神々のたそがれ スカラ座2013 第1幕 第2場
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ダニエル・バレンボイム指揮 ミラノ・スカラ座歌劇場管弦楽団
ギー・カシアス演出 2013年6月 ミラノ・スカラ座
プロローグ+第1幕 2h04m24s

ジークフリート:ランス・ライアン
グンター:ゲルト・グロホウスキ(バリトン)
アルベリヒ:ヨハネス・マルティン・クレンツレ(バリトン)
ハーゲン:ミハイル・ペトレンコ(バス)
ブリュンヒルデ:イレーネ・テオリン
グートルーネ:アンナ・サムイル
ワルトラウテ:ヴァルトラウト・マイヤー
第一のノルン:マルガリータ・ネクラソワ
第二のノルン:ヴァルトラウト・マイヤー


第1幕第1場で書き忘れていた。
ジークフリートは薬を飲まされて、過去の記憶を消される。グンターと義兄弟のちぎりを結び、妹のグートルーネと結婚する。何しろシャバの世界へ出て初めていい女に出会ったのである。グンターには、ブリュンヒルデっていう女をつれてきてやろう、という約束をする。

第2場
 ギービヒ家の後であるが、近年最高のイゾルデである、ヴァルトラウト・マイヤーが出てくる。この場面もオペラらしくなくて、分からないところだ。背景に真っ赤や琥珀色がゆらめいているだけで、岩場があるだけの質素な舞台だ。
 あたしジークフリートと結婚して、ルンルン幸せなの、というブリュンヒルデに、そんな浮かれている場合じゃないとワルトラウテが諫める。

 神々の世界はもう終わりだ。ブリュンヒルデが、ラインの乙女に指輪を返してくれれば救われるかもしれない。私はもう地上の人間よ。あんたたちに私の幸せのじゃまはさせないわ。指輪はジークフリートの愛の証なの。その呪われた指輪を捨てて。神々の幸せより、指輪の方が大事。ジークフリートとの愛が大事。アンタなんかにはわからないわね。これがあのお姉様。

 てなことを言い合っているわけです。背景は真っ赤に、巨大な心臓の鼓動のような動きをしています。左手のきらめく指輪手袋は、サイコガンをつけたコブラのようにかっこいい。

 ワルトラウテが去ると、ズンズンズンと音楽が不気味になり、スターウォーズの黒マントをかぶった悪の皇帝があらわれる。顔を隠してグンターのふりをしているジークフリートです。誰っ!ジークフリート以外の人間は入ってこられないはずなのに。回りは真っ赤に燃えているし、ジークフリートの回りは隠れカブトのダンサーに守られている。マントから隠れカブトが伸びてブリュンヒルデの周りを取り巻いているうちに、指輪手袋は引っこ抜かれてジークフリートの手に落ちる。

 背景は炎、上からは針のような、剣山のようなものが降りていてそれも燃えているよう。悪の皇帝もいて、さながら地獄絵図のよう。最後の所だけは、盛り上がって終わる。それにしても、指輪に力が無いようにみえるのは、どういうことなのだろう。簡単に取られるなんて。ジークフリートも薬のせいだとはいえ、だまされてるし。これは「引きずり女は福を呼ぶ」の反対で、「指輪は不幸を呼ぶ」のではないか。そんなに指輪がほしいのか。

 歌手はみんな悪くないような気がする。特にハーゲンが魅力的だ。オケはバイロイトほど特徴がない。次回、第2幕「ブリュンヒルデ、ジークフリートの弱点を語る」は、もっと面白いよ。(千夜一夜物語の手口だ)

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[2014/01/28 16:43] | 神々の黄昏 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
神々のたそがれ スカラ座2013 第1幕 第1場
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 LPの時から何度も聴いているフルトヴェングラーの『トリスタンとイゾルデ』を、散歩しながら久しぶりに聴いてみた。予想に反して、なにしろ歩きながらだよ、それがとても良かった。いつもより滋味に富んだ味わい深いものがある。フラグスタートっていいな。その後の演奏で、これに一番近いのはバレンボイム=ヴァルトラウト・マイヤーではないかと思っている。ついでにビデオになっているヨハンナ・マイアーも聴いたことがある。いや『トリスタンとイゾルデ』を聴いたのはこの2回だけなんだけど。バレンボイムの指揮は、このくらい感動的なものなのだろうか。バイロイトの指輪からどう進化しているのだろうか。

