『アイーダ』 レヴァイン メトロポリタン1988
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☆ 

 先日、ヴェローナの新『アイーダ』を取り上げたばかりだが、偶然ブックオフでレヴァイン・メト1988盤DVDが安価に売っていた。しょうがない、買うか。

 それで、ヴェローナもミラノもメトも古い方が良かったと、毎度言っているようなのだが、まさしくそうなのである。ビデオでこんなにまとまったキャストは他にないだろう。


ジェイムズ・レヴァイン指揮 メトロポリタン歌劇場管弦楽団&合唱団
ソーニャ・フリーゼル演出 1989年10月、メトロポリタン歌劇場

アイーダ:アプリーレ・ミッロ
ラダメス:プラシド・ドミンゴ
エジプト王:ディミトリ・カヴラコス
アムネリス:ドローラ・ザージック
ランフィス:パータ・プルチェラーゼ
アモナズロ:シェリル・ミルンズ
伝令:マーク・ベイカー
巫女:マーガレット・ジェーン・レイ

第1幕 第1場28m28s、第2場10m06s。
第2幕 第1場15m56s、第2場24m50s。
第3幕 32m42s
第4幕 第1場20m30s、第2場11m42s

 ドミンゴとレヴァインは、普段好んで聴くことはないのだが、こういう場合は安定感抜群である。かつてのプロスト、今のアロンソのような信頼感。意外なことはしない。

 メトロポリタン歌劇場の舞台装置は大胆である。第1幕、第2幕ともに、第1場は舞台前方のみを使い、第2場に変換するときには、前の方の幕や書き割りのセットなどを引っ込めると、裏に第2場の巨大な舞台が出てくる。

 という、当たり前のことであるが、第1幕ではセットが上に上がった。(これ普通)。第2幕では、なんとセットが下がっていき、後に神殿が見えてきて、第1場は床になってしまうという、ちょっと驚きの展開だ。

 そして現れた宮殿は、正面向きではなく、左を向いて斜めになっている。それで左奥に通路があるので、軍隊の行進などは左奥から右手前にぞろぞろ出てくる。メトもミラノも、ヴェローナに比べてしまうと、平土間が少なくて狭い感じはいなめない。

 第4幕では、舞台床が途中まであがって、下に穴があり、ラダメスがいるという展開になる。なかなかの工夫だ。新国立劇場も、リングのときのように、舞台装置を上下に動かしてほしいものだ。


 アイーダは実演で3回聴いたが、歌手はミッロ、グライダー、グレギーナであった。まず、ミッロでそうとういい線だろう。この頃、他の歌手というと、スチューダーしか思いつかない。スチューダーの歌っているビデオは消してしまったので、確かめられないが、きっと素晴らしいアイーダだろう。

 アムネリスのドローラ・ザージックも、フィオレンツァ・コッソット以降では、もっともましなアムネリスだろう。ただ映像的には、ミラノ旧盤のゲーナ・ディミトローヴァの方が断然威厳と美しさがあった。

 ランフィスのパータ・プルチェラーゼ。強面で、これ以上の適役は知らない。みんな恐いけど、特にこの人は強情そうだ。ランフィスが死刑と言ったら死刑なのだ。王様も逆らえない。

 ところがなんと、エジプト王とアムネリスの容姿が、王家の威厳など無く、庶民的でかわいい。普通のおじさんとおばさんだ。他の4人は、ぱっと見こそ太っちょだが、プロレスラーのような筋肉質の体格だ。特にアプリーレ・ミッロが、二の腕といい、胸板といい(ただの巨乳か?)たくましい。

 そして、ヴェローナ新盤と同じく、アモナズロのシェリル・ミルンズがひときわ立派なので、アイーダとの親子関係が納得できる。何となく似ている。エジプト王のように、戦争はラダメスに任せているのとは違い、自ら武闘派のエチオピア王家である。

 今回もまたまた、エジプトの負けであった。

ヴェルディ:歌劇《アイーダ》 [DVD]



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[2013/03/09 20:01] | アイーダ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『アイーダ』 ヴェローナ2012 第3・4幕
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☆話は変わってくるが、ヴェローナのギリシャ劇場


 アレーナ・ディ・ヴェローナは、ローマ式円形闘技場ですが、ローマ時代の円形闘技場の大きさでは、ローマのコロ ッセオ、カプアのアレーナに次ぐ3番目。

 私がツアーの途中で2時間ほどヴェローナに寄ったときは、アレーナではなくて、ローマ劇場の方を見に行きました。美しそうだったから。形式的にはギリシャ劇場と呼ぶ方がふさわしい劇場ですが、なんでローマとつけるのだろうか。そんなこと言うなら、アレーナだってローマ劇場でしょう。なんて考えて観光してました。

