Friedrich

Landgraf Hermann : Kwangchul Youn
Tannhauser : Torsten Kerl
Wolfram von Eschenbach : Markus Eiche
Walther von der Vogelweide : Lothar Odinius
Biterolf : Thomas Jesatko
Heinrich der Schreiber : Stefan Heibach
Reinmar von Zweter : Rainer Zaun
Elisabeth, Nichte des Landgrafen : Camilla Nylund
Venus : Michelle Breedt
Ein junger Hirt : Katja Stuber


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[2014/11/09 17:30] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『タンホイザー』 バイロイト2014 第2幕
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『タンホイザー』2014.8.12  バイロイト祝祭劇場 ライブ収録
Ⅰ.58m12s Ⅱ.68m30s Ⅲ.50m16s
指揮:アクセル・コーバー
演出:セバスティアン・バウムガルテン

タンホイザー:トルステン・ケール★
ヘルマン:ユン・クヮンチュル
ウォルフラム:マルクス・アイへ
エリーザベト:カミラ・ニールント
ヴェーヌス:ミシェル・ブリート  


 第1幕が終わった後、これは劇場でもこんなことをやったのか映像だけなのか理解できないのだが、台本読み合わせみたいな、それも指揮者の指示の入った、念入りなものが映し出される。リハーサルの初期段階のものなのか。それが長く続いた後、長い説名の字幕と、日本語訳が表示される。「149人という人数が最適だ」「人間の排泄物もバイオガスの精製に利用される」など読む気にならない。

 第1場は基本的にタンホイザーとエリーザベトが歌うところである。ヴォルフラムは灯油缶のようなものに、エタノールを注いだりの作業をしている。その間、エリーザベトに払いのけられる。どう見ても二人のじゃまをしているとしか思えない。二人はイチャイチャし、タンホイザーがエリーザベトにのしかかると、ヴォルフラムが割って入る。タンホイザーが長く歌うところでは、公証人らしき人が現れ、タンホイザーの手を取って、何枚かの書類にむりやりサインさせる。何か契約をしたのだろう。

 歌合戦の場に続々登場する。ヘルマンはいかにも東洋人体型で、顔が大きくて変だ。みんな034とか番号の入ったタンクトップを着ている。行進曲の間には、全裸でタンクやボイラーやトイレの使い方・歩き方のマニュアル映像がくり返し流れる。丸いヴェーヌスベルグの天上がちょっと持ち上がって歌合戦の中央舞台となる。回りにも二階にも人がびっしりと埋まり、なんだか普通の歌合戦ぽくなってきた。不良の牧童もヴェーヌスも目立った場所にいる。

 タンホイザー以外の歌手は、目のまわりに、黒をマジックで塗ったみたいなサングラス風な顔をしている。タンホイザーは時々ヴェーヌスのところへ行ってイチャイチャする。タンホイザーの最後の歌では、ヴェーヌスも舞台へ上がって一緒に踊る。これで正体がばれると、二人の乗った丸いヴェーヌスベルグが持ち上がってきて、階段を使い檻のようなものの中に入る。

 エリーザベトは剣を持って叫ぶ。それから手に刺して手を血だらけにする。円筒引っ込み、背景に乳房を出したマリア映像が映る。タンホイザーの白い服にも血がつき、エリーザベトの血は腕から両胸まで赤く染めた。他の騎士はバケツなどを持って後に控え、二人だけが前に出て、熱唱して幕となる。

 音楽はヴァルターが歌うところと、終結部からして、ドレスデン版のようだが、なんだか聴いたことのない音がする部分があった。回りの背景や演出はだんだん気にならなくなり、最後は普通に感動的であった。不思議なことに。

 ヴェーヌスベルグへ行ったとは、臨死体験した人とか、世に受け入れない天才芸術家のようで、トルストイ風、幸福な家庭には戻れないのである。ヴォルフラムやヴァルターやビテロルフの方が、洗脳されて幸福だと思いこんでいる。この演出の「自給自足型製造所」というヴァルトブルクは、自由な世界であるヴェーヌスベルグの食料生産基地と上排水施設ではないのか。そこで働く人よ、目を覚ませ。

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[2014/11/05 17:54] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『タンホイザー』 バイロイト2014 第1幕
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 2011年はHengelbrock、2012年はティーレマン、2013年と今年がAxel Koberという知らない指揮者である。いくら評判が悪いからといって、こんなに指揮者が変わるものだろうか。

 放送前の解説で、賛否両論を巻き起こしたなんて言っていたが、賛同する人がいるとは思えない。かねてからの悪評と静止写真だけを見て、演奏のみ録音して聴いていたときよりも、実際に見てみたら、怒り心頭覚悟で見ているせいか、演出家以外の皆様、なかなか健闘しているという印象を受けた。

 指揮で言うと、ティーレマンの時は、序曲のみクナッパーツブッシュなみの重厚演奏で期待させたが、その後はどうということもない。むしろ最初の年が、けっこう規範的な演奏で、年々つまらなくなってきているようだ。ティーレマンは代役で振ったのかもしれない。それにしてもやっぱり歌手が非力じゃないか。

 ヨープ・ファン・リーストハウスのアートを元にしたという、いろいろな薬品の入ったタンクなどの、舞台装置自体はおもしろいと思った。左右に3偕だての木組みがあり、2階と3偕はそれぞれ渡り廊下みたいなものが中央にある。中央奥には真っ赤な長い石油トレーラーのタンクのようなものがデンと置いてある。「アルコール製造器、日、月、火、水、木、金、土」と書いてあるドイツ語の訳が、歌詞の対訳とは別に画面上に出てくる。その他「エタノール」「バイオガス」「芸術・労働」「ガス洗い器」「真空ボイラー」などの字が出てくる。1階木組みの左右両方にもお客を入れている。そのタンクの上の方は、つまり2階3偕吹き抜けでスクリーンとなっている。舞台中央には、円筒形の鳥かごのようなヴェーヌスベルグが下からせり上がってくる。

 その他場面ごとに「No,1 産卵期」「No,2罰してください」「No,3 狩りの楽しみ」というサブタイトルも表示される。さらには、ここは自給自足型製造所など、なんたらかんたらという説明テロップが流れる。こういうところはNHKならではだろう。実際の舞台や、ライブ放映を見た人は、当然こんな日本語は見えないはずだ。

 まず序曲が始まる前に、舞台の準備をしている裏方さんや、シャツ姿の歌手が自分の衣装を見つけて着飾るところなどが映っている。ここはいい。この舞台に幕はなく、最初から舞台上でなにやらウロウロしている人がいる。暗くなっての、問題は序曲だ。序曲の間中、スクリーンに、レントゲンというか、肺呼吸しているあばら骨と心臓、食べ物を呑み込んでいる食道と胃、ゾウリムシやミジンコなどが映っている。序曲の演奏を台無しにしているとしか思えない。

 ヴェーヌスベルグでは、妊娠してお腹を膨らませたヴェーヌスに、もともとお腹の大きいタンホイザーが、机上位でやられてたり、他の囚人(に見える)も妙な小刻みな動きをして、やっぱりやっちゃってるようにみえる。回りには、奇形のオタマジャクシのような、たぶん着ぐるみ精子くんがふらふらしている。気分の悪いところはこれぐらいにしておこう。