 この『神々の黄昏』のプロローグと第1幕、新国立劇場の公演では、それなりに充実していたような気がしますが、ビデオで見ると、エロティックなダンサーでも出てこない限り集中力を持続するのが困難です。なんだかしっかりと見たような気がしない。何が起こったのか分からない。つまらないような気がする。それなのに何かグダグダ言っていいものだろうかという思いを持つこと、『パルジファル第1幕』と同じです。

 『神々の黄昏』というタイトルは、ワーグナーが参考にした『エッダ』の中にあったもので、ワーグナーが名付けたわけではない。そもそもワーグナーは最初、この『神々の黄昏』を作ろうと思って、台本もここから完成し、それがどんどん増して、さかのぼっていって長大な「ニーベルングの指環」になってしまのだから、このなかにこそ主題があると言えるのではないか。

 神々の没落と、新生人類の誕生。女性の愛による救済。そんなワーグナーによく出てくる主題が、『ワルキューレ』『ジークフリート』よりも強く打ち出されている。もうちょっと短ければ『神々の黄昏』の方が人気が出てもおかしくない。


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 この演出では、前方になんらかの舞台装置があっても、基本的に舞台奥は液晶パネルが敷き詰めてあって、その映像の変化で全体の雰囲気を支配している。「隠れかぶと」は数人の女性ダンサーが回りにへばりついて動き、「指輪」は金をまぶした手袋というのは以前と同じ。(小さい声で言うけど、モンスターエンジンの左手ショートコント「ゴッドハンド洋一」を思い出してしまう)

①18m 3人のノルンが現状世界をなげく。
②16m ジークフリートが、ブリュンヒルデの元から旅立つ。
⑤8m間奏+15m ブリュンヒルデを、ワルトラウテが諫める。
⑥12m グンターに変装したジークフリートが、ブリュンヒルデを略奪に来る。
この4つの場面は、ブリュンヒルデの岩場で同じセット。

 舞台中央に箱をくみ上げた小山がある。箱の表面は鉄板が錆びたようなまだら模様に塗装されている。①3人のノルン場面では、この箱の上に布がかぶせられている。赤い紐がたくさん上から降りてきていて、それをノルンがつかんでいる。紐で世界を動かしているかのように。うまく操れないと嘆いているのかもしれない。ヴォータンの槍は折られたし、世界は賢者の声を聞かない。

 岩場の最上部がなにやら変な形をしていると思ったら、布を取ったらジークフリートが横たわっていたのだ。「ジークフリートのラインの旅」途中でも、旅立ったはずのジークフリートはここに横たわっている(背景が明るくて、シルエットが映っている)
ブリュンヒルデは腰までくる金髪を後で一本に編んでいる。身長の倍ほどもある裾を、クジャクのように引きずっている。引きずり女だ。「引きずり女は福を呼ぶ」

ここから第1幕第1場
③6m間奏+14m ギービヒ家の3人。
④25m ギービヒ家へジークフリートがやってきて、義兄弟となる。
 ギービヒ家になると、岩場は舞台後方へ移動し、仕切りとして巨大な、シャッターまたはブラインドのような壁が降りてくる。同じ形の金色の箱を積み上げた壁と、横に並べたベンチが「左から右へ」とやってきて、グートルーネが横たわっている。グートルーネは普通の金髪現代女性だが、ドレスはすこし引きずっている。ハーゲンとグンターは、腰まである釣り用の防寒長靴を履いて、肩からベルトでつり下げている。上はワイシャツ。グンターのみ、育ちが良いのかネクタイをしており、肩ベルトも2種類かけている。ハーゲンは束ねていない長髪の黒髪。グンターは普通の白髪交じりのブロンド。ハーゲンだけ明らかに生まれが違うようだ。なんだかふてぶてしく、堂々としており生命力がある。あたかもジークフリートのようだ。

 普通のオペラと違って、この「ニーベルングの指環」だけは、ソプラノの出てこない、男声だけの部分の方が私は好きだ。不可解なことだが。

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[2014/01/20 18:19] | 神々の黄昏 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
神々の黄昏 スカラ座2013 プロローグ
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 新年早々は昨年からの続きで、「1Q84 BOOK3」と「ハードボイルド・ワンダーランド」を読んで、
ここから新年。やっと、「アンナ・カレーニナ」上巻終わり。

