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オペラ サモトラケのニケ
なぜだか、ただいま『フィガロの結婚』特集と……『ドン・ジョヴァンニ』が割り込んできました。
“三大”だけがモーツァルトではあるまいに
ド・キーン


 二十年以上前から、文庫本でくりかえし読んできた本が、普通サイズの本であるのを発見した。タイトルも違っているが中身はまったく一緒だった。
『ドナルド・キーンの音楽風刺花伝』
1975年から1976年にかけて「レコード芸術」誌に掲載されたものです。

 ここ数年のテレビ放映されたオペラのなかで、通常の人気に比べて多く目についたのがモーツァルト『コジ・ファン・トゥッテ』でした。このブログでも以前、コジ・ファン・トゥッテはビデオで見るのに適しているオペラなのではないか、という文を載せたこともありました。

 源氏物語と日本の古典芸能とオペラに詳しいドナルド・キーンは、今日のコジ・ファン・トゥッテ人気を予見したのでしょうか。

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 三という数字は、人間にとって特にウマの合うものだろうか。日本三景や音楽家の3Bのみならず、『フィガロの結婚』『ドン・ジョヴァンニ』『魔笛』をモーツァルトの三大オペラと称し、この天才音楽家のその他のオペラをかげに押しやる傾向も説明されようというものだ。

 『コジ・ファン・トゥッテ』のようなオペラの場合、その重唱の成功は、いうまでもなく大部分その指揮者の手柄に帰するのが妥当というものだろう。しかしながら、歌手たちにとっては、自分たちを奮起させ、導いてくれるシュワルツコップのような歌い手の存在は、指揮者に劣らぬほどの重要性を持つものではないだろうか。

 『コジ』の台本は、モーツァルトの神々しいばかりの音楽がなければ、耐え難いほどに愚かしいものでしかない。シュワルツコップほどの比類なき才能の芸術家にして初めて、舞台のうえのあやつり人形を真の人間であるかのごとく感じさせることができるのである。音楽の全レパートリーの中でも、この『コジ・ファン・トゥッテ』ほど美しい音楽は、めったにないのだから。

 数多くのモーツァルトの才能のうちでも、もっとも希有なものは、人間の声のために作曲するその超人的な能力である。幸いにも、彼の音楽にふさわしい台本を得ることが出来た場合には、人類文明のふたつの勝利ともいうべき『フィガロの結婚』と『ドン・ジョヴァンニ』といった傑作が生まれてきた。『コジ・ファン・トゥッテ』や『魔笛』のように、台本に恵まれなかった場合でも、モーツァルトの音楽は言葉を超越して、他の音楽家がほとんどよじ登ることさえできないほどの高みへと到達したのである。

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テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

『コジ・ファン・トゥッテ』 カラヤン フィルハーモニア 1954
cosi54.jpg



 ベームのデッカ55年盤をちょっと聴いてから、カラヤンEMI54年盤を聴いてみたら、これがなかなか良かったのです。


カラヤン指揮 フィルハーモニアO.1954.7.13〜17、19〜21 EMI

フィオルディリージ======エリザベート・シュワルツコップ
ドラベルラ==========ナン・メリマン
グリエルモ==========ローランド・パネライ
フェルランド=========レオポール・シモノー
デスピーナ==========リザ・オットー
ドン・アルフォンソ======セスト・ブルスカンティーニ


 カラヤンはこの頃、頻繁にEMIオペラをレコーディングしています。1955年には『ナクソス島のアリアドネ』と『コジ・ファン・トゥッテ』の2つを1ヶ月内に続けて録音。1955年には『こうもり』『蝶々夫人』、1956年に『ファルスタッフ』『トロヴァトーレ』『ばらの騎士』を録音。この年、デッカに遅れて『ファルスタッフ』と『ばらの騎士』がやっとステレオで録音されました。

 私は、この頃のフィルハーモニア録音の音を好みません。名盤といわれる『こうもり』『ばらの騎士』やベーム1962年の『コジ』も、なんともいえない不自然さや硬さが鼻につきます。オケだけでなく、歌手の声にも違和感を感じます。もちろんデッカにもそういうのはたくさんありますが。

 ところがこの1954年『コジ』は、カラヤンの颯爽とした指揮のせいだけではなく、自然に楽しめました。シュワルツコップの歌唱も、定評のあるベーム盤よりも、自然で力強く感じます。そういう意味では、ベームの1974年盤に次ぐ好感の持てる演奏家もしれません。ベームの録音は1955年DECCA、1962年EMI、1974年グラモフォンですから、この盤はそれより以前に発売されたもので、『コジ』初の全曲盤でもあります。

 フィオルディリージは「フィガロの伯爵夫人」のようにシュワルツコップが極めつけと決めつけられませんが、ヤノヴィッツ、スチューダーあたりが素晴らしいのは間違いないでしょう。シュワルツコップも、もう数年前だったら、もっと良かったかもしれません。

 これを聴いてデスピーナは(も)ルチア・ポップ、と思いました。何盤に入っているかわかりますか?
ついでに「夜の女王」もルチア・ポップでお願いします。




テーマ:クラシック - ジャンル:音楽