 牧童は、酔っぱらったお兄さんで、タンホイザーが近づいて、「うっ、息が臭い」といったしぐさをみせる。1幕後半のウォルフラムが歌うところで、他のメンバーの誰かが、ベックメッサーの採点のようにポイントを計算して、「A」とかなんとか書いたボードを3回みんなに見せた。背後の上部のスクリーンにはいろんなものが出てくるが、乳房丸出しの聖母マリアが出ている時間が長い。もーいろんなことがありすぎて、音楽に集中できない。

 そのような悪いところをさっ引けば、(何も残らないとも言えるが)演奏自体はそれほど悪くない。こんな状況でよく頑張っているのかもしれない。シンナーと10色のペンキ缶を回りに置いて1日中巨大壁画を描いていたようなムカツキがしてきた。今日はここまで。なお、第2幕に続かないかもしれない。


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[2014/10/24 17:27] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
美瑛の木 1-1
これは美瑛で有名な一本の木ですね。

美瑛1-2

美瑛1-3
[2013/11/19 19:03] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
三色富良野 2
千田富良野3

千田富良野5

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[2013/10/04 22:54] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『タンホイザー』 レヴァイン指揮メト1982 第2・3幕
第2幕
 ローマ時代の元老員のような天井の高い建物内部。左右の壁面上部にはフィレンツェのヴェッキオ宮殿風の壁画が見える。中央部は吹き抜けで外の空が見える。2段階のアーチ式柱で支えられており、2階部分は人が通れる通路のようになっている。行進曲のトランペット隊はここに並ぶ。ここは窓かと思っていたら、全員登場の時に下の開口部の左右から階段を上るように歩いてこちらに出てくる。建物の正面入り口のようだ。ヘルマンとエリーザベトは客席側に立って、入場者を迎え入れている。

 中央には丸く3列くらいの板の長いすが置かれており、騎士はそれとは別の背もたれのない四角い箱に座る。導入部のヘルマンとヴォルフラムの歌が長く感じるが、パリ版でヴァルター部分がないため、その後は急速に過ぎる。タンホイザーよりもヴァルターの方がいい声に聞こえるので、ここはもったいない。ビテロルフの後のタンホイザー2回目の歌で、みんな意気って立ち上がる、ヘルマンが「静粛に」と声をかける。

 みんなの非難が集中する中、エリーザベト一人中に割って入り「Haltet ein!(待って!)」と叫ぶところ。他のライブ盤と同じでエリーザベトの声がオケの全奏からはみ出している。だがここでは、かなり長く伸ばしている。スタジオ録音ではオケと同じにピタッと納まるところでこんなに変えてもいいのだろうか。聴いている方はこの方が印象的だろう。

 ここでもやっぱりイマイチなタンホイザーのリチャード・キャシリー。最後の盛り上がりの部分では、声が出なくなるところもある。以前のビデオでルネ・コロもここのところで非常に苦しそうだった。ローマ語りよりもキツいのかもしれない。ヴォルフラムのベルント・ヴァイクルは、何も悪いところはないのだが、ディースカウが上手く歌うのがあたりまえのように、なんだか堅実すぎる。ヘルマンのジョン・マカーディは予想以上に良い。分かりやすくて聴き易い。ちょっと軽めなのかもしれない。

 エリーザベトのエヴァ・マルトンに、今まではよい印象を持っていなかった。歌も容姿も悪くないのに。映像で見るアンナ・ネトレプコのようなものだ。野太い声でなんとなくダルいような気がしていたのだ。もうちょっと高くてきれいな声は出ないのかね、なんて。タンホイザー役の反対ですね。ネトレプコが実際に聴いたら圧倒的に素晴らしい声だったのが効いているのかもしれないが、今回のマルトンは素敵だ。この感動的な第2幕フィナーレでは、目に涙を一杯ためて歌っている。分厚い合唱やオケの中を、声が突き抜けてくる。パリ版の管弦楽部分も、今度はうまい。盛り上がりに次ぐ盛り上がりで、不幸のどん底のような話が、これぞまさに大団円で終わる。


第3幕
 第1幕後半と同じで、背景は暗くかすんでいる。ヴォルフラムが奥の道から歩いてくる。エリーザベトは中央に倒れている。起きて歌い出すときには、巡礼団が左下から上って出てきて、右にぬける。オケの弦楽器はそのままに、序曲の最後のところでトロンボーンが吹く主題を合唱が歌う。左手前にマイルストーンのような柱が立っている。

 ヴォルフラムもエリーザベトも問題なくいい。エリーザベトは前よりも高い声が出ているようだ。第3幕は字幕がないとつらい。これはユーチューブで見ている。レーザーディスクで見たときは、フィナーレ合唱の言葉に感動したものだ。

 タンホイザーは杖をついて、モーセみたいなボロボロの衣装で現れる。歌は今までよりも安定して上手い。しかしまあ今ひとつですが。道の奥からエリーザベトを横たえた担架と、村の人々が現れる。手前に担架を置いて、その横でタンホイザーが同じように倒れている。新緑の芽が吹いた杖を持ってきた女性が、ヴォルフラムに渡す。ヴォルフラムは杖をエリーザベトの担架に立て掛ける。

 最後の場面では二人とも死んでいる。「さまよえるオランダ人」のような、二人の相手に対する葛藤とやりとりは、ここでは描かれず、フィナーレの音楽は、あの微妙な終わり方は、拍手にかき消されてどこで終わったのかわかりにくい。





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[2013/09/24 19:46] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
『タンホイザー』 レヴァイン指揮メト1982 第1幕
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 最初に「タンホイザー」を見たのは、NHK放映されたベルリン国立歌劇場来日公演である。それから向かう、図書館にはLPとVHSでフィリップスのワーグナー全集が揃っている。全部バイロイト収録のものだ。LPはサヴァリッシュの名盤、VHSはコリン・デイヴィス1978年の、これまた有名な映像。ところが、今はもうどこにもないであろうパイオニア・レーザーディスクのコーナーに、クラシックではただ一組「タンホイザー」があった。(他は、チャイコフスキーのくるみ割り人形とアニメ映画)

 そのディスクは館内利用のみの貸し出し禁止である。貸してもらっても再生装置なんて誰も持っていないからいいのだけれど。映画のVHSなどもたくさん置いてあって、いやそっちが主流か、ヘッドホンをつけ図書館内で見ている人もたくさんいた。私が図書館でじっくり3時間も見通したのは、この時だけである。


ジェイムズ・レヴァイン指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団・合唱団 ビデオ ★
オットー・シェンク演出 1982年11月22日・12月20日(2時間56分)
Ⅰ.65m16s Ⅱ.61m04s Ⅲ.50m38s

ヘルマン:::::ジョン・マカーディ★
タンホイザー:::リチャード・キャシリー
ヴォルフラム:::ベルント・ヴァイクル★
ヴァルター::::ロバート・ナジ
ビテロルフ::::リチャード・J・クラーク
エリーザベト:::エヴァ・マルトン★★
ヴェーヌス::::タチアナ・トロヤノス★
牧童:::::::?


