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「椿姫」 フレミング2006
椿姫フレミング06

ヴェルディ: 歌劇「椿姫」

ルネ・フレミング (ソプラノ: ヴィオレッタ)
ローランド・ビリャソン (テノール: アルフレード)
レナート・ブルゾン (バリトン: ジェルモン)

ジェイムズ・コンロン指揮 ロサンゼルス・オペラ管弦楽団・合唱団 2006
マルタ・ドミンゴ演出

 この収録の前年2005年のザルツブルグ音楽祭での、ネトレプコとの競演で話題になったビリャソンである。あの演出とはまったく違う。解説によると、アメリカでは伝統的なオペラ上演を好まれていると書いてある。そういえばメトの舞台なんてその最たるもの。ここロサンゼルスも、そうなのだろう。個人的印象で言うと、エディタ・グルベローヴァが歌う、1992年フェニーチェ大劇場ライブのような映像だ。

 レナート・ブルゾンは、サントリーホールの5列目ぐらいでジェルモンを歌うのを聞いたことがある。(ヴィオレッタは、ルチア・アリベルティ)その時よりも、ずっと感情的に歌っていて好感が持てる。

 ルネ・フレミングは、メトのライブなどのインタヴュアとしては、ちょくちょく見た記憶があるが、歌っているのをしっかり見たのは初めてだ。インタヴューしているときと違って、熱唱しているとついつい「キリ・テ・カナワだな」と思ってしまう。ビリャソンと顔をくっつけながら歌うところも多く、ときおり画面から目をそらしながら視聴した。

 絵を描きながら、よそ見していたとも言える。歌声だけ聞いている分にはキリ・テ・カナワの歌唱と同じで、悪くない。そんなことをするのは、(きっと)演出のせいでもある。マルタ・ドミンゴ演出となっているが、なんとプラシド・ドミンゴがこのオペラの総監督なのだ。ついつい安部総理と昭恵夫人を連想してしまう。

 という不平を言っても、第3幕のルネ・フレミングの歌唱は感動的だった。マルシャリンを歌ってるのも見てみようかな。

『椿姫』全曲 M.ドミンゴ演出、コンロン&ロサンジェルス・オペラ、フレミング、ヴィラゾン、他(2006 ステレオ)



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[2018/03/16 17:40] | 椿姫 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『椿姫』 スカラ座開幕公演2013/14 ガッティ指揮 ダムラウ
Violetta:Diana Damrau2013


 『椿姫』という曲は、ヴェルディの作品の中でも特に好きな作品というわけではない。そんなに意識していない。『ファルスタッフ』や『仮面舞踏会』『アイーダ』『イル・トロヴァトーレ』なんかの方を愛好している。ところがここ数年、『椿姫』ばかり、いいビデオが放映されている。

 グルベローヴァ=リッツィ、ネトレプコ=リッツィ、ゲオルギュー=マゼール、デセイ=ラングレの名演である。どれも、とりあえず1幕だけ試しに見てみるかと、見始めてしまったら、やめられなくなる演奏だ。おっと、忘れていた。パトリツィア・チョーフィ=マゼールのもあった。それにもう一つ加わった。

ダニエレ・ガッティ指揮 ドミートリ・チェルニャコフ演出

ヴィオレッタ・ヴァレリー: ディアナ・ダムラウDiana Damrau
アンニーナ: マーラ・ザンピエーリMara Zampieri
アルフレード・ジェルモン: ピョートル・ベチャワ
ジョルジョ・ジェルモン: ジェリコ・ルチッチ
フローラ・ベルヴォア: ジュゼッピーナ・ピウンティ
ガストン子爵: アントニオ・コリアーノ
ドゥフォール男爵: ロベルト・アックルソ
ドビニー侯爵: アンドレア・ポルタ
グランヴィル: アンドレア・マストローニ
ジュゼッペ: ニコラ・パミーオ
[BSプレミアム]2013年12月23日(月) 午前0:30~午前4:40(250分)

Violetta2 Damrau2013


 マーラ・ザンピエーリは、昔からよく聞く名前で、まだ歌っていたのかと驚いた。それにしても太っている。怒髪天を衝く赤髪で、長距離トラックの運ちゃんのようだ。おまけに葉巻をすっていて、歌っている途中のヴィオレッタにもすわせたりする。火はついていないように見えるが、二人とも口から煙を吐き出す。

 第2幕の舞踏会では、このアンニーナが赤、ヴィオレッタが緑衣装という、「ノルウェイの森」のような配色をしている。それにしても、なんでアンニーナが舞踏会までピタリと寄り添っているのだろう。

 演出は非常に問題が多いようだ。第2幕の食堂風以外は、あんがい普通のセットだ。第3幕では、ベッドがなくて床にすわっており、後にミイラを巻いた布みたいなのが置いてあると思ったら、それが羽毛かけ布団だった。随所に不気味なマリオネット人形がおいてあったのは、なんなのだろう。

 ヴィオレッタ・ヴァレリーの ディアナ・ダムラウですが、名前はもちろん何度も耳にした事がありますが視聴したのは初めてです。知り合いにディアナさんがいます。英語読みだとダイアナですね。ディアナさんはブラジル人で、ディアナというのはポルトガル語で、ブラジルのポルトガル語では「ディ」を「ジ」となまって、ほんとは「ジアナ」っていうんだ、かっこわるいでしょ、と言っていた。

 そのダムラウ。映像で見る限り、生で聴いたことがある、グルベローヴァ、ネトレプコほどの他を圧する声ではなさそうだ。なにしろアルフレードの声の方が大きく聞こえる。声質はネトレプコに近く、生ではいいのだろうが、こういう場合、幾分もったりした声に聞こえる。ゲオルギュー、デセイのようなキツさはない。

