ジークフリート スカラ座2012 バレンボイム
baren sieg2012-3



 昨年末にミラノ・スカラ座シリーズで放映された、ギー・カシアス演出、バレンボイム指揮の2010年収録の『ラインの黄金』。そして見ていませんが同年『ワルキューレ』もありました。今年は、それに続く2012年収録の『ジークフリート』が年末に放映されました。


ジークフリート…ランス・ライアン
ミーメ…ペーター・ブロンダー
旅人…テリエ・ステンスヴォルト
アルベリヒ…ヨハネス・マルティン・クレンツレ
エルダ…アンナ・ラーション
ブリュンヒルデ…ニナ・シュテンメ
鳥の声…リナット・モリア
ファフナー…アレクサンドル・ツィムバリュク

ダニエル・バレンボイム指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団
ギー・カシアス演出


 バレンボイムの演奏が、以前のバイロイトよりもいいかどうかは疑問ですが、『ラインの黄金』のことを考えても、非常に美しい画面で、わかりやすい演技、役にふさわしくない容姿の歌手もなく、とても良い公演だと思います。こんなことはめったにないのです。

 ミーメとジークフリートの声が、ミーメが低くて、いつもと反対のような違和感があるが、衣装にメイクに演技はイメージ通り。舞台転換も舞台装置も美しい。昨年買い換えた、大画面の液晶テレビにも満足できる。

 まだ第2幕までしか見ていない。第3幕はちょっと苦手なので。


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[2012/12/30 23:25] | ジークフリート | トラックバック(0) | コメント(4) | page top
新国立劇場「ジークフリート」第2幕 ミーメと森の小鳥
100223新国



新国立劇場オペラ公演「ジークフリート」
2010年2月23日(木)14時開演 新国立劇場オペラ・パレス

ダン・エッティンガー指揮  東京フィルハーモニー交響楽団
初演演出:キース・ウォーナー

 ジークフリート:クリスティアン・フランツ
 ミーメ:ヴォルフガング・シュミット
 さすらい人:ユッカ・ラジライネン
 アルベリヒ:ユルゲン・リン
 ファフナー:妻屋秀和
 エルダ:シモーネ・シュレーダー
 ブリュンヒルデ:イレーネ・テオリン
 森の小鳥:安井陽子


 長大なワーグナーの『ニーベルングの指輪』の中で、もっとも好きなのがジークフリート第1・2幕です。理由はカンタン、ミーメが出てくるからです。誰でも最初に聞くショルティ盤とベーム盤、ついでにカラヤン盤なんぞを聴いて、声量不足のヘンデンテノールよりもずっとミーメの方に魅力を感じた。

 その他では、カイルベルト盤を除いて、ジークフリートはあまり楽しめない。私がジークフリートを好きだと思っているのは、もしかすると、シュトルツェとヴォールファールトが好きなだけなのかもしれない。

 今回のミーメ、ヴォルフガング・シュミットはとてもいい。もうちょっとくずして歌ってくれたらもっといい。といっても、生でジークフリートを聴くのは、今回が初めてなので、なんの説得力もないが。昨年、「ヘンゼルとグレーテル」で、グラハム・クラークを聴いて、この人もいい声をしていると思った。ミーメを歌う歌手って、なんて素敵なのだろう。

 やっぱり、いつも思うのだが、主役のジークフリートよりも、ミーメの方が声に力がある。今回のジークフリートは評判がいいみたいだが、私が思うに、ミーメに劣るのはもちろん、さすらい人、アルベリヒ、ファーフナー、森の小鳥?にも劣る。ジークフリートとブリュンヒルデは、もっと声出さんかいー!