第1幕
 幕が開くと、鍾乳洞か洞窟の穴の中。手前の広場から、やや右奥のトンネル穴に向かって上り道がある。序曲~バッカナールでは、やはり裸に近いダンサーが組んず解れつ踊っている。しかし穏健派なメトである。ベルリンやバイロイトの「こんなのテレビで映していいのー」と叫ぶほどのものではない。裸に近く見えるタイツの上に、スケスケな薄いドレスをはおっている。演奏も穏健なせいか、いつもより長く感じる。

 ダンサーが徐々に立ち去ると、いつのまにか中央の床に二人が倒れている。(いや、寝ている)タンホイザーのリチャード・キャシリーは、リチャード・ヴァーサルみたいに高くて細い声。歌い出しでプロンプターの声がする。非常に安定しない歌唱だ。しかもいきなり大汗をかいている。これを見る直前にヴェンコフとジョーンズの映像をちょっと見たので、それに比べると雲泥の差だ。後半はヴェーヌスのタチアナ・トロヤノスもプロンプターの声がかぶる。ただトロヤノスの声は立派だし容姿もふさわしい。タンホイザーは騎士らしいガウンを羽織っている。ヴェーヌスは普通のドレスで、決して乳房など出していない。(と、当然だ)遠方、後の方で数人のダンサーがダンスを続けている。やっぱりパリ版だろうから第2場が長い。

 床面と穴に向かっていた坂道だけ残して、後は空と山の書き割りに変わる。牧童の歌は、ライブだと素朴で美しく感じる。草笛も妙にへたっぴーで味がある。その右に向かっている坂道から巡礼団が出てきて、牧童がビックリ。巡礼団が左側に歩いていくと、いつのまにかその先にタンホイザーが倒れている。(これは寝ているのではなくて、倒れているのだろう)先ほどまで汗びっしょりの顔だったのに、拭いてきたのだろう、スッキリしている。

 騎士団も、巡礼団と同じように登場するかと思っていたら、左奥下、右、右上と三方向から一気に出てきた。ヴォルフラムとヴァルターの声が、しっかり聞こえる。歌の合いの手のように入る繊細なヴァイオリンがいい。タンホイザーもバリトン風の低音が出て、調子を上げてきたようだ。パリ版追加の管弦楽部分はぎこちない演奏だ。こういうところは小澤がうまかった。レヴァインは全体的に、ややゆっくりした演奏。





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[2013/09/22 19:44] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
「タンホイザー」 準推薦盤の逆襲
2012バイロ1s



 そういうわけで、久しぶりに「タンホイザー」を聴いてみた。
 いちばん最初に取り上げたカラヤン盤、音が悪いので2回ぐらいしか聴いていないボダンツキー盤、そして、最近とんと新録音がないのでバレンボイム盤だ。しかし、しばらく聴いていなかったので、どれも感動的で存在意義がある(に違いない)。しばらく聴かないでおくのもいいものだ。(なぜ2回言う)

 今回、本当にいいと思う3組は棚上げにした。以下そのキャスト。
タンホイザー、エリーザベト、ヴォルフラム、ヘルマンの4人に絞る。

ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団★★★ 
1962年 バイロイト祝祭劇場ライブ 「ドレスデン版」 フィリップス
ヘルマン:::::ヨーゼフ・グラインドル
タンホイザー:::ヴォルフガング・ヴィントガッセン★★
ヴォルフラム:::エーベルハルト・ヴェヒター★
エリーザベト:::アニア・シリア★★

オットー・ゲルデス指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団・合唱団 
1968年12月、1969年2月、5月 「ドレスデン版」 ドイツグラモフォン
ヘルマン:::::テオ・アダム★
タンホイザー:::ヴォルフガング・ヴィントガッセン★
ヴォルフラム:::フィッシャー=ディースカウ★
エリーザベト:::ビルギット・ニルソン★

ジュゼッペ・シノーポリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 ★★
 1988年4月から8月録音 「パリ版」 ドイツグラモフォン
ヘルマン:::::マッティ・サルミネン
タンホイザー:::プラシド・ドミンゴ ▽?
ヴォルフラム:::アンドレアス・シュミット
エリーザベト:::シェリル・スチューダー★★

 高名なコンヴィチュニー盤と、そのようでもないハイティンク盤(ポップが聴きたいからね)、ラモン・ヴィナイの歌うカイルベルト盤などはまだ聴いていない。それで以下に挙げる3組の何が悪いのかというと、ようするに、主役がいまいちなのだ。上のなかでも、ドミンゴとニルソンはちょっと黄旗、審議中であるが、ほぼ万全の体制。サヴァリッシュ鬼神の指揮以外の演奏も、指揮は立派である。

 それで久しぶりに聴いて、新たに感じた部分について何か書こうかと思っていたのだが、以前の記事を読み直してみると、ほぼ、いや思った以上に書いてあったので、いまさら書き加えることはないような気がしている。

 こちらも、あらためて指揮は特上だし、合唱までも楽器のひとつのように、完全にコントロールして、溶けあっている。特にバレンボイム盤は、珍しく序曲を完奏しているのだが、最後の、パリ版ではバッカナールに移行するときにカットされるところが本当に素晴らしい。トロンボーンが主題を歌うなか、弦楽器が波のように押し寄せる。クナッパーツブッシュみたいだ。

 このバレンボイム盤ではドレスデン版であるが第1幕第2場のみパリ版、カラヤン盤はパリ版であるがヴァルターの歌が入っている。(いいことだ)サヴァリッシュやシノーポリも序曲のつなぎの部分が違う。もうほとんど全盤違う(ような気がする)。基本ドレスデンで、もうちょっとどうにか良い版ができないものか。


ダニエル・バレンボイム指揮 ベルリン国立歌劇場 2001年5月6月★
「ドレスデン版」(第1幕第2場のみ「パリ版」)テルデック
ヘルマン:::::ルネ・パーペ
タンホイザー:::ペーター・ザイフェルト
ヴォルフラム:::トーマス・ハンプソン
エリーザベト:::ジェーン・イーグレン

カラヤン指揮 ウイーン国立歌劇場 1963年 ★
1963年1月8日 ライブ録音 「パリ版」モノラル ドイツグラモフォン
ヘルマン:::::ゴットロープ・フリック
タンホイザー:::ハンス・バイラー
ヴォルフラム:::エーベルハルト・ヴェヒター
エリーザベト:::グレ・ブラウエンステイン

ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団 録音:1936年1月18日
指揮:アルトゥール・ボダンツキー 「パリ版」
タンホイザー ラウリッツ・メルヒオール
領主ヘルマン エマニュエル・リスト
エリーザベト キルステン・フラグスタート
ヴォルフラム ローレンス・ティベット

 この準推薦3盤は、主役が弱いのであるが、どういうわけかヴォルフラムとヘルマンは、他の盤に比べても十分すぎるくらい立派だ。ルネ・パーペとトーマス・ハンプソンも良い。ローレンス・ティベットとエマニュエル・リスト。なんでこんなすごい声量で歌うのだ。メルヒオールとフラグスタートがかすむじゃないか。

 カラヤン盤は、古いモノ録音なのに弦が美しい。ウィーン国立歌劇場の威力か。それぞれのパートが少しずつズレていったり、揺れていたのがちゃんと合わせて重なったりの繊細な響きに魅了される。これトリスタンじゃないよね。ウィーンってベームのライブでもときたま何とも言えない美しい瞬間がある。