 なによりパッとしない見栄えの歌手が多い中、プリマドンナの顔をしている。その堂々たる貫禄は、最後まで見てもヴィオレッタとは思えない。トゥーランドット、アムネリス、ブリュンヒルデにピッタリだ。葉巻すう赤髪アンニーナと合わせて、悪役女子プロレスラー、ピンクトントンだ。(わからないだろうな)つまり、どう見ても、肺病どころか、どんな病気だって跳ね返す女性だ。ノゲイラよりも強いかも。だが、なんだかんだ言いながらも、第3幕は感動的に歌ってくれた。ラムダウは、実演で聴いてみたい。
 ところで日本放送協会よ『ファルスタッフ』と『仮面舞踏会』も放映してくれ。

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[2013/12/28 17:36] | 椿姫 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
キリ・テ・カナワのヴィオレッタ
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☆ 全曲盤があるとは知らなかった。


 キリ・テ・カナワは、ドミンゴやパヴァロッティやショルティやレヴァインのように、有名でたびたび目にするが、積極的に聴く気にならならない人である。残念ながら。聴く気だったら少しあるが、見る気にはまったくならない。

 『フィガロの結婚』で言うと、ベームのビデオとショルティのレコードで伯爵夫人を歌っている。しかし、両指揮者ともにヤノヴィッツとポップが歌っているビデオがあるのだから、デイム・キリには手をのばさない。

 伯爵夫人はシュワルツコップとヤノヴィッツでほとんど満足していて、他の役を含めてもデラ=カーザ、トモワ=シントウとスチューダーとグルベローヴァで占められている。かといってルチア・ポップのようにスザンナやパミーナ、デスピーナ、夜の女王を歌うわけでもなく、キャスリーン・バトル、アン・マレイでもない。何を聴いたらはまるのか分からないのだ。

 彼女が得意としていそうなプッチーニをあまり聴かないせいもあるのかもしれない。最初に来日したときは、シノーポリ指揮の「マノン・レスコー」だったような気がする。テレビ放映もされたので、何度か見たのだが、良さが分からなかった。

 たまたま3組のアリア集を聴いてみた。意外にも、それぞれ聴き応えがある。
君こそは春 ドイツ・オペラ・アリア集 キリ・テ・カナワ
Kiri Te Kanawa 87 Mozart Arias Tate  モーツァルトアリア集
Kiri Te Kanawa 81 Verdi & Puccini Arias ヴェルディ&プッチーニアリア集

 実は、この1981年録音のヴェルディのアリアは、この頃、つまり30年ぐらい前に聴いていた。確かLPではなくて、カセットテープだった。「椿姫」のレコードに関しては、LPとCDを含めて、一組しか持っていない。ルチア・アルベルティの歌っているものだ。その他聴いたのは、全部借り物。だから自信を持って言っているわけではない。

 自腹を切って本を買わないと身につかないとはよく言われるところだ。しかし、今でも半分の部屋が倉庫のようになっているので、めったに買う気にならない。今年買ったCDは、ハイティンクの「タンホイザー」だけだ。それでだいたい、買ったものは気に入らない。

 第1幕の最後「ああそはかの人か」という有名なアリア。この曲がキリ・テ・カナワで聴いてはじめていい曲だと思った。アンナ・ネトレプコの印象と似ていて、他の曲を歌っても何とも思わないが、彼女のヴィオレッタだけは特別に好き、のようだ。アリア集で歌っているこの曲に関しては、ネトレプコよりも、誰よりもいい。まったく、わたしの見識を疑う話だ。




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[2013/11/15 18:04] | 椿姫 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
『椿姫』 ルチア・アリベルティ 1989
椿姫アルベルティ



 自分が見に行ったオペラ公演が、テレビ中継されて放映されることはたまにあることだ。だが、20年以上たって、いまだにCDとして発売されているのは、驚きだ。そして昨日、ブックオフで見つけた。

1989年1月のサントリーホールの演奏会形式オペラ公演。
ヴェルディ:歌劇『椿姫』全曲

 ルチア・アリベルティ(ソプラノ:ヴィオレッタ)
 ペテル・ドヴォルスキー(テノール:アルフレード)
 レナート・ブルゾン(バリトン:ジェルモン)
持木文子,澤滋(Ms),持木弘,市川和彦(T),鹿野章人,石井敏郎,福井克明(Br)
柳澤安雄(Bs-Br)岡山広幸(Bs)

ロベルト・パーテルノストロ指揮 東京フィルハーモニー管弦楽団 藤原歌劇団
 

 歌手の知名度からいうと、ブルゾンがトップクラス、ドヴォルスキーはそこそこ有名。今となってはルチア・アリベルティはそれほど有名ではないし、レコード類も少ない。しかし、この時は、「カラスの再来」などと騒がれていたのだ。

 どういうわけだか、この頃のブルゾンは、やたらと日本のオペラに出ていたので、特に聴きたくもなかった。実際の声の印象も、弱かった。なんでカプッチッリとか出ないのかナー、と思っていたのだ。このCDで聴く限りでは、そんなに悪くないのだが。

ドヴォルスキーも、昨今のスカラ座のテノールに比べれば歌も見かけもましであるが、比較的印象の弱い歌手だ。たしか、「アドリアーナ・ルクブルール」でフレーニの相手をしていた。ほかにも聴いたことあるはずだが、思い出せない。

 オケも含めた全体の印象としては、ライブなのにキッチリ堅めの演奏で、躍動感や盛り上がりにかける。やっぱりザルツブルグでネトレプコのオケをとったカルロ・リッツィなんて、大したものだと思う。