 同じく新年早々から、ミラノ「神々のたそがれ」とトリノ「仮面舞踏会」を何度か見ている。そのせいで、世界最高豊麗優美なアンナ・カレーニナも「ハードボイルド・ワンダーランド」のヒロインである太った美しい17歳ピンクの孫娘も、アメーリアを歌ったオクサナ・ディカが目に浮かんでしょうがない。ぴったりだ。

 と思っていたのだが。深夜にBSでモスクワの「赤の広場コンサート」やっていた。

 アンナ・ネトレプコが出てきた。

 ちょっと歌っただけで、ディアナ・ラムダウやイレーネ・テオリンも一蹴する勢いだ。オクサナ・ディカにも足りないところがある。ネトレプコのCDは普段、まったく聴かない。それでも数年前、テレビでイドメネオのエレットラのアリアを歌っていてビックリした。
今回もさらにビックリした。
ロシアということもあるし、そもそも名前も同じだし、
ネトレプコがアンナ・カレーニナに、ぴったりだ。(それがどうした?)
えーっと、それじゃあ、神々の~。


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2013年も年末スカラ座シリーズが放映されました。
いよいよ『神々の黄昏』です。
年末にふさわしいというか、年末しかふさわしくないような演目です。
これではっきりしました。当初、ちょとした当惑もあったダンサー多用の、ギー・カシアスGuy Cassiers演出ですが、映像で見る限り、今までになく美しい舞台となっています。
『神々の黄昏』にしては、美しい、わくわくする、見ていて楽しい。
いったいどうしたことか。

2010年から続くミラノ・スカラ座の「ニーベルングの指環」シリーズ完結編です。
スカラ座『ラインの黄金』『ジークフリート』は、このブログに何か書いた覚えがあったけど、『ワルキューレ』は見たんだっけ?思い出せないと気がついた。カテゴリ分けで覗いてみると、『ワルキューレ』はこのスカラ座も、バイロイトのティーレマンのも書いていない。投げっぱなしで何も解決しないだろうけれど、そんなこと気にしながら『神々の黄昏』を見てみた。


 前半部分である、休憩までの「プロローグ+第1幕」だけで約2時間を越えます。それだけで、「椿姫」や「ナブッコ」なみ、いやそれ以上の負担を感じます。なかなかお話が進まない。そこでその前半部分だけを分類してみました。

①18m 3人のノルンが現状世界をなげく。
②16m ジークフリートが、ブリュンヒルデの元から旅立つ。
③6m間奏+14m ギービヒ家の3人。
④25m ギービヒ家へジークフリートがやってきて、義兄弟となる。
⑤8m間奏+15m ブリュンヒルデを、ワルトラウテが諫める。
⑥12m グンターに変装したジークフリートが、ブリュンヒルデを略奪に来る。

 唐突で不審に感じるのは③と④のギービヒ家で、あとは以前から引き継いでいるブリュンヒルデがいる火の山でのことです。だからワルキューレ、ジークフリートの第3幕からつながっているはずのお話です。

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[2014/01/14 17:00] | 神々の黄昏 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
■ 神々の黄昏 ツァグロゼク シュトゥットガルト歌劇場 2002 第3幕 ■
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 「ニーベルングの指輪 ツァグロゼク シュトゥットガルト歌劇場2002」を見るシリーズもこれで最後です。

 建物は、ブリュンヒルデの岩場と同じ向き、ギービヒ家正面向き。2本目の柱にスクリーンを張り、水辺に水草が浮かび、太陽光がキラキラ反射しているようす。モネの睡蓮のような風景が映る。

 その手前、床面の段にラインの乙女3人が、ごろごろしている。床面前方と、スクリーンの間の床には、中に隠れたり、掘りごたつのように足を入れたりする、細長い奈落のような穴があいている。

 そこへ、着ぐるみのクマさんがあらわれる。3人は床上の穴の中に引きずり込んで遊ぶ。それからジークフリートが登場。3人は穴の中から顔を出して、こっちへおいでと誘う。クマも時々顔を出す。3人は、ジークフリートの上着をひったくったりして、からかって遊ぶ。

