マリー=ルイーズ・デ・タシスの肖像
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 二年半ぶりの【名画100選】です。
人物画を描いていたら、お手本としてのアンソニー・ヴァン・ダイクを思い出しました。

『マリー=ルイーズ・デ・タシスの肖像』(1630年)リヒテンシュタイン絵画館
ヴァン・ダイク Anthony van Dyck  1599-1641

 日本ではそれほど有名ではないが、17世紀に活躍したフランドルの代表的な画家。11歳でヘンドリック・ファン・バンーレンに弟子入りした後、ルーベンスの最も重要な助手のひとりを務める。同時代のベラスケスのように「画家の中の画家」と呼ばれるほどではないにしても、重要な画家。「ヴァン・ダイク・ブラウン」という絵の具の名前でも残っている。

 イングランドの上流階級を描いた肖像画でよく知られている。ほとんどの国際的に有名な美術館にはヴァン・ダイクの作品が所蔵されている。イギリス王室のロイヤル・コレクション、ナショナル・ギャラリー(ロンドン)に14点、プラド美術館に25点、ルーブル美術館(パリ)に18点ある。このようにヨーロッパの美術館ではよく見かけるが、日本の展覧会では、良い作品は2点しか見たことがない。

 肖像画以外にも歴史画、宗教画、神話画などの作品もある、そしてネットで調べると、このようなルーベンスの亜流のような作品ばかり出てきて、ヴァン・ダイクの本領を発揮していると思われる肖像画は少ない。そして、やはりネットや画集で見ても、本物の感動は伝わってこない。伝統に裏打ちされた人間の精神の高貴さを、人類がこの時代しか持たなかった美しい様式で描かれた、かけがえのない芸術だと思う。

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[2017/01/05 20:01] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
レカミエ夫人 ダヴィッド
 横たわる貴婦人の絵で、いちばん魅力的だと思うのが、ダヴィッドのレカミエ夫人。
ナポレオンの第一宮廷画家であったダヴィッドが、ナポレオンがいちばん気に入っている婦人を描いたもの。どういうわけか未完成。描きかけな感じが良い。
画像がゆがんでいるのは、本物を安物のカメラで急いで撮ったため。

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ジャック=ルイ・ダヴィッド作  アングルも手伝っている。


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弟子アングルのグランド・オダリスク こっちの方が有名だけど。 


レカミエ夫人フランソワ・ジェラール
フランソワ・ジェラールのレカミエ婦人。

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[2014/07/27 19:22] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
ヴァルパンソンの浴女 アングル1808
アングル浴女



 ジャン・オーギュスト・ドミニク・アングル(Jean-Auguste-Dominique Ingres, 1780年8月29日 - 1867年1月14日)
フランスの画家。ロココに反抗して質実剛健な描写をしたダヴィッドの新古典主義を継承する。以降、台頭してきたロマン主義(ジュリコー、ドラクロワ)の対抗馬としてフランス・アカデミーで活躍する。

 彼に近い画家としては、5年ほど年長にフリードリッヒ、ターナー、コンスタブルがおり、10年ほど後にジェリコーが生まれる、といった年代である。

 ロマン主義絵画は、主に主題と色彩に変革をもたらした。アングルは、主題は古そうに見えるが、徹底したデッサンと形態の変容が最大の特徴である。したがって、案外、一般の人には評判が良くない。(ような気がする)

 子どもの頃、うちにある百科事典の絵画紹介のコーナーを見ていて、1点だけ写真がまじっているのが不思議だった。その、とても絵とは思えない自然な写実的描写の作品が、油絵だと分かったのは、ずっと先のことである。

 もちろん、2回ほど行ったルーブル美術館では、じっくりと見た。さすがに、この巨大美術館では、特別扱いもせず、他の作品同様に、普通に壁に掛けてあるだけだ。昔見た写真はそうではなかったが、近くで本物を見ると、この写真によく出ているように、キャンバスから浮いたようなヒビ割れが多くて、驚かされる。(そういえば、モナリザなんかも、ひどく表面が湾曲している)