 でも、主役以外は日本人演奏家、ということを考えると、東京でのライブ、最上級のできばえのような気もする。なにしろ、他の名演CDに比べて、ひどく劣るということはない。それだけでもすごいような気がする。

 それで、ルチア・アリベルティ。「カラスの再来」。そういえばカラスの声に似ている。カラスのダミ声も生で聴けば、こんなに良いんだろうなーと、思わせるに十分なすてきな声だった。CDで聴いても、歌い回しはともかく、声は魅力的だ。ウォークマンでなくて、ちゃんとオーティオでかけてみよう。

 

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[2012/11/20 17:32] | 椿姫 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
歌劇「椿姫」 デセイ、エクサン・プロヴァンス公演
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 金環日食をそのまま見たために、目の調子がおかしいが気にしない。カメラの望遠で見たのが悪かったかもしれない。前半の曇っているときの方が良く見えた。ふだんでも太陽を見るということはあるので、なにを今さら、太陽を直接見てはいけないと大騒ぎをしているのか。欠けている太陽の光は、普段よりも減っているはずだろうに。


 昨日の深夜12:00から、ナタリー・デセイの「椿姫」を放映していたので、最後まで見た。途中で25分ほど「へうげもの」にチャンネルを変えていたのであるが。とにかく、(エクサン・プロヴァンスだし)期待しないで見始めたのだ。

 2010年7月にトリノ歌劇場公演でデセイの歌う「椿姫」をやっていたのだが、高くて買えなかったのだ。その秋に来日したパッパーノとロイヤルオペラ公演は、安く買えた上に、代役の代役の代役で最終日に、ネトレプコが歌うのに当たった。ネトレプコは「マノン」で来ていたのだが、そんなこともあるかと期待はしていたのだ。

 そして、もちろん、もちろん2005年のザルツブルグ音楽祭でのビデオとCDが素晴らしかったし、実演でさらにその印象が強められた。ヴェルディの「椿姫」は、特に好きな演目ではなかったが、この時にずいぶん変わったのだ。

 その後すぐ、マゼールとゲオルギューのスカラ座公演のビデオも放映されてまたまた感動した。そして今回のエクサン・プロヴァンス公演である。デセイに限らずであるが、どうもヴィオレッタ役となると、みんないつもよりよけいに回している。頑張りすぎているような気がする。

だから、第1幕が良ければビデオ録画するかな、といった軽い気持ちで見始めたのだが、途中から目が離せなくなり、「へうげもの」の留守録画を解除して、こっちに切り替えたのだ。したがって、実は、録画した方は目を離して、録画を止めた方を見ることになるのは必定。だから目は離したのだが、目が離せないような名演だったのだ。(これから見直すからね。)

 開演前の客席の映像から始まるが、舞台上に幕がない。客がそれぞれ席に着く間、舞台上にはすでに、端役がごろごろ、というかお喋りしたりして登場している。舞台装置が無くて、垂れ幕だけみたいな転換。やっぱりザルツブルグとかウィーンとか、ミラノとかの総本山とは違うなー。

 それにプロヴァンス。ヨーロッパの中でも南である。南イタリアなどでは、日本人でもビックリするぐらいの小男(なんかこう言うしかないような)がいて、親しみが持てるのである。(ほめているのだ)スラッとした白人ではなくて、アジア人に近いような気がする。そんなところが気になったが、演奏が始まればそんなことは(あんまり)関係ない。



歌劇「椿姫」   NHK BSプレミアム 2012年05月20日(日) 24:00~04:00                                           
ルイ・ラングレ指揮 ロンドン交響楽団 エストニア・フィルハーモニー室内合唱団  
ジャン・フランソア・シヴァディエ演出  
2011年7月 エクサン・プロヴァンス 大司教館中庭で収録                      
 ヴィオレッタ               ナタリー・デセイ
 ジェルモン              リュドヴィク・テジエ
 アルフレード         チャールズ・カストロノーヴォ
 アンニーナ            アデリーナ・スカラベルリ
 フローラ・ベルヴォア      シルヴィア・デ・ラ・ムエラ

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[2012/05/21 20:55] | 椿姫 | トラックバック(0) | コメント(4) | page top
「椿姫」 トラヴィアータ イン パリ2000
メータ放映



 「VHSテープをブルーレイ化」の整理で、ついうっかり、全編、見てしまいました。
2000年6月にパリの名所にてライブで全世界へ生中継された「椿姫」です。

トラヴィアータ イン パリ  グヴァザーヴァ 、クーラ
La Traviata a Paris
Teri Gvazava
Jose Cura
Rolando Panerai
Zubin Mehta
Orchestra Sinfonica Nazionale della RAI  2000-06-03-04 Paris


 アンダーマン制作、メータ指揮、グリッフィ監督で、1992年ローマでの《トスカ》、2010年マントヴァでの《リゴレット》もありました。全世界へ生中継という企画なのですが、なぜかNHKは参加していないようです。だいぶ後でBS放映されたものです。

 数ヶ月前に放映された《リゴレット》では、(テノールの)ドミンゴがタイトルロールを歌っていて、ジルダが新人歌手という、なんというか落ち着きの悪い感じでした。

 この「椿姫」、ホセ・クーラはお馴染みですが、なんで?まだ生きていたのかパネライ?という超ベテラン。そしてヴィオレッタが新人グヴァザーヴァ。10年前も変に感じたが、いまでもやっぱり変だ。

 しかし、ビデオでは、見た目も歌もイマイチな製品が多い中、このように歌はどうかわからないながら、しっかりと見た目の生える美人を起用するという姿勢は支持したい。舞台装置(なにしろ本物)は素晴らしいし、演出も、ちょっと考えられないくらい凝っている。別の場所で演奏しているオケに、よく合わせたものだ。