 たまりかねたジークフリートが、乙女たちを襲おうと穴にはいると、蓋が閉じられ、ただの床になってしまう。この後、ギービヒ家の人たちが現れるが、脳天気なスクリーンは最後まで残っている。

 ハーゲンが、そして部下が、前方から現れる。ライトの当たり具合で、ジークフリート後ろのスクリーン上に、ハーゲンの巨大な影が映る。部下のうろうろしている影も映る。みんなでワインを飲み回すが、グンターだけ気まずそうにしている。

 ここで建物が回転して側面を現す。側面の黒シートはなくて、中が丸見え。スクリーンがちょっと裏側を向いたぐらいで静止するが、裏側にも同じ風景が映っている。この状態で、盛り上がっているときに、床に座っているジークフリートを、後ろからハーゲンが刺す。それもノートゥングで刺す。

 しばらくの間、倒れたジークフリートを抱きしめていたグンターは、床に寝かせ、自分の上着をかけてあげる。葬送行進曲の間、ギービヒ家は、4回転ぐらい、回転し続ける。柱にかかっているスクリーンは、両面、水場の絵が映ったまま。

 色っぽい金色のドレスを着たグートルーネが、グラーネ棒を持って現れる。そこで、ギービヒ家の回転が止まる。ハーゲンは、指輪を手に入れるため、グートルーネを突き飛ばし、グンターを空手チョップでたおす。

 そこへ、いまさらだが、ブリュンヒルデが真っ赤なスーツを着て現れる。悟りきったブリュンヒルデは、グートルーネの母のように歌う。ここで、やっと、スクリーンの絵が消える。この後、ハーゲンを始め、他の人はもう何もしない。

 ブリュンヒルデは、倒れていたグンターを起こし、ハーゲン共々舞台右手に押しやり、しばらくジークフリートと2人だけになる。どういうわけかジークフリートが立ち上がるが、とまどいながら立ち去る。ブリュンヒルデだけとなる。

 ライナーノートによると、演出家の解釈は、ジークフリートの死で、この物語は終り。演出家の権限で、音楽を終わらせるわけにいかないから、あとは、演出を放棄した、または、ブリュンヒルデのリサイタルにしてしまった、そうだ。

 したがって、その後、舞台上ではなにも起こらず、ブリュンヒルデの自己犠牲が歌われるだけ。さらに驚くのは、ブリュンヒルデの歌が終わると、完全に幕が下ろされる。もう終わってますよ、とダメ押ししているような。その後の音楽の流れる間、スクリーンに、ワーグナーのト書きの文字が流れる。スターウォーズのオープニングのように、文字だけ流れる。呆然としている客席も映し出される。

 このシリーズ、新国の再演を見た印象と同じで、最後の『神々の黄昏』がいちばんよかった。


ローター・ツァグロゼク指揮 シュトゥットガルト州立管弦楽団
演出:ペーター・コンヴィチュニー   舞台美術・衣裳: ベルト・ノイマン
ドラマトゥルギー: ウェルナー・ヒンツェ、ユリアーネ・フォテラー
2002年10月3日、2003年1月12日 シュトゥットガルト州立劇場
Ⅰ.94m22s Ⅱ.63m04s Ⅲ.81m19s 

ジークフリート:アルベルト・ボネマ
グンター:ヘルナン・イトゥラルデ
アルベリヒ:フランツ=ヨーゼフ・カペルマン
ハーゲン:ローラント・ブラハト
ブリュンヒルデ:ルアナ・デヴォル
グートルーネ:エファ=マリア・ウェストブロック
ヴァルトラウテ:ティチーナ・ヴォーン
第1のノルン: ジャネット・コリンズ
第2のノルン: ラニ・ポウルソン
第3のノルン: スー・パッチェル
ヴォークリンデ: ヘルガ・ロース-インドゥリダドティア
ヴェルグンデ: サラ・キャスル
フロスヒルデ: ジャネット・コリンズ



   



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[2010/06/24 15:55] | 神々の黄昏 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
■ 神々の黄昏 ツァグロゼク シュトゥットガルト歌劇場 2002 第1幕 ■
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 第1場 「ジークフリートのラインへの旅」と呼ばれる間奏曲。その間に、さっきまでの舞台が回転して、ギービヒ家が全貌を現す。ギービヒ家は、ほぼ舞台一杯の長方形の木組みで、長い方の辺には柱が6本。さっきまで、ブリュンヒルデの部屋だった、短い方の辺には柱がない。床面は1mぐらいの高さにあり、側面の入り口には5段ほどの階段が付いている。通常は黒いシートで覆われている。