 それで、忘れちゃいけない、忘れられない「森の小鳥」。
 安井陽子さんは、昨年、見ていない方の『ナクソス島のアリアドネ』でツェルビネッタを歌ったらしい。じゃあ、もうちょっと透明な声が出せるんじゃあないかとも思ったが、とびきりカワイイから、なんでも許す。ブリュンヒルデも、ワルキューレの時の歌手の方がいい顔をしていた。

 「森の小鳥」がこんなに目立つ演出って見たことがない。だいたい、裏で歌うか、出てきても控えめにしているものだ。青い着ぐるみに、黄色のくちばしと足をつけた、とてもかわいい、ひときわ目立つ衣装での登場だ。歌う前は、そのかっこうでジークフリートと遊んでいる。

 歌うときは、ワイヤーで吊され、しかもかなり速く上下左右に動かされてから歌う。私は、かなり前方、横の方の席から見ていたので、舞台に登場する前の袖で、手をジタバタしながらつり上げられていく彼女も見えた。かなり上の方から、いきなり登場するのだ。
その時は、顔と黄色い足はとって身軽になっていた。

 動きが速い上に、途中で、体が上下逆さまになった状態でしばらく静止していたので、もしかして機械の故障か?と思わせヒヤヒヤした。よくこんな状態で、歌ったものだ。その後、小屋の上から、ミーメとジークフリートの対話を見ていたり出ずっぱり。

 もちろん下では、と言うか本来の舞台では、ミーメが本音をしゃべるところでは、TVモニターから歌うなどの、極めて重要な場面が続くのだが、右上の方で「森の小鳥」がうろうろしているのが気になってしょうがなかった。いや、それが妙に楽しかったのだ。

 第2幕フィナーレで、彼女は舞台後にまわり、素速く色っぽく?、着ぐるみを脱いで、白いタイツ姿になり、奥の出口から飛び出していく。何やら銀色の着物を持って行った。双眼鏡でしっかり見たので、タイツ姿は、こっちが恥ずかしくなった。ともかく、またしてもジークフリートを見ているヒマもなく第2幕が終わった。

 カーテンコールでは、また着ぐるみを着て現れた。顔と足はつけていない。いちおう女性なので、こんな役なのに、誰よりも先にひっこむ。普通は登場しないはずの第3幕で、ジークフリートよりも先に、防火服を着た小柄な女性が、ブリュンヒルデのいる部屋へ入る。タイツ姿の小鳥が持っていたのは、火を消すための防火服だったのか。これに気づいていない人もいると思う。

 そして、ちょっとだけ第3幕にも出たので、第3幕のカーテンコールにも「森の小鳥」が登場。こんどは着ぐるみの上に、黄色の足まで付けて。ジークフリートとブリュンヒルデよりも目立つじゃないか。

 最後まで「森の小鳥」に持っていかれてしまった。


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[2010/02/26 00:56] | ジークフリート | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
ジークフリート  ロリン・マゼール指揮バイロイト1968
 新潮オペラCDブックの特別版として出たものですが、CD全16枚組。予想はしていましたが、解説書が1冊にまとめられているので、分割できないのです。今までのこのシリーズは、現在メジャーレーベルから発売されていない、隠れた名ライブ演奏と、原作の台本なども加えた、詳しい解説付きのCDブックでした。


ロリン・マゼール指揮バイロイト祝祭管弦楽団
(1968年8月1日/バイロイト祝祭劇場にて、ライヴ収録/モノラル録音)

さすらい人・…………‥…・・…‥‥……‥……・…‥‥‥………‥‥‥テオ・アダム 
エルダ‥‥…‥‥…・…‥……‥…‥…‥‥‥……・‥………・………マルガ・へフゲン
ジークフリート‥…‥…………・………‥‥…‥…‥‥‥……‥…‥ティチョ・パーリー
アルベリッヒ‥‥…‥……・……‥…・……‥…・………‥…グスタフ・ナイトリンガー
ミーメ……‥‥‥……・………‥……‥……・………‥…‥…ゲルハルト・シュトルツェ
ファフナー…‥……………‥‥………・……・…………‥‥…‥‥ヨゼフ・グラインドル
ブリュンヒルデ…‥・……………‥…‥…‥…・…・・…………ペリット・リンドホルム
森の小鳥……・…‥‥…‥‥………………・…・……………‥‥‥‥…エリカ・ケート