ヴァルパンソンの浴女
(Baigneuse dite de Valpinçon) 1808年 146×97.5cm ルーヴル美術館

 以下、Wikipediaより
 アングルは絵画における最大の構成要素はデッサンであると考えた。その結果、色彩や明暗、構図よりも形態が重視され、安定した画面を構成した。その作風は、イタリア・ルネサンスの古典を範と仰ぎ、写実を基礎としながらも、独自の美意識をもって画面を構成している。こうした「復古的でアカデミックでありながら新しい」態度は、同時代のダヴィッドなどのほか、近現代の画家にも影響を与えた。印象派のドガやルノワールをはじめ、アカデミスムとはもっとも無縁と思われるセザンヌ、マティス、ピカソらの画家にもその影響は及んでいる。

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[2012/01/16 17:36] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
あひるの子  ミレイ1889
あひるの子2s



世界3大「あひるの子」、今日採り上げるのは。
 ジョン・エヴァリット・ミレイ作の「あひるの子」であります。
(ヘンなタイトルだ。ハイドンの交響曲「朝」「昼」「晩」ぐらい変だ。)

 先日の、額田王に頂いた「ゴヤ展」のついでに、おそらく2年ぶりぐらいに見た西洋美術館の常設展。ここが素晴らしくて、とても長時間いました。

 落ち穂拾いのミレーではありませんよ。ジョン・エヴァリット・ミレイはロンドンで 1896年に亡くなった画家です。つまり印象派のちょっと前の世代ですね。ラファエル前派とくくられていますが、この点は、よくわかりません。というか、イギリス人の趣味ってよくわかりません。

 『ハムレット』のヒロインを題材にした、オフィーリア(Ophelia)1851-52年が非常に有名で、日本にも最近3回ほど来ているはずです。私は、ロンドンのテイト・ギャラリーにも3回ほど行っているから、恐らく4回ぐらい本物を見ているはずなんですが、なにしろロンドンには名画がたくさんあるので、印象が薄いンです。

 このオフィーリアも、もちろん名画だろうけど、なんだか素直に褒める気にならない絵です。ところが、この「あひるの子」。こんなに真正面から、小さい女の子を描いた絵が、他にあるだろうか。
(言うまでもないが、大きい裸の女の子はよくあるし、そりゃ、そっちの方が描きたい)

 京都で大人になる。あひるの子も大人になる。

[2011/12/08 18:06] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
ジョヴァンナ・トルナブオーニ 1488 ギルランダイオ
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 ドメニコ・ギルランダイオ(Domenico Ghirlandaio, 1449年 - 1494年)は、ルネサンス期のイタリアの画家。若き日のミケランジェロが最初に師事した画家としても知られている。

 主にイタリアに作品が多いが、実物を見て記憶に残っているのは
フィレンツェのサン・マルコ修道院にある『最後の晩餐』(1482年)と
マドリードのティッセン=ボルネミッサ美術館『ジョヴァンナ・トルナブオーニ』(1488年)である。

 マドリッドのプラド美術館の近くにあるのだが、ティッセン・ボルネミッサの個人コレクションは、英国のエリザベス女王のコレクションに次いで世界第2位と言われている。男爵は将来自分のコレクションをスペイン政府に譲渡することを決めた。ティッセン=ボルネミッサ美術館はボルネミッサ家のコレクションを借りるという形で1992年にオープンしたが、1年後にはそのコレクションはスペイン政府がすべて買い取った。

 というぐあいで、最新版のガイドブックに初めて載った年ぐらいに行って見た。図書館にあるスペイン関係の本には、新しすぎて、載っていないのだ。マドリッドは、パリに次いで美術作品が多いと思っているので、パリの次に、つまり2回目の海外旅行で行ったのだ。

 その時のマドリードでは、1日で、タクシーにも乗り、ソローリャ美術館なども含む、8つの美術館・博物館をまわった。ティッセン=ボルネミッサ美術館は、ルーブルとかプラドとかロンドン・ナショナルギャラリーとかの、各国第一国立美術館を別にすれば、最高の美術館である。あんまり有名ではないが。