 タンホイザーは、メルヒオールいちばん、ヴィントガッセン2番、だと決めつけている。むりして5番は、スパス・ヴェンコフとライナー・ゴールドベルク。リッチャレッリがどっかで言っていたが、歌手は1に声量、2に声量、3、4がなくて、5に声量だそうな。だから7番以降はもはやだれでもいい。。それにしてもニルソンとフラグスタートがひかえめなのに驚く。彼女らはブリュンヒルデかイゾルデでないと力を出さないのか。

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[2013/06/16 17:53] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
東京春祭 オペラの森《タンホイザー》4月5日
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☆ 1階前方に空きが目立つ東京文化会館と変わった舞台設定。


 写真をとってきました。舞台上を見ると、昨年と違って、いや、昨年は中止だった。一昨年の「パルジファル」の時には、普通の演奏会形式で、指揮者の左右に歌手が陣取っていた。ところが今回は、普通いっぱいに展開したオーケストラの奥の、合唱団席の前にソリストが立つ。

 わたくし4階のいちばん右端。なんとなく指揮者を真上から見下ろしているような席ですな。そこから見ると、通常の高価なセンター席に座っている方々からは、歌手がものすごく遠いように、ここからは見えます。1階席の前方も、思いっきり席が空いていますが、そんなところに座りたいとも思いません。

 簡単にいうとそうなんですが、実はよーく見ると、かなり見たことがない変な舞台をしています。オーケストラ部分は面積は同じながら、前段は低くなっています。舞台手前までいって確認しました。なんと、オペラの時に沈下する通常のオケピットの部分だけ、30センチほど低くなっています。いつもは2mぐらい低くなるところがです。それより奥の部分は、いつものオーケストラコンサート状態。ほんのちょっとだけ、段差があるのです。

 そして、その2段構えのオケの後ろに、2mほど高くなって歌手と、合唱団の席があります。9人の歌手の分の、楽譜台の所のみ、ほんのちょっと前へせり出しています。歌手の人数分の白いイスが目立ちます。その後ろに4列の板だけのながーいベンチに合唱団が座ります。第1幕では2列、第2幕以降は4列です。

 さらに、その後ろにスクリーンを置いて、景色が映ったり、室内が映ったりのほとんど動かない映像付き。ここに対訳も映る。
 舞台左側の壁、時計のあるところの裏側、ここにモニターがあって指揮者の姿が映っている。私たちの座っている、端っこの席でしか見えないが、これって合唱団員が見るのだろうね、きっと。以前見たタンホイザーでは、合唱指揮者が、そこから棒を振っていた。でも、うっとおしい。

 第1幕、牧童の歌の時だけ、オケの袖からイングリッシュホルンのお姉さんが出てきて、吹き終わるや引き上げていった。誰も動いていないので、歩いて出てくるのがどうも奇妙だった。そしたら、終結部では、12人のホルン隊がぞろぞろ出てきて、迫力いっぱいの咆吼を。うーん、序曲といい、さすがはN響、力がある。

 第1幕の終結オケのみ、パリ版っぽい演奏であったが、序曲、ヴァルターの歌、第2幕の終結はドレスデン版。指揮者の実力か、オケの部分は、普段のオペラで聴いているよりも、格段に充実している名演ではないかと思う。

 歌手に関しては、代役のヴェーヌス以外は、気持ちがいいくらい、とても声が出ていて良かった。ただし、ローマ語りが進むにつれて、タンホイザーの声が苦しくなって来たのが、ちょっとした残念。

 「パルジファル」の時も、そう思ったのだが、非常に優れた素晴らしく充実した演奏であった、という印象は持ったのであるが、なぜだか冷静で、感動はしなかった。先日の藤原『フィガロの結婚』の、指揮者以外は特にいいとは思わないのに、終わってみれば、感動していたというのと正反対だ。



4.5 [木] 17:00開演(16:00開場)東京文化会館 大ホール
指揮:アダム・フィッシャー
タンホイザー:ステファン・グールド
エリーザベト:ペトラ=マリア・シュニッツァー 
ヴェーヌス:ナディア・クラスティーヴァ
ヴォルフラム:マルクス・アイヒェ
領主ヘルマン:アイン・アンガー
ヴァルター:ゲルゲリ・ネメティ
ビーテロルフ:シム・インスン
ハインリッヒ:高橋 淳
ラインマール:山下浩司
牧童:藤田美奈子
管弦楽:NHK交響楽団
合唱:東京オペラシンガーズ
合唱指揮:マティアス・ブラウアー、宮松重紀

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[2012/04/06 19:10] | タンホイザー | トラックバック(1) | コメント(0) | page top
『タンホイザー』 2011バイロイト音楽祭 実況ラジオ放送
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 先輩yokochanさんのブログより影響を受けまして、ハンガリーのラジオ放送で、今年のバイロイト「タンホイザー」を聴きました。写真やキャストの日本語訳も参照させていただいております。多謝!!


 さて、「タンホイザー」中継を放送で聴くのは、25年ぶりぐらいです。その昔、ソニーからベータハイファイという、画期的なビデオデッキが発売されて、ビデオテープに高音質で8時間くらいまで録音ができるようになりました。いままでカセットテープにオペラを入れるのに苦労していたことを考えると、夢のような機械でした。

 そこでまずは、NHKFMでのとりわけ長いワーグナーに挑戦したのです。その時の「タンホイザー」は、有名になりかけのジュゼッペ・シノーポリ指揮で、代役で出た新人のシェリル・スチューダーとリチャード・ヴァーサルが一躍有名になりました。

 今回の演奏が、じつはその時のシノーポリの演奏、というよりも、出てくる音がものすごく似ているのです。バイロイトのピットの音だから同じようにきこえるのかもしれませんが、有名なサヴァリッシュの演奏とは全然違っています。


 歌手はほとんど新人ばかりの、それもライブですから、レコードになっているような演奏の歌唱ほどのインパクトはありませんが、なかなか堂々たる歌です。指揮者も聞いたことのない人ですが、まるで大家の風格です。(大げさでした (^o^;) シノーポリのような、ミョーに引きずるテンポのゆれはありませんし、新国立劇場の指揮者にありがちな?中途半端な解釈で、曲を把握していないのではないかと思わせるような、数年後に期待!みたいな新人ではありません。

 演奏の、版については、またまたおかしいところがあります。シノーポリの時も、後でレコーディングしたときと全然違う版で、ビデオ収録したのもさらに別のモノで、恐らく「バイロイト版」みたいなものを押しつけられているのでしょうが、こんなのも聴いたことがありません。いちおう、シノーポリやサヴァリッシュとは違うかたちの「ドレスデン版」でスタートします。

 完結する序曲、第2幕ヴァルターの歌入り、第2幕の幕切れは「ドレスデン版」ですが、どういうわけか第1幕終結部だけ「パリ版」で追加された演奏が入ります。(またまた第1幕第2場は検証していない)このちょっとだけ「パリ版」は、けっこう、良い考えかもしれないとも思う。実は、ほとんど違和感がない。

 第3幕の終結は、ちょっとテンポをゆるめすぎだと思う。ここはフワッと終わりました~ではなくて、推進力を持って上昇しながら、ワープして別世界へ行ってしまうような。なんのこっちゃ? いや、良い演奏でした。(演出は評判悪いけど)


トマス・ヘンゲルブロック指揮 バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団 
2011.7.25 バイロイト祝祭劇場ライブ 「ドレスデン版」にしておこう。
演出:セヴァスティアン・バウムガルテン