 オペラはライブが最高!と、いままでの付属CDの演奏には、その優れた点を賞賛した文章が載せられていました。カラスのアイーダ、ニルソンのトゥーランドット、ギャウロフのドン・ジョヴァンニなどです。ところが、今回は、分厚い解説書のどこを探しても、マゼールの演奏をほめているところは見つかりません。

 そもそも、バイロイトのライブは、その名演は、ほとんど発売されているはずです。したがって、ここでのマゼールの演奏は、目新しいものではあるけれど、あえてCDブックとして出す必要があるのか、疑問符がつきます。ショルティの全曲盤以来『ニーベルングの指輪』はたくさんスタジオ録音されていますし、バイロイトのライブとしても、ベーム盤にバレンボイム盤、最近出たカイルベルト盤ありと、もうたくさん。

 なにゆえここに、音質の悪いモノラル盤で、全曲通して聴く気になるでしょう。おまけに、ベーム盤と同時代なのに、ニルソンとヴィントガッセンがでていません。まあ、この2人が入っていないから、発売できたということはあるのでしょうけれど。音質としては、「フルトヴェングラー・ローマ歌劇場」ぐらいのものです。

 しかしながら以前、マゼールの「ワルキューレ第1幕」CDには感心したので、ワルキューレ第1幕とジークフリート第1幕をとりあえず聴いてみました。

 「ワルキューレ第1幕」は、ベーム盤と同じ配役で、やはり歌も演奏も悪くありません。マゼールもなかなかやるなと思いますが、わたしはジークリンデを歌うレオニー・リザネクは好きではありません。音も悪いし。これだったら、第1幕、ワルターの演奏でも聴いていた方がいいような気がします。

 「ジークフリート」ですが、主役はどうでもいいけれど、ゲルハルト・シュトルツェのライブ・ミーメが聴きたくて、まあ、それだけで聴きました。ショルティ盤とカラヤン盤という、スタジオ録音の最初の二つで、双方に登場しているのがシュトルツェです。ホッターやヴィントガッセンの影も薄くなる、極めつきの名演ですが、ライブではどうでしょう。

 有名なところでは、サヴァリッシュの「タンホイザー」ライブで、ヴァルターを歌っていますが、並のテノールにしか聞こえません。ベームのライブでは、ミーメ役のエルヴィン・ヴォールファールトが、演技とは思えない迫真の名演を披露していますが、シュトルツェはだいじょうぶなのか。 

 だいじょうぶでした。ショルティ盤みたいな魅惑的な声を出しています。ライブなんだからもうちょっと荒っぽいのもありかな?とは思います。その他のテオ・アダム、グスタフ・ナイトリンガー、ヨゼフ・グラインドルといった鉄板は、何の不安もないです。ティチョ・パーリーという、全く聞いたことのないテノールも、低い方がしっかりしていて悪くないです。マゼールの指揮は、ワルキューレ第1幕の方が、魅力的でした。

しかしまあ音質が…
わしゃあ、カイルベルト盤があればええ!!(冗談です)



    

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[2009/12/24 22:16] | ジークフリート | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
ジークフリート ツァグロゼク シュトゥットガルト歌劇場 2002 後編
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ローター・ツァグロゼク指揮 シュトゥットガルト州立管弦楽団
演出:ヨッシ・ヴィーラー   装置&衣装:アンア・フィーブロック
2002年10月1日、2003年1月5日
Ⅰ.81m29s Ⅱ.75m50s Ⅲ.81m19s 


ジークフリート:ジョン・フレデリック・ウェスト
ミーメ:ハインツ・ゲーリング
さすらい人:ヴォルフガング・シェーネ
アルベリッヒ:ビョルン・ワーグ
ファフナー:アッティラ・ユン
森の小鳥:ガブリエラ・ヘレーラ
エルダ:ヘレーネ・ラナーダ
ブリュンヒルデ:リサ・ガステーン