 午後2時とか4時で閉まる美術館が多いので、閉館時間の関係で、7番目にたどり着いた。ちなみに最後はレイナ=ソフィアである。ガイドに厳しく注意された、危険なマドリッドを1日中歩き回り、へとへとになってその玄関にたどり着くと、『ジョヴァンナ・トルナブオーニ』の凛としたポスターが貼ってあったのだ。

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[2011/09/25 21:59] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
「マリー・ド・メディシスのマルセイユ到着」 1622-23 ルーベンス

『マリー・ド・メディシスの生涯』 1622-25 ルーベンスより
「マリー・ド・メディシスのマルセイユ到着」です。

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油彩画によるスケッチ 63.5×50.2cm アルテ・ピナコティーク

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完成作品 394×295cm ルーブル美術館



 久しく、「名画100選」を書いていなかったので、気分転換に一点。

「マリー・ド・メディシスの生涯」から「マリーのマルセイユ到着」です。
この作品は、ルーブル美術館で見ていただければ、立ちくらみしそうになること間違いありません。バブル人気のフェルメールなどは、最近やたらと来日しますが、この手の名画は、日本に来ることはありません。

 以前紹介した、「クララ・セレーナ・ルーベンスの肖像」(1616)は、ちょっと目立たない作品でしたが、今回の「マリー・ド・メディシスの生涯」は、まさにルーベンスの代表作と言っていい、大量の作品群です。

 わたしはルーベンスを、音楽史上のモーツァルトになぞらえます。それ以前の、イタリアルネッサンスやブリューゲルなどのフランドル絵画に一線を画し、いきなり近代絵画っぽくなります。印象派の登場はもうすぐだと感じられる自然な画風を確立しました。しかも、その作品の量が、モーツァルトと同じように、同業者を圧倒しています。

 ルーブル美術館には、この連作である「マリー・ド・メディシスの生涯」394×295cmの作品が21点、肖像画が3点、一室に列んでいます。

 基本的に、この頃の絵は、工房作品で、ルーベンスが小さい下絵を描き、それを数人の弟子が、作品となる巨大キャンバスに拡大して描き、もちろん最終的にはルーベンス本人が仕上げるといったものです。ルーベンスの手がどの程度入っているかによって、作品の値段に差が付けられました。

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[2011/08/26 18:51] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
ヤコボ・ティントレット 磔刑 (1565)
磔刑



 一般の方はこの画家の名前を知らないでしょうが、ヴェネチア観光の定番コース、ドゥカーレ宮殿の大会議室にある世界最大のキャンバス画「天国」をはじめ、広い部屋の周りをぐるっと取り巻いている正方形の絵のほとんども彼の作品です。ティントレットの作品はヴェネチアのいろいろな所にありますが、いちばん多くまとまってあるのは、スクオーラ・ディ・サン・ロッコ(サン・ロッコ同信会館)です。

 キャンバスの大きさが518cm×1224.5cm、つまり横が12メートル以上あるという巨大なもので、一度に視界に入れられないぐらいの大きさです。わたしは2度見に行きましたが、このスケールには圧倒されます。

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[2010/10/02 22:57] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『アダムとエヴァ』の謎 追加画像
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上の2点
わたしがウフィツィ美術館で撮った写真 1998

下の1点
「にけ文庫」の中から、市販されていない画集『女像』を再発掘。
プラド美術館の「エヴァ」のクローズアップ画像を発見。
一般の画集の画像よりも格段に鮮明!
前の記事を参照してください。

ウフッツィのアダムとエヴァはデューラーの弟子Hans Baldung Grienの手によるもののようです。
制作年は、お師匠と同じ1507年ですが、サイズがちょっと違うようで、
デューラーの作品は209×81、
Hans Baldung Grienのものは212×85だそうです。(snow_dropさまのコメントより)

同じ年ということは、師匠と同時進行で、かつデューラー指導のもとに制作されたのでしょう。

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[2010/09/06 20:18] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
アルブレヒト・デューラー  『アダムとエヴァ』の謎
アダムエヴァ