 こと映像に関しては、今まで見た中で一番だと思う。
ほんとに、こんな美しい映像で「椿姫」が楽しめるのは…驚きだ。



 


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[2011/06/22 17:37] | 椿姫 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
レナータ・スコットと「椿姫」、宿敵はコトルバス!
ついてこーい!…のつづき。

 そもそも私が「椿姫」を聴き始めた(30年くらい前?)、そのときに名盤と誉れの高かったのは、「クライバー コトルバス ドミンゴ」 盤でありました。それを聴いてもあまりいい曲だと思わなかったのですが、続いて「ムーティ スコット48歳 クラウス」盤を聴いたら、これが、すっごく良いのです。

 ぜんぜん違う。なんでこんなにスコットとクラウスが歌うと、味わい深い曲になるのか。ムーティの指揮に感心したことはないが、指揮者の違いなんて、この際どうでもいいことだ。「ドミンゴのワーグナー」という言葉があるが、ないって?、いや、だれでもそう感じていると思う。しかし、定評のあるヴェルディでも、なんだかなー!ということが、絶頂期のドミンゴには多い。若い頃か、晩年の痛んだドミンゴには見るべきものがあるが。

 「リゴレット」であるが、これも名盤と言われるもの「ジュリーニ」盤を聴いた。またもや「コトルバス ドミンゴ」である。これも、ずっと後で、「クーベリック盤 スコット」で聴いて、目を見開いた。またまた、ぜんぜん違うのである。

 ついでに思い出したが、私の好きな『フィガロの結婚』カラヤン新盤、『魔笛』レヴァイン盤。ここでも主役をコトルバスが歌っている。なぜここで、ルチア・ポップを使わないかなーもうっ!(コトルバスに恨みがあるわけではない、念のため)

 ご存じ「名作オペラブックス」でアッティラ・チャンバイは、スコット1962年28歳の「椿姫」録音を、カラス以降もっとも素晴らしいものと言っている。(若くして)「いきなりほとんど完璧なヴィオレッタを達成している。」だなんて。

 そして今週、「スコット ヴェルディ・アリア集」を聴いた。
もう間違いない。
(感情的に)これこそ私がヴェルディのオペラに求める声なのだ。



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[2011/03/19 21:33] | 椿姫 | トラックバック(0) | コメント(4) | page top
スコットとネトレプコの「椿姫」


 昨年、「椿姫」のレコードをたくさん聴いた。
その多くは、なんと、さいたま図書カードと引き替えに手に入れたものなのだった。
(当然です)

その中で最も良かったヴィオレッタは!

「矢口真里」! \(^O^)/ … ではなくて、

「レナータ・スコット」と「アンナ・ネトレプコ」だった。

ついて来れないヤツはおいていくよ! 僕はブレないよ!  (^o^;


 それで、先にネトレプコのことを言うと、5年ほど前の大晦日深夜に、NHKで放映されたので初めて見た。その中で、「イドメネオ」のエレットラのアリアを歌っていた。こんな珍しい歌。映像で見たのは、二十数年前にベーレンスが歌っているのを見たきりだ。しかも、ベーレンスよりも楽々と歌っている。なかなか良い。

 と思ったのだけれど、どう聴いても、好きじゃないタイプの声だし、アリア集など聴いても、特にいいとも思わない。自分から聴こうという気にはならない声だ。実演で「椿姫」が聴けたのは偶然だし、今年も「ボエーム」を歌いに来るみたいだが、聴きに行く気はない。

 実際、目の前で聴いてみると、それはそれは大歌手の風格。今まで聴いた、ギネス・ジョーンズ、フィオレンツァ・コッソット、エディタ・グルベローヴァ、ワルトラウト・マイアーのような、圧倒的な声の力にひれ伏すしかない。…が、レコードで聴く分には、おおむねつまらないと言ってもいい。(あくまで当社比です)

 だからして、ネトレプコのは、あの企画全体、2005年のザルツブルグ音楽祭が素晴らしかったのかもしれない。たまたま演出家と指揮者が良かったのかもしれない。なにしろこの指揮者は、「椿姫」以外では聞いたことがないが、グルベローヴァの「椿姫」、レコードとビデオ双方で見事な指揮をしている。


 このように、ネトレプコが素晴らしかったのは、たまたま一度きり、の可能性もあるが、レナータ・スコットの場合は、そうではない。

 ネトレプコのように、レコードではたいしたことないが、実際に聴くとすばらしい、というような事態になるはずはない。スコットの声は、実演ではもう聴けないからである。グルベローヴァなんかも、最初に聴いた時と、最近ではずいぶん違うから、実際に聴いたからといって、絶対にこうとは言えない。

 これは、「写真」などといっしょで、レコード製品には、現実のほんの一部しか入っていないのだ。そこへいくと「絵」なんてのは、写真に入りきらない現実を入れられる再生装置とも言えるな。決して「写真みたいにそっくりー」なんて、絵をほめないように。

 編集技術などにより、レコードでは素晴らしく聞こえるが、実際はそうでもないという歌手もいるが、どちらかというと、実際はもっと素晴らしいのに、残念!。良い録音が残っていないという歌手の方が多いと思う。…思いたい。


 ついてこーい!