ヘルマン:::::ギュンター・グロイツベック
タンホイザー:::ラルス・クレーヴマン
ヴォルフラム:::ミカエル・ナジ
ヴァルター::::ロータ・オディニウス
ビテロルフ::::トーマス・イェサッコ
エリーザベト:::カミラ・ニールント
ヴェーヌス::::ステファニー・フリーデ
牧童:::::::カーチャ・ステューバー
ハインリッヒ:::アルノルト・ベヅゥィエン
ラインマル::::マーティン・シュネル

Wagner: Tannhäuser Háromfelvonásos opera
Szövegét a zeneszerző írta
Vezényel: Thomas Hengelbrock, km. A Bayreuthi Ünnepi Játékok Zenekara és Énekkara (Karigazgató: Eberhard Friedrich)
Rendezte: Sebastian Baumgarten

Szereposztás: Tannhäuser - Lars Cleveman (tenor), Hermann őrgróf - Günther Groissböck (basszus), Wolfram von Eschenbach - Michael Nagy (bariton), Walther von der Vogelweide - Lothar Odinius (tenor), Biterolf - Thomas Jesatko (basszus), Heinrich der Schreiber - Arnold Bezuyen (tenor), Reinmar von Zweter - Martin Snell (basszus), Erzsébet - Camilla Nylund (szoprán), Vénusz - Stephanie Friede (mezzoszoprán), Pásztorfiú - Katja Stuber (szoprán),



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[2011/07/28 21:42] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
『タンホイザー』 ボダンツキー1936メト
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 ☆

 古ーい「タンホイザー」の録音をひとつ。
タンホイザーといえば、(トリスタンとかも)ラウリッツ・メルヒオールですが、あまり持っていません。ワルター/ウィーンの「ワルキューレ」第1幕、ほぼ同じメンバーの「ジークフリート」、それとオペラアリア集があります。

 この当時を体験した人の書いたものを読むと、その後のヴィントガッセンでも半人前、あとは歌手がいないようです。たしかウォルター・レッグも、リングを録音しないのは、テノールがいないからだと言っていました。

 私の実演経験からしても、女声では、すばらしい圧倒的な声の歌手が何人かいるのですが、男声ではライナー・ゴールドベルク(スパス・ヴェンコフもよかったかもしれない)だけです。

 フラグスタートの後は、いちおうニルソンがいるのですが、メルヒオールの後はヘンデン・テノールがいないのです。そして、オペラアリア集でのタンホイザーが非常によかったので、期待していたのですが、さすがにライブ、音が悪い。

 第1幕第2場のセリフ部分は確認する気にもならないが、その他を聴く限りでは、パリ版。たぶんヴァルターも歌っていない。ただ音質のせいで、追加された1幕、2幕のオケ部分の違和感は少ない。まあ、そんなことどうでもいい気分ということだ。

 3枚目のCDには、別の日録音の3曲が付録としてついているが、こっちのほうがよく聴こえる。昔のSPを再生しているような、針音いっぱいの音質だが、原盤の状態が違うのだろうか。

 さて歌の内容だが、メルヒオール良さは、非常にわかりにくい。単独で歌っているところでは立派な声のようにも聞こえる。ところが他の歌手と掛け合っているところでは、そうでもないのだ。どちらかというとフラグスタート、リスト、ティベットの方が、素晴らしく、声に力があるように思える。終幕に備えて声を抑えているのだろうか。

 もうちょっと時間をかけて聴いてみましょうか。

 
ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団 録音:1936年1月18日
指揮:アルトゥール・ボダンツキー

タンホイザー ラウリッツ・メルヒオール
領主ヘルマン エマニュエル・リスト
エリーザベト キルステン・フラグスタート
ヴォルフラム ローレンス・ティベット
ワルター ハンス・クレメンス
ハインリッヒ ジョルダーノ・パルトリニエッリ
ビテロルフ アーノルド・ガボール
ラインマル ジェームズ・ウォルフ
ヴェーヌス マーガレット・ハルステッド
牧童 エディタ・フライシャー

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[2011/07/25 20:53] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
「タンホイザー」のディスコグラフィー
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「タンホイザー」も大方終わったので、我が家のディスコグラフィーを作ってみました。記憶の範囲で良いと思ったものに★を入れてます。
タンホイザーとエリーザベト、そしてヴォルフラムに関してははっきりしているのですが、他の配役はまだつかめていません。
総合ではサヴァリッシュ盤、歌手はゲルデス盤ですね。



ヴォルフガング・サヴァリッシュ指揮 バイロイト祝祭管弦楽団・合唱団★★★ 
1962年 バイロイト祝祭劇場ライブ 「ドレスデン版」 フィリップス

ヘルマン:::::ヨーゼフ・グラインドル
タンホイザー:::ヴォルフガング・ヴィントガッセン★★
ヴォルフラム:::エーベルハルト・ヴェヒター★
ヴァルター::::ゲルハルト・シュトルツェ
ビテロルフ::::フランツ・クラス
エリーザベト:::アニア・シリア★★
ヴェーヌス::::グレース・バンブリー
牧童:::::::マルグレーテ・ガルデッリ
ハインリッヒ:::ゲオルグ・パスクダ
ラインマル::::ゲルト・ニーンシュテット



カラヤン指揮 ウイーン国立歌劇場 1963年 ★
1963年1月8日 ライブ録音 「パリ版」モノラル ドイツグラモフォン

ヘルマン:::::ゴットロープ・フリック
タンホイザー:::ハンス・バイラー
ヴォルフラム:::エーベルハルト・ヴェヒター
ヴァルター::::ヴァルデマール・クメント
ビテロルフ::::ルートヴィヒ・ヴェルター
エリーザベト:::グレ・ブラウエンステイン
ヴェーヌス::::クリスタ・ルートヴィヒ
牧童:::::::グンドゥラ・ヤノヴィッツ



オットー・ゲルデス指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団・合唱団 
1968年12月、1969年2月、5月 「ドレスデン版」 ドイツグラモフォン

ヘルマン:::::テオ・アダム★
タンホイザー:::ヴォルフガング・ヴィントガッセン★
ヴォルフラム:::フィッシャー=ディースカウ★
ヴァルター::::ホルスト・R・ラウベンタール
ビテロルフ::::クラウス・ヒルテ
エリーザベト:::ビルギット・ニルソン★
ヴェーヌス::::ビルギット・ニルソン★
牧童:::::::カテリーナ・アルダ
ラインマル::::ハンス・ゾーティン



ゲオルグ・ショルティ指揮 ウイーン・フィル
1970年10月 「パリ版」 デッカ

ヘルマン:::::ハンス・ゾーティン
タンホイザー:::ルネ・コロ★
ヴォルフラム:::ヴィクター・ブラウン
ヴァルター::::ヴェルナー・ホルヴェーク
ビテロルフ::::マンフレート・ユングヴィルト
エリーザベト:::ヘルガ・デルネシュ
ヴェーヌス::::クリスタ・ルートヴィヒ
牧童:::::::ウイーン少年合唱団員



コリン・デイヴィス指揮 バイロイト祝祭管弦楽団 1978年 ビデオ ★
ゲッツ・フリードリッヒ演出 バイロイト祝祭1978年7月 ユニテル

ヘルマン:::::ハンス・ゾーティン
タンホイザー:::スパス・ヴェンコフ★★
ヴォルフラム:::ベルント・ヴァイクル
ヴァルター::::ロベルト・シュンク
ビテロルフ::::フランツ・マツーラ
エリーザベト:::ギネス・ジョーンズ
ヴェーヌス::::ギネス・ジョーンズ
牧童:::::::テルツ少年合唱団員