アダム自分



上  プラド美術館所蔵作品(1507)
下  わたしがウフィツィ美術館で撮った写真 1998

 アルブレヒト・デューラー(1471年5月21日 - 1528年4月6日)は、ドイツのルネサンス期の画家。生年から言うと、レオナルドとミケランジェロの間で、ラファエロなどよりもはるかに年長。美術の歴史的な解説本だと、必ずイタリアルネサンスの画家の後に、北方ルネサンスの画家が取り上げられるため、ヤン・ファン・アイクがラファエロよりも100年近く前の人だということが認識されにくい。ルネサンスは必ずしも、イタリアから始まったわけではない。

 デューラーも1494年~1495年と1504年~1507年にヴェネチアに滞在しているが、まだミケランジェロも無名であった頃。1520 年~1521年にはネーデルラントにも滞在している。この時ヤン・ファン・アイクの作品に驚いたことが、彼の旅行記には書かれている。


 今回『アダムとエヴァ』を取り上げようと調べてみたら不可解なことが判明した。この絵をウェブで調べると、プラド美術館所蔵となっている。私の記憶とちがう。私はウフィツィ美術館で見た。写真もちゃんととってある。ウフィツィもプラドも2回行っているから、間違いがあるはずがない。この絵はウフィツィで見たのだ。

 写真を出してみた。フィルムで撮ってあるから、この絵の前後にはちゃんとウフィツィ美術館所蔵作品が写っている。間違いない。ウェブ上に載っている画像と見比べてみたらちょっと違う。いや、背景はまったく違う。
私の写真の絵の方がいいような気がする。まさか後世の画家の模写?
 答えのわかった方は、ご応募下さい。

 数ある『アダムとエヴァ』の絵の中でもとびきりの名作だと思う。イタリアルネサンスの有名画家の作品が古ぼけて艶がなくなっているのに対して、ルーベンスあたりの裸体のように艶やかで美しい。男女とも過剰な色気や人間くささもなく、ギリシャ彫刻のような清透な美しさ。それでもって等身大で、絵の前に立つのが気持ちいい。

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[2010/09/04 14:44] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
レオナルド 聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ(1499年頃)
聖アンナ



 フェルメールの場合、どっちが好きということは言えないが、レオナルドの場合は、はっきりしている。イタリアルネサンスの画家すべてに言えることだが、偉大な先達ファン・アイクなどに比べて、技巧的に未熟な油絵よりも、デッサンの方がより完全な作品に、最高の作品に仕上がっている。

1390m×1010m という、レオナルドにしては異例の巨大な作品である。油絵として完成している「聖アンナと聖母子」よりも、遙かにいい。

 この「聖アンナと聖母子と幼児聖ヨハネ」は、ロンドン・ナショナル・ギャラリーにある。 東郷青児美術館のゴッホとセザンヌが狭くて暗い、特別の展示空間に飾られているのと似ていて、入り口も狭く、中も狭い特別な場所に飾られている。ウフィッツィ美術館の「受胎告知」などが、いつでも触れるような状態で展示されているのと対局にある。「モナリザ」以上の厳戒態勢である。 ナショナル・ギャラリーは無料なので、滞在中毎日入館しました。

レオナルド・ダ・ビンチのことを「レオナルド」と呼ぶのを不審に思われる方がいると思いますが、ミケランジェロ・ブオナローティやラファエロ・サンツィオやティツィアーノ・ヴェチェリオはファーストネームで呼ぶのに、なぜダ・ビンチと呼ばなければいけないのか。

しかも、他の人と違って、ダ・ビンチというのは名字ではありません。日本でも庶民は名前だけで名字などありませんでした。レオナルドも、その名前だけしかありません。「ビンチ村のレオナルド」、というわけです。私たちも、親戚の人を呼ぶときなどには地名を使いますよね。でも彼のことを「ビンチ村」と呼ぶのは好ましくないと思います。

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[2010/08/28 22:25] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
フェルメール デルフトの眺望
delft眺望