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[2011/03/08 22:23] | 椿姫 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
「椿姫」  マゼール指揮 スカラ座 ゲオルギウ 2007年ライヴ
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 またまた新たなミラノ・スカラ座「椿姫」が放映されました。あのネトレプコの後、ありきたりなキャストでの「椿姫」なんて、しかもゲオルギウ(こう表記されていた)。メトもスカラ座もイマイチだしなー。とまあ、まったく期待しないで見始めた。

 ところがこれがまたすばらしい演奏だった。とても素晴らしいので、悪いところを先に言っておきたい。この演奏、まだ珍しいブルーレイディスクで発売されている。演出・舞台装置もロイヤルオペラの時よりもいい。ああ、それなのに、歌手のクローズアップになると目を背けたくなるような映像である。

 アルフレードのラモン・ヴァルガス。昨年、今までの最高額を払って見に行ったスカラ座来日公演『ドン・カルロ』、全体的にダメな中で、一番がっかりな歌手だった。テノールとしても、同時来日したヨハン・ポータの方がずっといい。そのヨハン・ポータにしても、先日のメト『アイーダ』ではパッとしない。

 それで、つまり、歌がダメな上に、彼の顔を知っている方ならおわかりでしょうが、どう見てもアルフレードではない。アンジェラ・ゲオルギューにしても、もともとそんなにいいと思っていないが、だんだんイレアナ・コトルバスのような表情が多くなった。


 気分が悪くなったことは忘れて、肝心のゲオルギューの歌であるが、1994のショルティ指揮で歌ったときのような、どもこかしこも踏み込みが浅い歌唱ではない。昨年のロイヤルオペラ「椿姫」では、ゲオルギュー降板に何の不満も感じず、代役の不調に期待を膨らませ、僥倖、ネトレプコのヴィオレッタに喜んだ。

 しかし、そもそも歌う準備のなかったネトレプコよりも、予定通りゲオルギューが歌っていれば、最高の感動があったのでは?と思わせる見事なヴィオレッタだ。もとより声質はネトレプコよりもヴィオレッタらしい。きっと指揮者のパッパーノも良い演奏をしたに違いない。(がっかりしたのだ)

 そして、指揮者がロリン・マゼール。かつて、ポストカラヤンの筆頭でありながら、ベルリンフィルの音楽監督をアバドに奪われ、以降、重要なポストに就いていない。(たぶん、っていうかこっちが気にしていなかっただけ?)いままで、CDでは何回か聴いているが(あんまり聴いていないって)、「ワルキューレ第1幕」しか感心した覚えはない。

 先日の「椿姫」カルロ・リッツィの指揮が、ごくオーソドックスな形ですばらしい演奏なのだが、まあ大抵の演奏がそう、しかしここでのマゼールの指揮は他と全く違う。後半、特に第3幕が遅い。異常な緊張感の持続する遅さに、激しい歌唱のヴィオレッタ。ティーレマンのワーグナー演奏のようなと言えばわかりやすいか。

 これに先だって放映された「スカラ座の秘密」という番組で、音楽監督になったバレンボイムが、歌手やオケをトスカニーニばりに、怒鳴りまくっている場面があった。「それでスカラ座のメンバーかっ!」「なんだ、言いたいことがあるのか!」
スカラ座、それで変わったのか?

 

【ヴィオレッタ・ヴァレリー】アンジェラ・ゲオルギウ
【フローラ・ベルヴォア】ナターシャ・ペトリンスキー
【アンニーナ(ヴィオレッタの女中)】ティツィアーナ・トラモンティ
【アルフレード・ジェルモン】ラモン・ヴァルガス
【ジョルジョ・ジェルモン(アルフレードの父)】ロベルト・フロンターリ
【ガストン子爵】エンリーコ・コッスッタ
【ドゥフォール男爵】アレッサンドロ・パリアーガ
【ドビニー侯爵】ピエロ・テラノーヴァ
【グランヴィル(医者)】ルイージ・ローニ
【ジュゼッペ(ヴィオレッタの召使)】ニコラ・パーミオ
<合唱>ミラノ・スカラ座合唱団
<管弦楽>ミラノ・スカラ座管弦楽団
<バレエ>ミラノ・スカラ座バレエ
<指揮>ロリン・マゼール
<演出>リリアーナ・カヴァーニ

<字幕>広塚洋子
収録:2007年7月1・4・7日
ミラノ・スカラ座(イタリア)



    




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[2011/01/18 18:06] | 椿姫 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
■ ネトレプコとロイヤルでもないロイヤル・オペラ「椿姫」■
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 玄関先の立て看板「ヴィオレッタ役変更のお知らせ」は、配られたチラシの中にもあり、さらに開演前に、アナウンスが入り客席から拍手。ロイヤル・オペラの支配人の挨拶中にも拍手。かみあわない通訳の言葉にも拍手。と、主役交代のお詫びの形をとっているが、ネトレプコを獲得して、何やら誇らしげなようす。

 会場全体が、異様に盛り上がっていた。もしかしたら格安席の回りだけ?いや、自分だけ?そんなことはあるまい。なにしろ、ネトレプコが歌う予定はなかったし、今後も「椿姫」を歌う可能性は少ない。あの2005年ザルツブルグの名演を凌駕することは考えられないのだから。

 ショルティ・ゲオルギューのビデオでお馴染みの ロイヤル・オペラ「椿姫」の舞台装置ですが、思ったよりも貧相でした。なにしろ、NHKホールのサイズよりもずいぶん小さいセットらしく、左右と上部がカーテンで隠されています。いちばん遠くから見ているせいもありますが、テレビで見たあのセットが、ちいさい。

 舞台の前にプロンプターボックスがありません。真っ平らな板だけです。その5mぐらい奥に、本来の舞台セットが置かれているのです。終始、手前の板の部分は使われませんでした。つまり、その分。歌手が遠いのです。まわり上下左右に無駄なスペースがあり、一段と舞台が貧相に見えます。

 そんな中で、第3幕は、状況からして死にそうなわけだから、違和感はありません。こんな中で素晴らしかったのは、第2幕第2場です。カジノの場の上で踊ったりするわけですが、これがビデオよりも断然迫力がある。舞台装置もこの時だけは、左右いっぱい使っている。カジノの背景にある、3段窓のあるコロッセオの内側みたいな壁。これを、左右に延長しているようだ。