第3幕

 エルダは部屋の真ん中で、なにかを書いている。ヴォータンはサングラスで、ずっと同じ。若作りのおじいさん。ヴォータンであるが、ジークフリートとの絡みの終盤、「俺が無くした片目なのだ!」と言いながらキャップを取ると片目がつぶれている。今までは帽子の影で見えなかったのだ。

 ジークフリートとブリュンヒルデの場面に移行する間、舞台上に白い正方形が映ったり、オーケストラが映ったりして、舞台を見せない。その間に、舞台セットがガラッと変わる。真っ白いホテルの一室。左にはキングサイズのベッド。舞台中央奥の化粧台の前で、椅子にすわって寝ているらしいブリュンヒルデ。全体が白く、床も白いアクリル盤で光っている。2001年宇宙の旅の、宇宙船の中を思わせる。ワルキューレのように、壁の真ん中に真っ黒の穴が空いている。

 全てが白く光っているために、ブリュンヒルデには影が見えない。「影のない女」?ブリュンヒルデは、ワルキューレの時と違って、ちゃんとした女性らしいロングドレスを着ている。髪は金髪。しかし、ジークフリートに勝るとも劣らぬ巨漢。外人の女性は、たとえば「柳原可奈子」や「渡辺直美」などとは比べものにならない迫力がある。

 ドレスかと思ったら、上に羽織っていたコートを脱ぐと、ジークリンデと似たような白い下着。そしてベッドに横たわって、おいでおいでと誘う。

 ジークフリートはあいかわらず「Sieg Fried」と書かれた、血の付いたTシャツを着ている。しばらくは、ベッドに入らず、横のソファーにすわっている。やっぱり彼は見苦しい。そして、一部はベッドの上でくんずほぐれつしながら歌う。ブリュンヒルデ、シーツを引っ張りながらの終景となる。

 ブリュンヒルデのリサ・ガステーンは、あの素晴らしいプロムスでの『ワルキューレ』で歌っていたが、今回は声がよく通らない。これは録音のせいだろう。この場面に限らず、みんな声の威力が感じられないから。なぜもうちょっと声を大きく収録しないのだろうか。まあ、どっちにしても、再び見る気にはならないビデオだ。

 現在、「神々の黄昏」も見始めているが、全シリーズ中、このジークフリートがいちばん見劣りがするのではないかと思う。


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[2008/12/19 20:40] | ジークフリート | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
ジークフリート ツァグロゼク シュトゥットガルト歌劇場 2002 前編
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ローター・ツァグロゼク指揮 シュトゥットガルト州立管弦楽団
演出:ヨッシ・ヴィーラー   装置&衣装:アンア・フィーブロック
2002年10月1日、2003年1月5日
Ⅰ.81m29s Ⅱ.75m50s Ⅲ.81m19s 


ジークフリート:ジョン・フレデリック・ウェスト
ミーメ:ハインツ・ゲーリング
さすらい人:ヴォルフガング・シェーネ
アルベリッヒ:ビョルン・ワーグ
ファフナー:アッティラ・ユン
森の小鳥:ガブリエラ・ヘレーラ
エルダ:ヘレーネ・ラナーダ
ブリュンヒルデ:リサ・ガステーン

 この『リング』は一作づつ異なった演出家を起用する、ということですが、ここまで見た感じでは、それなりに統一感があります。中央の壁面に大きな穴が開いているところがそれぞれの作に出てくるし。服装は、同じような現代的なもの。
 
第1幕

 オーブンなどのある現代的過程の台所。ただし壁は、前作のように2階まで吹き抜けで、工場のよう。暖炉の上には、鍛冶屋の火の上にある煙突と同じような、排気管がある。
ミーメが剣を鍛える音は、ジャガイモの皮むき器で、食材を入れたアルミボールをたたく。