 しばらく回転していたが、一瞬真っ暗になり静止し、裏方2人がロープをひっぱって黒いシートを引き上げる。ここで、また短い方の面を正面とするが、ブリュンヒルデの部屋の時のスクリーンがないので、奥行きと柱が見える。タンスみたいなもの、ソファー、冷蔵庫がおいてある。

 ハーゲンとグンターは、スーツにネクタイといったビジネスマン。グートルーネのウェストブロックは、オペラではめずらしい、ちょっと見たことのないファッションモデルのような美人。大きく胸を開けたドレスで、魅力をふりまく。解説によると、以前はもっと美しかったそうな。魔法の酒を飲まなくても、グートルーネと結婚したくなるに決まっている。えっっっ、こっちの方が、ブリュンヒルデだと、かっこいいのに!

 
 第2場 そこへジークフリート現れる。ブリュンヒルデの鎧を着てきたのか、胸のカップが膨らんだ、妙な鎧を着ている。普通のシャンパンで薬を飲まされ、そのグラスを割って、腕に傷を付け、兄弟の契りを結ぶ。兄弟になった証に、鎧や他の服を全部脱がされ、パンツだけになってから、スーツに着替える。ないしょだが、そういえば後で、ブリュンヒルデもパンツを脱ぐ。

 そうしてグンターとジークフリートは、ブリュンヒルデ獲得の旅に出る。部屋が回転して、長い方の側面が現れる。階段の入り口だけ、シートが開いて部屋の中が見える。階段に、一人座るハーゲンが静かに歌う。今まで登場してきた歌手の中では、ハーゲンがいちばんワーグナーらしい声だ。部屋の中に入ったハーゲンは、階段を床下に収納して、黒シートを降ろし、真っ黒になる。

 第3場 またまた回転して、ブリュンヒルデの部屋。間奏の間、暗くて、ビニールひもの火だけ強調されている。だんだん明るくなると、ブリュンヒルデが椅子に座っている。稲光の後、ヴァルトラウテが3本のワイヤーに吊られて、真上から降りてくる。この歌手は、太っていていかにもワーグナー歌手らしい。ブリュンヒルデは歌いながら、背中のワイヤーを外してあげる。

 この場面が、今まで見ていて、実演で見たときも、いちばんつまらなかった。何でこんな場面が必要なんだ? ただでさえ長すぎるのに。と思っていたが、新国で全編見終わった後だと、以前よりも好意的に見ることができる。

 ヴァルトラウテが去ると、2本目の柱にかけられていた、背景のスクリーンが床に落ちる。いきなりギービヒ家になったようだ。そして、スーツ姿のジークフリートが現れる。いちおうグンターのふりをしているようだ。ブリュンヒルデは知らない人が、ジークフリートしかは入れないはずの火の中に、よその人が入ってきたので驚く。

 ヴァルトラウテの忠告を聞かなかったから、ヴォータンが火の魔力を消したのだと邪推したブリュンヒルデ。怒りのあまり、隠し芸大会でやられるような、グラスなどの乗ったテーブルからナプキンだけを引き抜く。ジークフリートもわざとらしくビックリする。

 夫であるグンターを、寝室に案内するよう脅されたブリュンヒルデは、何ととんでもない行動に出る。舞台前方で、スカートの中のパンティを降ろして、舞台奥に進んでいく。この最後の場面になって、ワーグナーらしい緊張感に包まれ、第1幕が終わる。


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[2010/06/22 17:44] | 神々の黄昏 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
■ 神々の黄昏 ツァグロゼク シュトゥットガルト歌劇場 2002 プロローグ ■
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 「ラインの黄金」「ワルキューレ」「ジークフリート」ときて、第2幕だけとりあげた、シュトゥットガルト歌劇場の「神々の黄昏」の続きです。そのプロローグ。