オトマール・スイトナー指揮 ベルリン国立歌劇場来日公演 1983 ★
エアハルト・フィッシャー演出 1983年5月7日 NHKホール
NHK教育で放映されたもの

ヘルマン:::::ジークフリート・フォーゲル
タンホイザー:::スパス・ヴェンコフ★
ヴォルフラム:::ユルゲン・フライヤー
ヴァルター::::ペーター・ビンツス
ビテロルフ::::ペーター・オーレッシュ
エリーザベト:::チェレスティーナ・カサピエトラ
ヴェーヌス::::ウテ・トレケル=ブルクハルト
牧童:::::::カローラ・ノセック



尾高忠明指揮、西澤敬一演出 東京フィルハーモニー交響楽団 二期会合唱団
1988年2月15日 東京文化会館

ヘルマン:::::池田直樹
タンホイザー:::リチャード・ヴァーサル
ヴォルフラム:::木村俊光
ヴァルター::::近藤伸政
ビテロルフ::::松本進
エリーザベト:::大川隆子
ヴェーヌス::::清水祥子
牧童:::::::西森由美


ジュゼッペ・シノーポリ指揮 フィルハーモニア管弦楽団 ★★
コヴェントガーデン王立歌劇場合唱団  
1988年4月から8月録音 「パリ版」 ドイツグラモフォン

ヘルマン:::::マッティ・サルミネン
タンホイザー:::プラシド・ドミンゴ
ヴォルフラム:::アンドレアス・シュミット
ヴァルター::::ウイリアム・ペル
ビテロルフ::::クルト・リドル
エリーザベト:::チェリル・スチューダー★★
ヴェーヌス::::アグネス・バルツァ
牧童:::::::バーバラ・ボニー


ジュゼッペ・シノーポリ指揮 バイロイト祝祭管弦楽団 1989 DVD ★
ヴォルフガング・ワーグナー演出・総監督
Ⅰ.51m46s Ⅱ.74m23s Ⅲ.58m10s

ヘルマン:::::ハンス・ゾーティン
タンホイザー:::リチャード・ヴァーサル
ヴォルフラム:::ヴォルフガング・ブレンデル
ヴァルター::::ウィリアム・ペル
ビテロルフ::::ジークフリート・フォーゲル
エリーザベト:::チェリル・スチューダー
ヴェーヌス::::ルートヒルト・エンゲルト=エリ



ゲルト・アルブレヒト指揮 ハンブルク国立歌劇場 ハリー・クプファー演出
1996,6,2 NHKホール NHKBSで放映されたもの

ヘルマン:::::ハラルド・シュタム
タンホイザー:::ルネ・コロ
ヴォルフラム:::アンドレアス・シュミット
ヴァルター::::ペーター・ガリアルト
ビテロルフ::::ジークフリート・ロレンツ
エリーザベト:::ナディーヌ・セクンデ
ヴェーヌス::::リヴィア・ブダイ
牧童:::::::レナーテ・シュピングラー


ダニエル・バレンボイム指揮 ベルリン国立歌劇場 2001年5月6月
「ドレスデン版」(第1幕第2場のみ「パリ版」)テルデック

ヘルマン:::::ルネ・パーペ
タンホイザー:::ペーター・ザイフェルト
ヴォルフラム:::トーマス・ハンプソン★
ヴァルター::::グンナー・グートビョルンソン
ビテロルフ::::ハンノ・ミューラー=ブラッハマン
エリーザベト:::ジェーン・イーグレン
ヴェーヌス::::ヴァルトラウト・マイアー★
牧童:::::::ドロテア・レッシュマン


 
小澤征爾指揮 東京のオペラの森管弦楽団 合唱団 ロバート・カーセン演出
2007年3月18日(日) 15:00開演 東京文化会館 大ホール

 タンホイザー::::ステファン・グールド
 エリーザベト::::ムラーダ・フドレイ
 ヴェーヌス:::::ミシェル・デ・ヤング
 ヴォルフラム::::ルーカス・ミーチェム
 領主ヘルマン::::アンドレア・シルベストレッリ
 ヴァルター:::::ジェイ・ハンター・モリス
 ビーテロルフ::::マーク・シュネイブル
 ハインリッヒ::::平尾 憲嗣
 ラインマール::::山下 浩司

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[2007/10/22 11:28] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
ジュゼッペ・シノーポリ指揮 バイロイト祝祭管弦楽団 1989 DVD
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 ブログを始めたときに、東京オペラの森公演の予習をこめて、まず取り上げたのが「タンホイザー」でした。そのときにもれていたものが手に入りました。シノーポリ指揮のDVDで、凡庸な演出に定評のあるヴォルフガング・ワーグナーの手による「タンホイザー」です。演出も歌手の見た目もよくないので、対訳だけ見て、後は音楽に集中しましょう。

 この映像は、映画版によくある「口パク」の音声と映像が別に撮られたものかと思っていたら、ちゃんと同時にライブ感覚で撮ったもののようです。しかしその分、同じバイロイト録画のデイヴィス盤よりも安定せず、迫力にも欠けます。

ジュゼッペ・シノーポリ指揮 バイロイト祝祭管弦楽団 1989 DVD
ヴォルフガング・ワーグナー演出・総監督
Ⅰ.51m46s Ⅱ.74m23s Ⅲ.58m10s

ヘルマン:::::ハンス・ゾーティン
タンホイザー:::リチャード・ヴァーサル
ヴォルフラム:::ヴォルフガング・ブレンデル
ヴァルター::::ウィリアム・ペル
ビテロルフ::::ジークフリート・フォーゲル
エリーザベト:::チェリル・スチューダー
ヴェーヌス::::ルートヒルト・エンゲルト=エリ

 歌手では、エリーザベトのチェリル・スチューダーは素晴らしいものの、他の歌手はパッとしません。しかしなにせバイロイトですから、そこそこの水準は維持しています。実演で見たことがあるだけに残念なのですが、タンホイザーのリチャード・ヴァーサルがいただけません。コロでもちょっと高めでタンホイザーらしくない声だと思うのですが、もっと高くて細い声で、全然ヘンデンテノールじゃありません。歌い方もヴァルター役のテノールが急遽代役で登場したような、小泉チルドレンのような心細さがあります。実際にコロの代役として「タンホイザー」でバイロイトデビューしたのですが。そして映像では、指揮者を見ているのかカンペでも見ているのか、ちらちらと視線を下に不自然に動かしています。最近ではペーター・ザイフェルトが似たような高い声でワーグナーを歌っていますね。

 このプロダクションは1985年に始まっているのですが「ドレスデン版」です。その後1988年に、ドイツグラモフォンでスタジオ録音されたものは、タンホイザーをドミンゴに変えて「パリ版」で演奏されています。そしてその次の年にバイロイトでこの映像が収録されました。この様子から判断すると、シノーポリは口をつぐんでいますが、「ドレスデン版」にしたのはヴォルフガング・ワーグナーの意向にそったものだと思われます。