ジークフリートと書いた、白のTシャツ。その上に毛皮のコートを羽織っている。金髪でものすごく太っている。子供体型。新国でやったジークフリートのタイトル役と同じ歌手のようだ。

 ミーメは普通のサラリーマンのおとうさん。庶民的なセーターを着ている。歌い回しと、声はいまひとつ。

ヴォータンはサングラス、キャップをかぶり、ジーンズに革ジャン、ピストルでミーメを脅す。ただし、60歳以上のおじいさんに見える。

 長大なジークフリートがノートゥンクを鍛える場面で、ミーメはおかゆらしきものを料理している。ハンマーをたたくところでは、別に音を出しているのではなくて、ちゃんとジークフリートが音を出しているようだ。金床にハンマーでたたくのだが、叩くたびに、どういうわけか、火花が飛んで効果的だ。

 最後に、2Fの左ドアから人が扉をあけて「あれっ、間違えた!」というふうにドアを閉めた。


第2幕

ベルリンの壁ではないが、国境線のよう。高い棒に金網、いちばん上に有刺鉄線。素足で左右へうろうろして、吸っていたタバコを消すアルベリヒ。下には吸い殻がたまっている。吸い殻のたまり具合から、ずいぶん前からここで待っていたことが分かる。

 今までに比べて、シンプルな舞台装置のために、ドラマに集中できて、好感が持てる。ただし、小鳥もファーフナーも現代人の衣装というのはどうかと思う。


 ジークフリートは、金網をやぶって中に入り、ファーフナーを殺す。ジークフリートはTシャツに血が付いて出てくる。 ファーフナーは『ワルキューレ』のフンディング役と同じ中国人ぽい歌手。白いTシャツを着ているが、なにか不思議な文字が書いてある。よく見ると、ジークフリートの文字を裏返しに印刷している。

 ファーフナーは向こう側から金網にもたれかかったまま息絶える。つまり客席の方を向いて、立ったままで死んでいる。ミーメは向こうを向いて椅子に座ったまま、死んでいる。

 森の小鳥は、金髪でカラーコンタクトを入れている。男の子っぽい女性。ジークフリートは小鳥に手を引かれてどこかへ去る。




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[2008/12/11 14:38] | ジークフリート | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
ジークフリート  カイルベルト指揮 バイロイト1955年 第1幕
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 第1幕 演奏時間 77m42s
 
 第1幕のジークフリートとミーメの掛け合いであるが、いつもジークフリートの歌唱がミーメより目立たないと感じてしまう。ショルティ盤でもベーム盤でもそうである。ゲルハルト・シュトルツェとエルヴィン・ヴォールファールトの神懸かり的歌唱の前では、さしものヴィントガッセンもたじたじと言ったところか。今回は終盤に近づくにつれてジークフリートは勢いを増すが、出だしはパウル・クーエンにさえも押され気味である。

 実演で聴いたときと、録音されたものを聴いたときではその印象がだいぶ違う。いつも言っているが、グルベローヴァやジョーンズやコッソットを生オペラで聴くと、共演している他の有名歌手を圧倒して輝いている。カサロヴァやスコーラや、デルネシュやロベルト・シュンクがぱっとしない並の歌手に思えるほどだ。ところが録画や録音されたものを聴くと、それほど差がないように聴こえる。おそらく聴きやすいようにエンジニアが音量調整しているのだろうが、偉大な歌手の力を、いくぶん削いでいる気がしてならない。ヴィントガッセンってこんなもんかい?