 この場面は、合唱団が左右に大勢出ていて、とりたて広くしたようには感じない。本場の劇場ではどうだったのだろう。丸いカジノ台の上にある、巨大ナベのフタ。ビデオでは下から見上げていたので威圧感があった。3Fからだと、上からの角度で見下ろすので、全体の中で狭い部分だと感じる。つまり、上下合わせて、まんなかにハンバーガーかカスタネットがあるような雰囲気だ。後ろにはコロッセオ。その上は、何だかわからない傾いた建物。


 合唱団に問題はなかったと思うが、オーケストラの演奏は、とても超一流の歌劇場とは思えないものだった。なんと言いますか、調子のよくないとき?のバイエルン国立歌劇場程度ではないかと思われます。こんなんで分かるわけないか。それでもネトレプコと同じように、後半に向かって良くなってきました。

 他の歌手もちょっと。ネトレプコに比べれて見劣りするのはしょうがないとしても、アルフレード役のジェームズ・ヴァレンティは、ちょっと今まで聴いたことがないぐらい声が出ていない。ジェルモンのキーンリサイドはまあまあだが、第2幕第1場、声がつまって出ない部分があった。この人ダイジョウブかいなと、心配になった。

 肝心のネトレプコ。絶賛している人もいるけど、出だしは良くなかった。これはパッパーノとオケの演奏も同様だ。始め、声が低くて、輪郭がはっきりしないし、高い方が伸びない、という、私の好みでない声だった。ただ、後ろ向きに歌っても十分に届く声量だった。

 ネトレプコ、生ではダメなのかもしれない!
中一日で、急だったから、ダメなのかもしれない!
とか、いろいろ考えたが、だんだん良くなってきた。特に第2幕以降は、声量もあり、高い方も綺麗に出て、素晴らしい声だった。

 第1幕はまだ本調子ではなかったせいで、「花から花へ」の大アリア。とても良かったし、感動したのだけれど、もっと声を伸ばせるところで、途中で止めた!短めにした!ようなところがあって残念に思った。

 第3幕では、ビデオで見たゲオルギューよりも、ネトレプコの方が薄着っぽい。というかゲオルギューは、白いドレスを3~4枚重ね着しているように見える。死にそうなのだから、ネトレプコのようにノーブラの方が真実味がある。演技も、準備していなかったので当然だが、ゲオルギューのものとだいぶ違う。

 しかし、このような、死にそうな衣装とメイクで、カーテンコールで飛び跳ねているネトレプコ。指揮者と手をつないだり(普通か)、代役で舞台袖に私服で控えていたエルモネラ・ヤオ引っ張り出したりと、元気いっぱいです。

 このような幸運にめぐりあって、本当にしあわせです。



 

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[2010/09/26 11:47] | 椿姫 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
■ 待望”ネトレプコのヴィオレッタが実現!■
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英国ロイヤル・オペラ 来日公演 ヴェルディ「椿姫」

アントニオ・パッパーノ指揮 ロイヤル・オペラハウス管弦楽団&合唱団
NHKホール  2010年9月22日(水) 17時開演
 

  ヴィオレッタ・ヴァレリー: アンナ・ネトレプコ
  アルフレード・ジェルモン: ジェームズ・ヴァレンティ
  ジョルジョ・ジェルモン: サイモン・キーリンサイド
  フローラ・ベルヴォワ: カイ・リューテル
  ドビニー侯爵: リン・チャンガン
  ドゥフォール男爵: エイドリアン・クラーク
  医師グランヴィル: リチャード・ウィーゴールド
  ガストン子爵: パク・ジミン
  アンニーナ: サラ・プリング
  ジュゼッペ: ニール・ギレスピー
  使いの男: シャルベル・マター
  フローラの召使い: ジョナサン・コード

 
 以前も書いたように、今年は7月のトリノ歌劇場来日公演でも「椿姫」が演目にあったので、どっちか見るだろうと思い聴き込みました。十数点のレコード(CD、DVD、VHSなど)を用意しました。

 カラス3種、ゲオルギュー2種、ネトレプコ2種、グルベローヴァ2種、スコット2種、ローテンベルガー、モッフォ、スチューダー、セラフィン指揮2種、クライバー指揮、トスカニーニ指揮、佐渡指揮のものなどです。

 その中でも、(世の「椿姫」愛好家には相手にされない意見だと思うが)、スコットとネトレプコが飛びきり魅力的に感じたので、
「この際、絶対、ネトレプコの歌う「椿姫」が聴きたい!」 と決意したのです。

 そこでチケットを探すと、トリノ歌劇場の二つの演目と、ネトレプコの歌う「マノン」は高値がついています。比較的安価に買えるのはロイヤル・オペラの「椿姫」だけでした。それで、NHKホールで最も遠い席であるF席を買いました。

 今回のロイヤル・オペラの演目は、両ソプラノが得意としている演目なので、場合によっては、ゲオルギューが「マノン」を歌ったり、ネトレプコが「椿姫」を歌うこともあると思っていました。

 今回、ゲオルギューの降板が決まったとき、がっかりはしませんでした。ゲオルギューの映像とCDで聴く限り、その絶賛評とは裏腹に、他の演奏に比べて特に魅力を感じませんでした。

 他のみなさんと同じように、ゲオルギューが聴きたくて買ったわけじゃない。現代最高のオペラ指揮者パッパーノとロイヤル・オペラが体験できればそれで満足と、うそぶいていました。しかも定評のあるエルモネラ・ヤオの代役が決まっています。