 CDでは、特に第1幕・第2幕の終結部、「パリ版」に代わった部分のみシノーポリがやけに張り切って指揮しているようで、全体の流れからするとちぐはぐになっているような気がします。したがって今回の「ドレスデン版」の方が落ち着いて聴いていられますし、ライブに近い臨場感もあります。

 「ドレスデン版」ですが、サヴァリッシュ盤のように序曲は完結せずにバッカナールへと流れ込んでいます。しかし、どうも序曲がおかしかったので見直してみると、序曲からヴェーヌスが歌い出す第2場まで普通は20分以上かかるのだが、なんと12分しかかかっていません。序曲を思いっきりカットしてつないでいるようです。ここまで変えていいのだろうか、と思ってしまう。

 ヴォルフラムのヴォルフガング・ブレンデルはいつもそれほど印象に残らない歌手だが、1996ハンブルク国立歌劇場来日公演での歌唱よりもいくぶん旨く歌っているようだ。エリーザベトのチェリル・スチューダーはかなりいい線を行っているのだが、スタジオ録音盤に比べると神々しさに欠け、迫力が弱い。第2幕タンホイザーがみんなに責められエリーザベトが「待って!」と叫んで止めにはいるところ。オケの全奏から声が飛び出してはいるものの、さらに延びがほしい。ここはガツンと一発決めるところです。そこから最後までの歌唱も迫力に乏しい。つまり演出も歌手もこれといっていいところはない。

 このDVDの魅力はひとえに、ジュゼッペ・シノーポリの指揮にある。スタジオ録音盤もそうであるが、「タンホイザー」において、他の指揮者と全く違う表現をしている。ショルティ盤に対するカラヤン盤「ジークフリート」のような、ゆっくりソフトで繊細な演奏です。クナッパーツブッシュなどのように遅いところもあるが、決して重くゴツゴツした演奏ではなく、あくまでソフトタッチな演奏。羽毛で体を撫でられているような、妙な気持ちよさがある。各幕の終結部になるとさらに遅く、ソフトにふわっと締めている。この陶酔感、他では味わえません。

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[2007/10/07 00:35] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
アルブレヒト 1996ハンブルク国立歌劇場来日公演
 これはNHKで放映されたものの自家録画です。持っている人も多いでしょう。かつて1984年のハンブルク国立歌劇場来日時は『魔笛』『影のない女』日本初演を体験しました。指揮はまだあまり名前の知られていなかったクリストフ・フォン・ドホナーニ。レオニー・リザネク、ギネス・ジョーンズ、ヘルガ・デルネシュ、ロベルト・シュンク、クルト・モル、ヘレン・ドナートという、そうそうたる歌手が出ていて、すばらしい公演でした。

 指揮とオーケストラとダンサーはなかなか健闘しているものの、歌手の凋落ぶりははなはだしいと思わざるを得ないです。期待のルネ・コロは、実演と同じで、歌い回しはうまいものの声が弱い。ヴォルフラムのアンドレアス・シュミットは、これまたシノーポリ盤と同じで面白みがない。しかし、第3幕がいいので、最後には感動させられました。

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ゲルト・アルブレヒト指揮 ハンブルク国立歌劇場 ハリー・クプファー演出
1996,6,2 NHKホール

ヘルマン:::::ハラルド・シュタム
タンホイザー:::ルネ・コロ
ヴォルフラム:::アンドレアス・シュミット
ヴァルター::::ペーター・ガリアルト
ビテロルフ::::ジークフリート・ロレンツ
エリーザベト:::ナディーヌ・セクンデ
ヴェーヌス::::リヴィア・ブダイ
牧童:::::::レナーテ・シュピングラー

 舞台中央奥を中心とした大きな壁が、コンパスのように動いて場面転換する。ちょうどベルリンの壁崩壊と時期が重なるが、動く壁はそれとは全く関係がないという。人々はそういう解釈を加えたがりますが、全くナンセンスなことです、と指揮者が力説していた。よほど評論家たちに言われたのだろう。

 始めにタンホイザーが舞台中央で二つの壁に挟まれもがいている。タンホイザーがそこから抜け出すと、二つの壁は右側に移動し、左側のヴェーヌスベルグがあらわになる。右側に移動した壁の側面にはテレビモニターが15個あり、何やらいかがわしそうな映像が流れている。舞台には巨大ギリシャ大理石像の顔が横倒しに置いてあり、その上にグランドピアノのが乗っている。ふたを開けた白いピアノで、中からふたに向かって光を当てているので、ふたの白さだけが浮き立って目立つ。ピアノの上にヴェーヌスが静かに腰掛けている。

 バッカナール時は、タキシードを着て下半身は下着だけの男性が数人横になって寝ていて、その上で体をこすりつけるように踊る女性、ピストン運動風に上下に動く女性などがいる。その前を、黒い下着の女性、網タイツ姿の女性、シルクハットをかぶっている下半身下着の男性などがうろうろ。黒いブラをはずして男たちを誘惑すすSM女王さま風の女性。Tバックだけで上半身は丸出しの4人組の女性が、輪になって回転しながら通り過ぎるなど、舞台はたいへんな騒ぎ。壁を抜け出したタンホイザーが、分厚い壁の上から前方1回転しながら舞台中央の群衆の中へ飛び降りる。これは当然コロではなくてダンサーがやっているのだろう。暗くて顔が良く見えない。

 タンホイザーは三揃えのスーツの上着を取った状態、白いワイシャツにベストといった現代風の格好で、ヴェーヌスも普通のドレス。一騒ぎ収まると舞台上は、ベッドの上のタンホイザーとヴェーヌスのみ。ベッドの周りと背もたれにはネオン管が巻いてあって光を放っている。歌い出しはコロも上々ではあるが、ヴェーヌスのリヴィア・ブダイは、悪いところが見あたらない。コロよりも声も通っているみたいだ。

 ヴェーヌスベルグから飛び出して、牧童が出てきても舞台はそのままで背景が暗くなっただけの状態。牧童の歌が終わってから、右側にあった壁が左側に開いてヴァルトブルグの岩肌が現れる。すわるわけでもないのに、イスを並べる人たちもいる。

 騎士たちはタキシードに袈裟のような幅20㎝ぐらいの帯を、片方の肩から垂らしている。ヘルマンのハラルド・シュタムが、昔は不良だったが改心しいい人になった、”ちょい悪おやじ”のような雰囲気を漂わせている。ポケットに手を入れたりもする。声は立派なものの、首を傾けながら歌うところが、ちょっと変だ。

 ヴォルフラムのアンドレアス・シュミットはやはりつまらない。ものすごくごく普通にうたっている。どこも悪いところはないが、教科書のようだ。あまり魅力がないのがヴォルフラムだと言われれば、これでいいような気もする。

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 第2幕が始まってエリーザベトが登場する。ナディーヌ・セクンデという歌手、顔が男っぽいので直視できない。おそらく実演では問題ないと思うが、アップではきつい。歌はなかなか良いだけに、映像向きではない人といえるだろう。おまけに彼女、セーラー服っぽい衣装を着ている。おそらくドイツでは問題ないのだろうが、コスプレ好きの中年のおばさん、またはおじさんに見える。ものすごい違和感。先日の小澤征爾の「タンホイザー」の他の人のコメントを見ても、エリーザベトやヴェーヌスが美しいとか見栄えがするという意見の人もいた。しかし、私はときどき双眼鏡で見ていたので、もうちょっと見かけも感動的な歌手はいないものだろうかと疑問を持ってしまった。ギネス・ジョーンズとかドナートとか、ポップとかグルベローヴァとか、よかったですよ。ついでにコロも、無理して声を張り上げている様子が痛々しい。そういうわけで主役二人の、顔を見ないようにして鑑賞するのもなかなかたいへんです。