パウル・クーエンのミーメ歌唱はは、先の二人ほどの強い個性がないために、聞き劣りがする。うっかりすると、いま歌っているのがミーメかジークフリートか分からなくなるときもある。名盤といわれるショルティ盤やベーム盤と比べて弱いのは、このミーメだけのような気がする。

 録音であるが、基本的には素晴らしく聴きやすい。12年後に録音されたベーム盤をちょっと聴いてみる。ベームのせっぱ詰まったような、背水の陣といった厳しい表現に合わせて、今聴くと、録音もいささか痩せているように感じる。それに比べて、さすがにデッカの精鋭レコーディング隊、ゆったりふくよか、低音豊かに臨場感たっぷりでうっとりするような音である。ほんとうに1955年の録音とは信じがたい。

 しかし録音に不思議なキズもある。出だしのミーメが剣をたたくところや、剣を投げる音、そして終盤のジークフリートがハンマーを連打するところで音量がへこむ。リミッターでもかかっているのか、金属が当たる音がきつすぎるのか、どうも自動的に音量が小さくなるみたいだ。それもかなりこまめに、ハンマーの音に合わせて変化するので、フィナーレに向かって落ち着かない音が続く。この点だけは残念。

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[2007/12/25 15:23] | ジークフリート | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
ジークフリート  カイルベルト指揮 バイロイト1955年 プロローグ
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 このカイルベルトの『ニーベルングの指輪』も、クナッパーツブッシュ1951年『神々の黄昏』と同じように不幸な運命をたどったものでした。1955年7月26日に録音され、2006年に発売されるまで51年間もお蔵入りしていました。まさか、著作権切れのCDのように、50年経ったから、許されて出てきたわけではないと思います。しかしクナの『神々の黄昏』も、今回の史上初のステレオ録音『ニーベルングの指輪』も、こんな素晴らしいものを眠らせておけるなんて、信じられません。

 昨年のレコード芸術『大賞』を受賞したくらいですから、きっと各雑誌がことの顛末を取り上げていると思いますが、わたしは全く読んでいません。クラシック愛好家ならほとんどの人が知っていると思いますが、半年前まで知りませんでした。今年になってブログを始めたときに、オペラを取り上げた記事を検索して(「音源雑記帖」さま)、こんなモノが出たのかと驚きました。先日、図書館検索で「ジークフリート」だけ見つかったので、さっそく借りてきました。

 付属のリブレットと、デッカのプロデューサーであるカルショー著「リング リサウンディング」から、発売されなかった理由を探るとこうなる。デッカのライバル会社であるEMIが、バイロイトの「マイスタージンガー」と「ニーベルングの指輪」を7年間他社が販売できない契約をしていた。同時に、EMIはヴァルナイ、ホッターらと専属契約を結んでもいた。デッカ、EMIの二社の話し合いでしか問題は解決しないはずだが、数年後にはカラヤンとウィーンフィルを互いに貸し出したりしているから、不可能なことではなかったと思う。

 このレコーディングのプロデューサーはピーター・アンドリューであるが、彼らチームの上司であるビクトール・オロフが他社に去ってしまい、ちょうど1955年8月にジョン・カルショウがチーフ・プロデューサーとしてデッカに復帰しました。カルショウはご存じのように史上初のスタジオ録音『ニーベルングの指輪』を成し遂げましたが、その目的のためには、このバイロイトライブは発売されない方が都合がいいと考えたのかもしれません。カルショウはバイロイトでのベームの演奏もこっぴどく批判していますから、不完全なライブ演奏を嫌っていたのでしょう。


ヨーゼフ・カイルベルト指揮 バイロイト祝祭管弦楽団 
1955年7月26日 ライブ収録 デッカによるステレオ・レコーディング

ジークフリート=====ヴォルフガング・ヴィントガッセン
ブリュンヒルデ=====アストリッド・ヴァルナイ
さすらい人=======ハンス・ホッター
ミーメ=========パウル・クーエン
アルベリヒ=======グスタフ・ナイトリンガー
エルダ=========マリア・フォン・イロシュヴァイ
ファフナー=======ヨーゼフ・グラインドル
鳥の声=========イルゼ・ホルヴェーグ

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[2007/12/23 21:49] | ジークフリート | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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