ローター・ツァグロゼク指揮 シュトゥットガルト州立管弦楽団
演出:ペーター・コンヴィチュニー   舞台美術・衣裳: ベルト・ノイマン
ドラマトゥルギー: ウェルナー・ヒンツェ、ユリアーネ・フォテラー
2002年10月3日、2003年1月12日    
プロローグと第1幕   Ⅰ.94m22s


ジークフリート:アルベルト・ボネマ
グンター:ヘルナン・イトゥラルデ
アルベリヒ:フランツ=ヨーゼフ・カペルマン
ハーゲン:ローラント・ブラハト
ブリュンヒルデ:ルアナ・デヴォル
グートルーネ:エファ=マリア・ウェストブロック
ヴァルトラウテ:ティチーナ・ヴォーン
第1のノルン: ジャネット・コリンズ
第2のノルン: ラニ・ポウルソン
第3のノルン: スー・パッチェル
ヴォークリンデ: ヘルガ・ロース-インドゥリダドティア
ヴェルグンデ: サラ・キャスル
フロスヒルデ: ジャネット・コリンズ


 オーケストラは揃っていて、各自音を出しているが、指揮者はまだいない。客席のざわめきの中、舞台前方右側に、貧乏そうな赤い服を着た女性が、ゴザを引いて座っている。黒い服を着た女性がきて、となりに座る。食べかけのせんべいをカバンから取りだし、となりの赤い女性にあげる。後方には、ギービヒ家のセットとなる木組みの建物に、黒いシートがかけられ目立たないように置いてある。というか、家のセットの前でだべっている。

 ここで、オケがチューニングを始める音がする。もう一人、紫の女性が登場。3人は、仲悪そうに、しかし寄り添っている。指揮者も登場して、音楽が始まるまでに5分53秒。演奏が始まると、3人に、まぶしいぐらいのスポットライトが当たる。「夜明けかー」と歌い出す。この難民のような3人は、やっぱりノルンだったのだ。

 古いセーターをとりだし、ほつれた糸をひっぱる人と、巻き取る人にわかれながら、歌う。ひっぱるのを交代したり、ダンボールに糸を巻いたり、両側でひっぱったりして、結局、糸が切れる。神々の世界の破滅を暗示しているのだろう。


 間奏曲の合間に、裏方の黒子2人で、ギービヒ家にかかっている、全面部分の黒いシートを引き上げる。おっと、ギービヒ家になる骨組みであるが、まだブリュンヒルデの岩山の設定で、テーブルの左右に椅子があり、ジークフリートとブリュンヒルデが左右に座っている。後ろは、背景としてスクリーンが張られ、岩と湖と森の、いかにも「絵」といった風景が映し出されている。

 そして、2人の座る手前、客席側には、一列に、30cmぐらいのビニールひもをばらしたふさふさした赤いものが、下から風を当てられ、火が出ているような雰囲気を出している。これで、回りは火に囲まれているというのだろうか。ものすごく、わざとらしい、子供じみたセット。2人の会話は、茶番劇だと言わんばかり。

 ブリュンヒルデは、家の中でしか着ないような、下着っぽい服を着ているが、それよりもなによりも、見た目、太ったおばあさん・…。うーん、これでいいのかシュトゥットガルト。ジークフリートは、まあまあ、毛皮のタイツ姿の、痩せたプロレスラー風。足にはブロディよりフサフサのレッグウォーマー。

 テーブルの上で2人、くんずほぐれつ遊んだりしたあとは、「私の愛馬を」と、グラーネを取り出す。ホウキの棒の先に、紙に書いた馬の顔と前足。タテガミはフサフサしている。ブリュンヒルデの兜を被せ、まあそんな、手持ちグラーネをジークフリートに手渡し、ジークフリートは外に旅立つ。舞台は赤く染まり、まだ、ここは火の中であるのだ。

 なんだ、この舞台は? それに、ふたりともワーグナーっぽくない。


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[2010/06/20 19:49] | 神々の黄昏 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
泣けるねー! 新国「神々の黄昏」
新国神元


 今、見てきました。新国「神々の黄昏」です。
涙が出そうになるほど、よかったです。

 ただし、欠点のない優れた公演と、手放しで褒められるようなものではありません。突っ込みどころはたくさんあると思います。終演後も、ブラーボに混じって、各所から冷静なブーが聞こえました。