 「青いターバンの少女」は、数年前、大阪でのみ展示されました。ですから、ごく一部の方だけ本物を見ることが出来ました。私の生徒の一人は、この絵を見るためだけに大阪に行って来ました。よく見に行く気になったものです。画集で見ても、この絵の良さは伝わってきません。ましてやパソコンの液晶画面では、まったく、どこが他の絵と比べて良いのか、わからないと思います。今回紹介する絵は特に、写真で見ただけでは、どこが良いのかさっぱりわからないと思います。なんだか、書いていてもむなしい。 

 「青いターバンの少女」からふり返ると、6畳ぐらいの部屋の反対側です、そこには「デルフトの眺望」がありました。「少女」より遙かに大きな絵です。雨上がりの爽やかなデルフトの街の風景です。この絵も、なんの特徴もないような田舎の町を描いているだけなのですが、爽やかに、みずみずしく、全体が輝いています。

 デン・ハーグの街には、駅が二つあります。そして、ベルギー方面へ行く急行列車は、アムステルダムから着いた駅とは別なのです。しかもちょっと遠い。歩いている学生たちに道を聞きながら、30分ぐらいかけて到着しました。

 オランダの通貨はギルダー。5千円ほど両替したのだが、おそらく2千円以上余っている。今すぐ、使い切らなければ、使えなくなってしまう。オランダ国境までの電車のチケットを買い、マクドナルドで2食分ハンバーガーを買い、残りは雑誌とお菓子などでほとんど使い切って、電車に乗った。つまり、もうオランダのお金は持っていないのだ。ちょっと不安。

 電車に乗って、食べようと思っていたら、急行電車なのに満員で立ちっぱなし。ベルギーにはいるまで座れなかったので、あきらめてホテルに着くまでなにも食べず。てなぐあいで、デン・ハーグから3時間半ほどかけて、ブリュッセルのホテルまで帰りました。国境では、車掌さんが不振そうな顔をしながら、私のパスポートとチケットを見ていたのが印象に残っています。

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[2010/08/21 15:30] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
フェルメール 青いターバンの少女
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オランダのデン・ハーグにある「マウリッツハイス美術館」収蔵作品です。

 デン・ハーグは、オランダの首都ではありませんが、国会議事堂、大使館など政治の中枢がここにあります。この美術館へは、大変な思いをしてたどり着きました。ベルギーのブリュッセルのホテルを朝6時に出発、トラム、地下鉄を乗り継いで、ブリュッセル南駅から急行電車(?)に乗ってほぼ4時間後にアムステルダムに到着。2時間かけて国立博物館、ゴッホ美術館、近代美術館を見て、トラムを使い駅に戻り、各駅停車に1時間乗ってやっと午後2時頃、デン・ハーグに到着しました。

 「マウリッツハイス美術館」。木造建築三階建ての、貴族の邸宅みたいな美術館で、看板とかはないので、入り口で入っていいものか、ちゅうちょしました。中に入っても、お客さんらしい人にはほとんど会いませんでした。個人住宅ですから、細かく部屋がわかれ、その中にさらに壁を作って絵を展示しているのです。たまに監視員が立っていますが、まったく人のいない部屋もあります。

 そして、お目当ての「青いターバンの少女」です。この絵は「真珠の耳飾りの少女」とも呼ばれていますが、真珠が、ちゃんとわかる人は少ないのではないでしょうか。

 三階まで階段で上がり、奥の小部屋にありました。絵が四点しか飾っていない六畳ほどの広さの区切られた部屋に、全く人がいません。日本の美術館によくある、絵の側へ寄りすぎないように、足元にある「ポール」とか「ひも」なども全くありません。監視カメラもなく、額縁にはガラスもありません。人が近づいてくる気配も、全くないのです。

 ものすごく顔を近づけて、じっくり見ました。手で触るのを、押さえるのに必死です。簡単に画面さわれるし、額縁ごとひょいと持ち上げられるのです。小説の中に出てくるような(?)ある意味、劇的な場面です。

「青いターバンの少女」は、わたしが最も感動した絵です。画集で見ているときは、それほど、飛び抜けて良い作品だとは思っていませんでした。この時代の絵にしてはめずらしく、それほど緻密には描いていません。ターバンの部分なんて走り書きの水彩画のように簡単に描いています。顔も、なんの特徴があるわけでもない。無防備にこちらをふりむいているだけ。それで、このみずみずしさです。本当に、話しかけてきそうです。