 ところがこの代役が第1幕で降りるという事件が2回ありまして、アイリーン・ペレスという代役の代役が意外な好演を見せました。しかし、オケの演奏も含めて、ロイヤル・オペラの評判は台無しです。チケットも安く、たくさん売られていました。

 名誉挽回のために、最終公演ではやってくれるのではないかと期待してNHKホールに足を運びました。ホール前では「チケット求む!」と書いたものを持って立つ人々。もしや、ありました。

 ヴィオレッタ役変更のお知らせ
アンジュラ・ゲオルギュー → アンナ・ネトレプコ

 以前、「ニュルンベルグのマイスタージンガー」公演で、予定にないテオ・アダムがザックスを歌うということもありましたが、こんなもともあるのですね。

こうなってしまっては、「パッパーノとロイヤル・オペラ」はもはやどうでもいい。
アンナ・ネトレプコが聴けるのだから。

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[2010/09/23 18:01] | 椿姫 | トラックバック(0) | コメント(3) | page top
速報!!ネトレプコが代役で椿姫を歌う!!
椿姫ro10


 かねてから希望的観測をしていた「ロイヤルオペラの椿姫」ですが、願いがかないました。
今、NHKホールから帰ってきたところです。
そこにあった主催者側からの発表です。


ヴィオレッタ役変更のお知らせ
アンジュラ・ゲオルギュー → アンナ・ネトレブコ

 このたびの英国ロイヤル・オペラ「椿姫」におけるアンジェラ・ゲオルギューの降板、それをうけて代役をつとめたエルモネラ・ヤオが、初日、3日目の公演で途中降板して、第2幕からアイリーン・ペレスに代わるという予期せぬ事態になったことに対し、観客の皆さまに深くお詫び申し上げます。
 エルモネラ・ヤオの不調をうけ、ロイヤル・オペラ側から最終公演である本日のヴィオレッタ役の発表がありました。オペラ・ディレクター、エレイン・パドモワのコメントを下に載せましたが、本日は20 日に「マノン」の最終公演を歌い終えたばかりのアンナ・ネトレプコが、ヴィオレッタ役を演じます。ネトレプコはすでに2年前にロンドンにおいて、このリチャード・エア演出の「椿姫」に出演し、大成功を収めています。
 なにとぞ、ご了承のほどお願い申し上げます。
財団法人日本舞台芸術振興会


 英国ロイヤル・オペラの18年ぶりの日本ツアーも、本日最終日を迎えました。
今回の「椿姫」においては、大変残念ながらアンジェラ・ゲオルギューが愛娘の手術に立ち会うことを余儀なくされ降板せざるを得なくなってしまいました。彼女の降板の意志はたいへん固く、それからすぐに私たちは代役探しに奔走いたしました。そしてエルモネラ・ヤオを確保することできました。ところが、彼女は初日と3 日目の公演で、突発性のアレルギーによる音声障害によって、第1幕のみで降板するハプニングに見舞われました。両公演にお越しいただいた皆さまには、このような予期せぬ事態になりましたことを、心よりお詫びしたいと思います。

 当初、ロイヤル・オペラとしてはゲオルギューの降板をうけて、あらゆる可能性を考え、アンナ・ネトレブコを含め、さまざまな歌手にあたりました。当然、ネトレプコは今回「マノン」に出演していますので、全公演には出演できません。しかし、通常、中2日休んで出演しているところを、「マノン」の最終公演を無事歌い終えた後に調子がよければ、(中1日しかなくても)「椿姫」の最終公演のみ歌えるかもしれないとのことでした。ですから、私たちも最終決定を今まで待たなければなりませんでした。

 ロイヤル・オペラとしては、二度にわたるエルモネラ・ヤオの途中降板をうけ、再びネトレプコに打診しておりましたところ、ネトレブコから最終公演のヴィオレッタを歌うという確認をもらいましたので、ここに皆さまにお知らせしたいと思います。
ネトレブコはすでに2年前ロンドンにおいて、このリチャード・エア演出の「椿姫」に出演し、大成功を収めています。 日本の観客の皆さまのご理解をお願い申し上げます。それでは、どうぞ英国ロイヤル・オペラ日本公演の最終公演をお楽しみください。
英国ロイヤル・オペラハウス
   オペラ・ディレクター
    エレイン・パドモワ

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[2010/09/22 22:27] | 椿姫 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『椿姫』 第1幕 グルベローヴァ フェニーチェ歌劇場1992DVD
椿姫gu92



 対訳の選択をして、スタートボタンを押すと、海の表面の揺らぎのような映像に変わり、いきなり音楽もスタートする。そして、ヴェネチアの街の様子を映し出しながら運河をわたり、フェニーチェ歌劇場の中に入り、オケの演奏している場面が映し出される。これは映画版か?と思わせるが、その後は普通のライブ映像。


椿姫  第1幕 Ⅰ.29m36s
カルロ・リッツィ指揮 フェニーチェ歌劇場管弦楽団 1992
エディタ・グルベローヴァ(ヴィオレッタ)
ニール・シコフ(アルフレード)
ジョルジョ・ザンカナーロ(ジェルモン)


 まあ、なんというか、むりやりだが、藤原紀香を太らせたような(比較的)若き日のグルベローヴァ。それでも、始めて生で見た時の印象よりも老けている。ニール・シコフもそれなりに若いが、先日見た「ボエーム」ほどでもない。歌も悪くはないが、魅力的でもなく、どうも、若さを感じさせない人だ。

 フェニーチェ歌劇場の舞台は狭い。床はうすむらさきの絨毯。これは全幕かわらない。第1幕の背景は、紺のカーテンを束ねたもの。ソファーと燭台、巨大な額縁に入った鏡。これだけ。ちょっとさびしい。

 ちょっと気が利いているのは、この巨大な鏡。前方に傾いているために、舞台前にいる人々を、後ろの上から見下ろしたような姿に映す。ただし、めったに画面上に出てこないので、効果のほどは不明だ。

 ちょうど、クーラ、グレギーナの「アンドレア・シェニエ」ビデオを見たばかりなのだが、カルロ・リッツィという指揮者は気に入っています。ネトレプコの「椿姫」もいいし、なんでもちょっと有名にならないのだろう。グルベローヴァとの「椿姫」は、スタジオ録音のCDも出ているが、どんなもんなんでしょう?