 前回のジークフリートの時は、休憩時間が1時間もあってビックリしました。今回は45分が2回です。それも、予定よりも早め早めに進められていました。

 プロローグと第1幕は、さすがに長時間すぎて、2時間10分、ウトウトしながら聴いていたけれど、ギーヒビ家が出てくると面白くなった。

 ジークフリートの時に、「ジークフリートとブリュンヒルデはもっと声を出さんかいー」と書いたけれど、今回は2人とも声がよく出ていました。特に、テオリンの方が見事な声を聴かせてくれました。

 きっと、ジークフリートの時は、疲れ切ったジークフリートに気を遣って、声を抑えていたのでしょう。そのテオリン、第2幕後半が最高でした。第3幕では、迫力はあるものの、歌い方も声も荒くなりました。もうちょっとうまく歌えると思います。

 演出は、さすがに4部作の最後。初めて見る目の覚めるような舞台装置はなく、単調に感じる部分もありました。特に、ギービヒ家のシーンは、かなり前方の垂れ幕に、巨大ヒツジの顔の絵があるだけで、つまらなかったです。

 しかし、第2幕と第3幕最後は、キース・ウォーナーの魔術にみごとにはまってしまいました。感動で動けなくなるような状態です。もう一回見に行こうかな。



新国神々

☆天山北路の黄昏


「神々の黄昏」  2010/03/21公演

【指揮】ダン・エッティンガー

<初演スタッフ>
【演出】★★★キース・ウォーナー 【装置・衣裳】デヴィッド・フィールディング
【照明】ヴォルフガング・ゲッベル

【企画】若杉弘 【芸術監督代行】尾高忠明 【主催】新国立劇場

§キャスト§
ジークフリート…★クリスティアン・フランツ
ブリュンヒルデ…★★イレーネ・テオリン
アルベリヒ…島村武男
グンター…アレクサンダー・マルコ=ブルメスター
ハーゲン…ダニエル・スメギ
グートルーネ…横山恵子
ヴァルトラウテ…カティア・リッティング
ヴォークリンデ…平井香織
ヴェルグンデ…池田香織
フロスヒルデ…大林智子
第一のノルン…竹本節子
第二のノルン…清水華澄
第三のノルン…緑川まり

合唱…新国立劇場合唱団
管弦楽…東京フィルハーモニー交響楽団

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[2010/03/21 22:15] | 神々の黄昏 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
神々の黄昏 ツァグロゼク シュトゥットガルト歌劇場 2002 第2幕
神々シュト4



 F4ポジターノ・セッションの最中(いつもと同じように絵を描いているだけ)に、以前、ジークフリートまでは取り上げた、シュトゥットガルト歌劇場の「神々の黄昏」を流しておいた。プロローグなどは、本当に流しているだけで、ろくに見ていなかったのだが、第2幕になったら、がぜん面白くなり、絵はまったく描かずに、ちゃんと見てしまった。それで、忘れないように書いておきます。


ローター・ツァグロゼク指揮 シュトゥットガルト州立管弦楽団
演出:ペーター・コンヴィチュニー   舞台美術・衣裳: ベルト・ノイマン
ドラマトゥルギー: ウェルナー・ヒンツェ、ユリアーネ・フォテラー
2002年10月3日、2003年1月12日   Ⅱ.63m04s  


ジークフリート:アルベルト・ボネマ
グンター:ヘルナン・イトゥラルデ
アルベリヒ:フランツ=ヨーゼフ・カペルマン
ハーゲン:ローラント・ブラハト
ブリュンヒルデ:ルアナ・デヴォル
グートルーネ:エファ=マリア・ウェストブロック
ヴァルトラウテ:ティチーナ・ヴォーン
第1のノルン: ジャネット・コリンズ
第2のノルン: ラニ・ポウルソン
第3のノルン: スー・パッチェル
ヴォークリンデ: ヘルガ・ロース-インドゥリダドティア
ヴェルグンデ: サラ・キャスル
フロスヒルデ: ジャネット・コリンズ



 『ニーベルングの指輪』4部作を、それぞれ別の演出家が担当するという企画のシュトゥットガルト歌劇場のシリーズ。そうは言っても、クライマックスに、舞台中央に四角い枠ができる所なんか、それと現代的衣装など、今まで案外統一感があった。この「神々の黄昏」はちょと雰囲気が違う。