 歌合戦の場面になると、舞台奥に斜めに8列ぐらいの階段席が置かれている。右側が前に、左側が奥に向かうような斜めである。現代のタキシード・ドレスを着ている市民が雑と200人ぐらいすわる。ヴォルフラムがまず歌ってタンホイザーが反論したところで、エリーザベトが立ち上がって駆け寄り拍手する。こんなおおっぴらに賛辞を表すのは見たことがない。他の人は顔をしかめているのだから、控えめに喜びを表すのが普通なのに。わかりやすい。

 ヴァルターは高くてきれいな声で、とてもヴァルターらしい。ビテロルフのジークフリート・ロレンツは、スイトナー指揮のマイスタージンガーでベックメッサーを歌っていた人だ。いささか無理をして、興奮した様子で声を出している感じだ。自然ではない。

 エリーザベトの「待って!」の声は、よくきこえない。管弦楽が終わったあとでもはっきりしない。横を向いて歌っていたから、たまたまマイクに遠かったのかもしれない。それ以降はだんだん声が通るようになってくる。このあとの、第2幕最後の終了3分ぐらい前のエリーザベトが声を張り上げて歌う良いところが、ばっさりカットされて、いきなり合唱・間奏・ローマへ!で終わる。なんだこのカットは?


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 いろいろ問題のある歌手陣だけれど、第3幕はなかなか頑張って健闘している。とくにヴォルフラムとエリーザベトは、見直してしまうぐらい良い。「エリーザベトの祈り」も「夕星の歌」も、特に熱演でも、変わった歌い方をしているわけではないが、感動させられる。タンホイザーは、やはりうまい。しかしなんだか声が安定していない。いつ声が出なくなるんじゃないかと不安にさせる、精いっぱい絞り出しているような声だ。役にのめり込んでいるというよりも、発声が苦しそうだ。

 サヴァリッシュ指揮の「オランダ人」の時、ゼンタのバラードの途中で、苦しそうだなと思っていたら、ユリア・ヴァラディの声が出なくなった時間があった。そのあと持ち直したのだけれど、はらはらした。ルネ・コロのタンホイザーもそんな感じで非常に痛々しい。もうちょっと若い頃、聴きたかった。

 オケの演奏は堅実でドイツ風、ときどき情熱的になるものの、ごく普通の演奏だと思う。演出の方が断然おもしろい。「ローマ語り」が終わる頃、ヴェーヌスベルグとこちら側を隔てる壁が動いてだんだん迫ってくる。さらに壁が中央に来て、ヴェーヌスがこっちへ来なさいと、歌い出す。タンホイザーが向こう側に行こうとするのを、必死で止めるヴォルフラム。タンホイザーは2枚の壁の間に挟まれる。そこでヴォルフラムの「エリーザベト」の声。タンホイザーはそこから抜け出す。エリーザベトの死体が前を横切り、ローマ法王も僧侶も合唱団も、若葉の生えた杖も出てくる。法王が許しを与えるポーズを、そこで舞台が暗くなる。2枚の壁が動き出し、舞台中央でヴォルフラムが壁に挟まれ、苦悩の表情をみせて終わる。

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[2007/04/16 08:59] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
サヴァリッシュ指揮 バイロイト音楽祭1962年盤 第3幕
 意外にもぼくとつで丁寧な始まりかた。洗練されているわけでも、颯爽としているわけでもない。「タンホイザーの巡礼行」と名付けられた前奏曲は、第2幕から何ヶ月かたった時間の経過を現しているが、力強さのある分、そういう時間的雰囲気はやや弱い。
 つづくヴォルフラムの歌、巡礼の合唱からエリーザベトの「彼は帰ってこない!」に至る部分は、たいへんな緊張感を持って運ばれる。

 「エリーザベトの祈り」はちょっと早めのテンポながら、感情がのって「オランダ人」のゼンタのように、命を懸けている感じが一番よく表現されているのではないか。感情のまま、自由に歌って、指揮者が彼女に合わせているかのようだ。

 よくよく考えたら、このサヴァリッシュ盤は、ほとんどのキャストをがっちりとベテランで固めていながら、指揮者とエリーザベトが異常に若いのである。サヴァリッシュは、史上最年少でバイロイトを指揮してから5年後であるし、シリアにいたっては、21か22のはずである。

 アニア・シリアは1940年ベルリン生まれ。天才少女として、10才の時に公衆の前で歌い、15才の時にヴラウンシュヴァイク歌劇場で「セヴィリアの理髪師」ロジーナを歌ってデビューしている。その後、ツェルビネッタ、ミカエラ、夜の女王、トロヴァトーレのレオノーラ、コンスタンツェ、フィオルディリージ、サントゥツァ、ホフマンの女性役、トゥーランドット、フィデリオのレオノーラなどを歌い、1960年にゼンタでバイロイト初登場を果たす。ほんとうに、アニア・シリア恐るべし、でしょう。

ヴォルフラムの夕星の歌もいい。カラヤン盤と違って、しっかりと音楽に乗って歌っている。オケの湖の上に気持ちよさげに浮かんでいるかのようだ。シュミットのように全く個性がないのも困るが、ディースカウのように個性丸出しでもいただけない。その点、ヴェヒターはしっかりヴォルフラムになりきっている。二人の掛け合いも自然だ。ただし、シリアやヴィントガッセンのように、自由奔放に歌っているわけではなく、緊張感を持って意識的に格調高く歌っているようだ。

 タンホイザーのヴィントガッセンは、ゲルデス盤よりも、やはり若くて声に力が入っている。自然に強弱がはっきり出ているようだ。適当に歌い飛ばしているような感じがするぐらい楽々と剛胆に歌っている。歌い方の間といい、他の歌手にはちょっと真似が出来ないものを持っている。ローマ語りもとても良い。

 第3幕の歌唱のみに関して言えば、ゲルデス盤も、ヴィントガッセン、ニルソン、ディースカウで素晴らしいのであるが、主役3人が役になりきっている自然さで、このサヴァリッシュ盤が群を抜いていると思う。

 ライブであるための、咳などの会場ノイズや、プロンプターの声、演奏の荒さもかいまみられるが、臨場感は強く出ており、本当にこの演奏を体験しているかのような感動を与えてくれる。バイロイトの管弦楽と合唱団の迫力は、他盤では感じられないものだ。終結部までどんどん盛り上がり、最後にやっぱりちょっとテンポが乱れ、いくぶんゆっくりになり、ふっと力が抜けたように終わる。

 このころのサヴァリッシュの演奏は、クライバーやシノーポリも蹴散らしてしまうばかりの力がみなぎっている。カラヤンに疎まれるのも当然の勢いだ。刺激的な演奏を繰り広げたクライバーやシノーポリは、指揮者としては若くして亡くなった。サヴァリッシュも「タンホイザー」のような演奏を続けていては早死にしていただろう。
 そして、ヴォルフガング・サヴァリッシュはまだ生きている。

テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

[2007/04/07 22:06] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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