 第1幕最後、ヴィオレッタの大アリア、「ああ、そはかの人か~花から花へ」。これこそ、グルベローヴァ最大の見せ所ではないか。恐らく、こんなに自由自在に声が出ているのは、1952年頃のマリア・カラス以来(最近聴いたばかりですけど)と、勝手に思っている。

 しかしなんとここでは、控えめだ。もっと高く、長く伸ばせば感動的なのにと思うが、伴奏に合わせて抑制して歌っている。最後の声も、短めに締めている。

 グルベローヴァ好きの私としても、このような名曲、声があるから感動するというわけでもない。このような美しい声で聴くと、何かが足りない、あるいはなにか大切なものが失われている、ような乾きを感じる。だいぶ以前にカセットテープで聴いたのだが、キリ・テ・カナワの歌うこのアリアはとてもよかった。

 指揮者も歌手も、悪くないし、かなり健闘していて好感が持てる。問題は再建されたフェニーチェ歌劇場にあるのではないか。

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[2010/08/25 11:50] | 椿姫 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
ゲオルギューとネトレプコの「椿姫」
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 「椿姫」は、それほど?私のレパートリーではない。しかし、今年の外来オペラの目玉、トリノとロイヤルオペラの双方で「椿姫」をやるんじゃあ、ひとつくらい見たいような気がする。同時にかかる演目である「ボエーム」と「マノン」は、「椿姫」以上に、縁もゆかりもない曲である。

 過去に実際に聴いた「椿姫」は、オペラではなくて、サントリーホールの演奏会形式での公演。ルチア・アリベルティ、ドヴォルスキー、ブルゾンといった、ちょっと期待できるメンバー。これがなかなかの名演で、「椿姫」って第2幕が面白いんだ!と気づいたしだいです。

 今回のロイヤルオペラで、「椿姫」はゲオルギュー、「マノン」はネトレプコという、それだけで満員御礼になりそうな、超有名歌手である。ちょっと予習してみようと取りだしたら、うちにある「椿姫」DVDは、ネトレプコのものであるし、「マノン」CDは、ロイヤルオペラ、パッパーノ、ゲオルギューのものである。実際の公演と、逆じゃないか?

 「マノン」で調べてみたら、ネトレプコも、トリノの方の「椿姫」であるデセイも、「マノン」のDVDを出していた。つまり「マノン」っていう曲は、「椿姫」の得意な歌手なら歌う、似たような曲なのではないか。ゲオルギューにいたっては、来日と同じ、ロイヤルオペラの演奏で、両方とも出している。どっちがどっちを歌ってもいいんだ。

 歴史的年代とはうらはらに、「椿姫」のDVDでは、2005年、話題になったザルツブルグ音楽祭のネトレプコ主演のものを先に見ている。今から、15年ほど前の、ゲオルギュー、ショルティのビデオを見ても、楽しめるのだろうか。ゲオルギュー、ネトレプコ双方の、DVD・VHSとCDを揃えてみました。



指揮: カルロ・リッツィ
演奏: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
ヴィオレッタ・ヴァレリー………………アンナ・ネトレプコ(ソプラノ)
フローラ・ベルヴォワ…………………ヘレーネ・シュナイダーマン(メッゾ・ソプラノ)
アンニーナ……………………………ディアーネ・ピルヒャー(ソプラノ)
アルフレード・ジェルモン……………ロランド・ヴィリャソン(テノール)
ジョルジョ・ジェルモン(その父)………トーマス・ハンプソン(バリトン)
ガストーネ(レトリエールの子爵)………サルヴァトーレ・コルデッラ(テノール)
ドゥフォール男爵………………………ポール・ゲイ(バリトン)
ドビニー侯爵……………………………ヘルマン・ヴァッレン(バス)
グランヴィル医師………………………ルイジ・ローニ(バス)
ジュゼッペ(ヴィオレッタの召使)………ドリタン・ルカ(テノール)
フローラの召使……………………フリードリヒ・シュプリンガー(バス)
使いの者………………ヴィルヘルム・シュヴィングハンマー(バリトン)
【収録:2005年8月 ザルツブルク祝祭大劇場(ライヴ収録)】



指揮:サー・ゲオルグ・ショルティ 1994.12
コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団&合唱団
ヴィオレッタ                アンジェラ・ゲオルギュー(ソプラノ)
フローラ(ヴィオレッタの友人)  リー=マリアン・ジョーンズ(メッゾ・ソプラノ)
アンニーナ(ヴィオレッタの使用人)      ジリアン・ナイト(メッゾ・ソプラノ)
アルフレード(ヴィオレッタの恋人)        フランク・ロパード(テノール)
ジェルモン(アルフレードの父)             レオ・ヌッチ(バリトン)
ガストン子爵(アルフレードの友人)          ロビン・レゲイト(テノール)
ドゥフォール男爵(ヴィオレッタの保護者)       リチャード・アラン(バス)
ドビニー侯爵(フローラの保護者)             ロデリク・アール(バス)
医師グラングイル                   マーク・ビーズリー(バス)



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[2010/06/13 19:27] | 椿姫 | トラックバック(0) | コメント(1) | page top
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