こんな最高の名画を、たった一人で見て、後ろをふり返ると、3メートル離れたところに、もうひとつの奇跡がありました。

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[2010/08/17 21:02] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
ヴィクトリーヌ・ムーラン マネ 1862年
ムーラン




 この作品を見たのは、ボストン美術館所蔵作品による「印象派展」だった。

 以前から画集では、ときおり見かけていたが、写真ではどうもパッとせず、気にしていなかった。それどころか、マネにしては下手っぽい絵だな、画集に載せるほどのモノか?なんて思っていた。

マネがパリの路上で、初めてヴィクトリーヌ・ルイーズ・ムーラン ( 1844-1885 ) に出会ったのは、彼女が18歳のとき。その時から彼女に惚れ込んだマネは、すぐに、彼女をモデルにした作品を制作します。

この作品は習作ですが、彼女をモデルにした最初の作品です。

有名な「草上の昼食」「オランピア」「鉄道」も、彼女がモデルです。

ヨーロッパの美術館では、もっと有名ではないマネの人物画に感動したことが何度もありますが、この作品は日本で見たのですが、最高の人物画です。その点ではフェルメールの「青いターバンの少女」やルーベンスの「クララ・セレーナ」の感銘に匹敵する作品です。

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[2010/08/05 19:57] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
女性の肖像 フレマールの画家
フレマル画家


Portrait of A Woman. :Master of Flemalle::
c. 1430. Oil on wood. National Gallery, London, UK.
女性の肖像 フレマールの画家
ロンドン、 ナショナル・ギャラリー 蔵

 久々の名画100選です。今回の空港閉鎖15日間のイギリスツアーでは、資金の不足と、非常なる時間の余裕があったので、いろいろな美術館を訪れました。大英博物館、自然史博物館、ビクトリア=アルバート博物館、王立美術館、テイトギャラリー、テイトモダン、コートールド・インスティテュート、ナショナル・ギャラリーなどです。

 イギリスの公立美術館は無料なので、10年前来たときと同様に、ナショナル・ギャラリーは、滞在中数回訪れました。訪れると言うよりも、奈良の町へ出ると、興福寺五重の塔の横を自然に歩いているように、ピカデリーあたりを歩いていると、その延長で美術館の中も通過するのです。

 やはりこの美術館は、ルーブル美術館、プラド美術館に次ぐ感銘を与えてくれます。最近の印象派などでは、コートールド・インスティテュートに一歩譲りますが、ちょっと古めの名画の数が半端ではありません。

 そのロンドン・ナショナルギャラリーの新館である、セインズベリー館のいちばん奥の部屋にある。この部屋の、あるいはこの館のメインはヤンの「アルノルフィーニ夫妻の肖像」であるが、その名画の右側に、控えめに佇んでいる。「女性の肖像」は、41×28cmの、このような巨大美術館としては最小の絵画の部類に入る。

 ネーデルラント(オランダのことではない)の画家。『フレマール修道院の祭壇画』と伝えられる3枚の板絵から、「フレマールの画家」と呼ばれている。要するに、誰だかわからず、生没年も不明である。恐らく、絵画至上最大の巨人ヤン・ファン・アイクよりもほんの少し前、その兄フーベルトと同じ世代ではないかと思われる。

 芸術的にはヤンの作品に一歩譲るものの、不思議なことに兄フーベルトと、このフレマールの画家の作品の方が、人物表現としては、より豊かな生命力を持っているように思われる。以前から素晴らしい作品だと思っていたが、今回のツアー中に見た数多くの名画の中で、最も強烈な印象を受けた。


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[2010/04/30 20:38] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
ニッポンが誇る「ゆるキャラ」
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ちょっと前の「美術の窓」に載っていまして、楽しい気分になったので転載します。

南天棒(みなみてんぼう1839~1925)臨済宗の僧の、

「雲水托鉢図」1924年、大正13年作です。

これを名画の範疇に入れてもいいものだろうか?