 このDVD、トラックに入ると、指揮者の登場も何もなく、いきなり音楽が始まる。スーツ姿のハーゲンの大写しの、後ろにぼやけて、金髪に白装束の誰か立っている。体型その他から、ブリュンヒルデかと思ったら、なんだアルベリヒ。彼は、女性もののブラウスの下をながーくして、引きずるような長さのコートみたいにした衣装を着ている。幽霊みたいな感じを出したいのだろうか。

 対話を進めるうちに、アルベリヒは横になり、動かなくなり、ハーゲンが白い布を掛けて体を隠す。死んだってことかい。そしてカメラが引いて、明るくなり、舞台全体が映ると、2人がいたのはギービヒ家の室内である、1mぐらいの高さの台の上。その回りには家の垂木の骨組みが顕わになっている。

 ここでなぜか、3秒ほど、カーテンを引っ張る2人の裏方?の映像が入る。

 スーツ姿のジークフリートが入ってくると、ギービヒ家の骨組みは回転して、側面を見せる。側面には布が垂らされ、部屋の中は、窓と入り口の一部しか見えない。回転と同時に、グートルーネもいて、2人は会話をする。小さい窓からハーゲンがのぞき見をしている。

 グートルーネのエファ=マリア・ウェストブロックは、モデルみたいに魅力的な女性。お婆さんっぽいブリュンヒルデから、こっちに乗り換える気になったのは、あながち薬のせいばかりではない、と思わせる演出だ。『トリスタンとイゾルデ』と同じかどうか、あながち薬を飲んでも飲まなくても、お調子者のジークフリート、こういうはめになるのでは。

 ハーゲンが、船が着いたぞー、と叫ぶと、2人は部屋の中に入る。そして、ちょっと手前でハーゲンが歌っている間に、家の垂れ幕がなくなり、柱だけになった家の中に配下の合唱団が集まって、ハーゲンを讃えるような歌を歌う。ばらばらに、松明を12本ぐらい持って、四股を踏むような踊りもある。バカにしているようにも見える。

 ここで、船から上がってきたグンター左手から登場。左を向いてみんなで迎える。長いロープを持っていて、10mぐらい過ぎてから、馬でも引いているのかと思ったら、両手を縛られたブリュンヒルデが登場する。ブリュンヒルデは、舞台前方にうずくまる。

 ここで、無頓着に、ケーキを持ったジークフリートとグートルーネが出てくる。舞台前方の平地にいるのは、ブリュンヒルデとグンターだけで、他のみんなは1mほど高い家の中から見下ろしている。ここで、ブリュンヒルデはジークフリートに指輪を要求する。ハーゲンとブリュンヒルデは執拗に、ジークフリートを責める。

 場違いなグートルーネは、奥さんにふさわしい色気を出し、ビルギット・ニルソンをおばあさんにしたようなルアナ・デヴォルのブリュンヒルデは、鬼のように叫ぶ。迫力満点。薄いピンクのドレスに、クリーム色のカーディガンを羽織っているが、双方ともかなり薄い色なので、遠目には白い衣装に見える。

ブリュンヒルデがハーゲンの槍を持ち、ノートゥンクを持つジークフリートとグンターは押されっぱなし。しかし、最後には脳天気で陽気なジークフリートに丸め込まれる形で、みんな舞台から去る。家にはカーテンが降りる。舞台左には、頭を抱えるグンターがうずくまり、中央にブリュンヒルデ。ハーゲンが現れてグンターとブリュンヒルデに声をかける。

 結局、怒りに燃えるブリュンヒルデは、ジークフリートの弱点をハーゲンに教える。ジークフリートが敵に背を向けることはないから、背中には魔法をかけていないという秘密を、教える。グンターはひたすらいじけている。ブリュンヒルデは最後には「ジークフリート死ね!」とまで言う。3人で復讐を?誓う。

 ここで場面が、ガラッと変わって、カーテンが開いて家の中にはみんな勢揃い。結婚式会場であるかのような、花嫁姿のグートルーネが現れ、ブーケをブリュンヒルデに被せ、2人で仲良さそうに、部屋の奥に消える。まるで、めでたし・めでたし・であるかのように第2幕が終わる。

 この、悪いことが起こりそうな、後味の悪い状態で……つづく。


テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

[2010/01/21 18:54] | 神々の黄昏 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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