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[2009/12/13 22:43] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
パオロ・ウッチェロ  サン・ロマーノの戦い(1450年頃)
サンロマ1

サンロマ2

サンロマ3



『サン・ロマーノの戦い』
ロンドン/ナショナル・ギャラリー(181.5cm×319cm)
フィレンツェ/ウフィッツィ美術館(181.5cm×321.5cm)
パリ/ルーブル美術館 (179cm×316cm)


 この3点の絵は、全部実物を見ましたが、感動するとか、心打たれるような絵ではありません。その点、今まで取り上げてきた名画とは違いますが、とても気になる絵です。


 パオロ・ウッチェロ(Paolo Uccello, 1397年 - 1475年12月10日)は初期ルネサンスの画家。国際ゴシック様式の潮流と遠近法に代表されるルネサンスの科学的アプローチを融合させた絵画を創出した。しかし、あまりにも遠近法に固執したため、ルネサンス後期の画家のみならず、19世紀のロマン主義においてもしばしば批判の対象となった。

 遠近法を極めたのは建築家ではブルネレスキ、画家ではウッチェロと思っていて、だいぶ以前から知っている画家だったのですが、今回改めて調べて驚きました。レオナルド・ダ・ビンチなどよりも遙かに年長で、イタリアルネサンス草創期のマサッチオよりも古い画家でした。油絵が発明されたヤン・ファン・アイクとロヒール・ファン・デル・ウェイデンの間の年代に生まれています。


『サン・ロマーノの戦い』は1432年6月1日におこなわれた、フィレンツェ軍とシエナ軍の戦闘の模様を描いた大作で、ピエロ・ディ・メディチによって注文されたものです。3点は、上から、左・中・右と、絵としてつながっていると思われます。長い間、ウフィッツィ美術館で所蔵していたものですが、他の絵との交換などがおこなわれ、いまでは別々の美術館で展示されています。

 遠近法の実験劇場として描かれたというのもありますが、ドライで人工的、木で彫った馬と人物を並べたような不自然きわまりない絵です。時代を考えれば、ティントレットのように自然に激しい絵を求めるのは無理というもの。まだイタリアに油絵は伝わっていなくてテンペラで描いています。ウッチェロ自身が、装飾的でアルカイックな画面を楽しんでいたふしもあります。




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[2009/11/08 00:46] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
レンブラント ユダヤの花嫁(1660年代)
ユダヤの花嫁2

 この絵は、フェルメールの時取り上げた、アムステルダム2時間滞在のときのこと。最初にアムステルダム国立博物館に行って、まずはレンブラントの名画を見ました。もちろん代表作の『夜警』は素晴らしい作品でしたが、こちらの『ユダヤの花嫁』のほうに心を動かされました。

 このタイトルは、俗称で、本来の名前、あるいは主題はわかっていません。イサクとリベカという説が有力ですが、ヤコブとラケルという説もあります。他のデッサンから判断すると、実在のモデルを使って描かれた絵だと思われます。

 レンブラントを見るといつも、ベートーヴェンの音楽と似たような印象を受けます。繊細優美なところは微塵もなく、力入れすぎ、大げさに盛り上げすぎな感じです。

 題名から想像するに、花嫁の胸に手を当てて、結婚式に送り出そうとしている父親の決意を現しているのでしょうか。顔以外は荒っぽく絵の具が塗られていますが、ドレスの赤が印象的で、剛胆に塗り重ねられた手の表情も魅力的です。

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[2008/09/12 23:10] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
フェルメール デルフトの眺望
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 「青いターバンの少女」は、数年前、大阪でのみ展示されました。ですから、ごく一部の方だけ本物を見ることが出来ました。私の生徒の一人は、この絵を見るためだけに大阪に行って来ました。よく見に行く気になったものです。画集で見ても、この絵の良さは伝わってきません。ましてやパソコンの液晶画面では、まったく、どこが他の絵と比べて良いのか、わからないと思います。今回紹介する絵は特に、写真で見ただけでは、どこが良いのかさっぱりわからないと思います。なんだか、書いていてもむなしい。 

 「青いターバンの少女」からふり返ると、6畳ぐらいの部屋の反対側です、そこには「デルフトの眺望」がありました。「少女」より遙かに大きな絵です。雨上がりの爽やかなデルフトの街の風景です。この絵も、なんの特徴もないような田舎の町を描いているだけなのですが、爽やかに、みずみずしく、全体が輝いています。

 デン・ハーグの街には、駅が二つあります。そして、ベルギー方面へ行く急行列車は、アムステルダムから着いた駅とは別なのです。しかもちょっと遠い。歩いている学生たちに道を聞きながら、30分ぐらいかけて到着しました。

 オランダの通貨はギルダー。5千円ほど両替したのだが、おそらく2千円以上余っている。今すぐ、使い切らなければ、使えなくなってしまう。オランダ国境までの電車のチケットを買い、マクドナルドで2食分ハンバーガーを買い、残りは雑誌とお菓子などでほとんど使い切って、電車に乗った。つまり、もうオランダのお金は持っていないのだ。ちょっと不安。

 電車に乗って、食べようと思っていたら、急行電車なのに満員で立ちっぱなし。ベルギーにはいるまで座れなかったので、あきらめてホテルに着くまでなにも食べず。てなぐあいで、デン・ハーグから3時間半ほどかけて、ブリュッセルのホテルまで帰りました。国境では、車掌さんが不振そうな顔をしながら、私のパスポートとチケットを見ていたのが印象に残っています。

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[2008/08/22 21:06] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
フェルメール 青いターバンの少女
青いター3

オランダのデン・ハーグにある「マウリッツハイス美術館」収蔵作品です。

 デン・ハーグは、オランダの首都ではありませんが、国会議事堂、大使館など政治の中枢がここにあります。この美術館へは、大変な思いをしてたどり着きました。ベルギーのブリュッセルのホテルを朝6時に出発、トラム、地下鉄を乗り継いで、ブリュッセル南駅から急行電車(?)に乗ってほぼ4時間後にアムステルダムに到着。2時間かけて国立博物館、ゴッホ美術館、近代美術館を見て、トラムを使い駅に戻り、各駅停車に1時間乗ってやっと午後2時頃、デン・ハーグに到着しました。

 「マウリッツハイス美術館」。木造建築三階建ての、貴族の邸宅みたいな美術館で、看板とかはないので、入り口で入っていいものか、ちゅうちょしました。中に入っても、お客さんらしい人にはほとんど会いませんでした。個人住宅ですから、細かく部屋がわかれ、その中にさらに壁を作って絵を展示しているのです。たまに監視員が立っていますが、まったく人のいない部屋もあります。

 そして、お目当ての「青いターバンの少女」です。この絵は「真珠の耳飾りの少女」とも呼ばれていますが、真珠が、ちゃんとわかる人は少ないのではないでしょうか。

 三階まで階段で上がり、奥の小部屋にありました。絵が四点しか飾っていない六畳ほどの広さの区切られた部屋に、全く人がいません。日本の美術館によくある、絵の側へ寄りすぎないように、足元にある「ポール」とか「ひも」なども全くありません。監視カメラもなく、額縁にはガラスもありません。人が近づいてくる気配も、全くないのです。

 ものすごく顔を近づけて、じっくり見ました。手で触るのを、押さえるのに必死です。簡単に画面さわれるし、額縁ごとひょいと持ち上げられるのです。小説の中に出てくるような(?)ある意味、劇的な場面です。

「青いターバンの少女」は、わたしが最も感動した絵です。画集で見ているときは、それほど、飛び抜けて良い作品だとは思っていませんでした。この時代の絵にしてはめずらしく、それほど緻密には描いていません。ターバンの部分なんて走り書きの水彩画のように簡単に描いています。顔も、なんの特徴があるわけでもない。無防備にこちらをふりむいているだけ。それで、このみずみずしさです。本当に、話しかけてきそうです。

こんな最高の名画を、たった一人で見て、後ろをふり返ると、3メートル離れたところに、もうひとつの奇跡がありました。


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[2008/08/18 10:24] | 名画100選 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
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