第3幕 30m42s
第4幕 第1場19m18s、第2場10m44s

 第3幕は夜なので暗い。舞台中央で歌うだけで、演出もほとんど無いに等しいので物足りない。アモナスロのみ、やはり立派だ。

 第4幕は今までとはちょっと違っている。アムネリスの世界と地下牢の世界を分ける段があるのは当然だが、それがまた異常に立派だ。5×10mで高さが3mほどの巨大な石のテーブルが置いてあるようだ。しかもその上空に、そのテーブルよりも広めの天蓋が覆っている。どうやって吊っているのだろうか。

 背後のアレーナの階段席最上部には松明を持った人がずらっと並ぶなどの、見た目を楽しませる工夫は毎度のことだ。しかし、こんなものだったのだろうか。

 ためしに1981年収録の映像を見てみた。歌手がコッソット、キアーラ、マルティヌッチで段違いなのは言うまでもないが、演奏と舞台装置ももっと豪華だった。したがって30年後、ハイビジョン高画質になって美しくなった映像の利点は、ほとんどない。アモナズロのアンブロージョ・マエストリがいいぐらいなものだ。

 そういえば『アイーダ』のビデオ、メトロポリタン歌劇場も以前のレヴァイン指揮の方が良かったし、スカラ座も、以前のマゼール指揮あたりの頃の方が名歌手がそろっていた。最近だって、もうちょっと有名な歌手を揃えられるんじゃないのかなあ。ほかにもいっぱいいると思うんだが。ビデオ収録の予算が少ないのだろうか。歌手の契約料が高騰しているのだろうか。昔のも放映してくれ。




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[2013/02/21 18:30] | アイーダ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『アイーダ』 ヴェローナ2012 第2幕
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 第2幕以降を見てみたが、野外だから当然だが、舞台装置はそれほど変化しない。パリやローマにある巨大なオベリスクが両脇にあるのは変わりない。8本ある大列柱室の柱は、2個ずつペアで移動する。

 第2幕第1場では、中央に4本、左右に2本ずつ。第2場になると中央を広く開けるために、真ん中にあった4本も、2本ずつ左右に移動し、それもかなり左右で、あんまり見えない。第3幕では、右側に4本を2列にし、固めている。第4幕では第2幕第2場と同じで左右に引き下がっている。

 第1場では、ふんぞり返っているアムネリスの前に、20人ぐらいの子供たちがすわっており、ダンスが終わると、ダンサーと一緒に引き下がるところが見ていてほほえましかった。

 第2場になると、ここがアレーナの見せ所ですな、真ん中を広く開けて左右にランフィス僧侶軍団ざっと80人。それに増員しての合唱団員。20人の子供たちもいる。背景の階段席の上にもエキストラがいる。そして中央口から100人ぐらい、どんどん兵士とダンサーが入ってくる。どうみても舞台上には200人以上いる。

 そんな中、補助男性2人いるものの、基本的には女性メインダンサーが中央で踊りまくる。この点、他の歌劇場の演出と違う。日本公演でもこんな感じだった。

 そして、100人くらいの兵士とダンサーが引っ込むと、さらに100人ぐらいのラダメス軍団とエチオピアの捕虜が入ってくる。馬に乗った騎士も4組。(さすがにゾウは出てこなかった)いったいどれくらいの人が参加しているのだろう。アイーダと、アレーナ・ディ・ヴェローナ野外オペラ・フェスティバルの巨艦大砲主義満開ですね。これだけ大げさにやってくれると、そうとう気持ちいいでしょう。

 最後に登場したアモナズロはアンブロージョ・マエストリ。この人の恰幅の良さには驚いた。声も強力で、一番印象が強い。ぜひ、本物を聴いてみたい。他の歌手が弱すぎるというせいもあるのだろうが。これじゃあ、エジプト、負けちゃうよ。


第1幕 第1場27m12s、第2場9m54s。
第2幕 第1場15m36s、第2場25m18s。

ダニエル・オーレン指揮 ヴェローナ野外劇場管弦楽団&合唱団&バレエ団
ジャンフランコ・デ・ボジオ演出

アムネリス:アンドレア・ウルブリヒ
アイーダ:ヘー・ホイ
ラダメス:マルコ・ベルティ
ランフィス:フランチェスコ・エルレロ・ダルテーニャ
エジプト王:ロベルト・タリアヴィーニ
アモナズロ:アンブロージョ・マエストリ
エジプト王の使者:アントネルロ・チェロン

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[2013/02/19 17:30] | アイーダ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『アイーダ』 ヴェローナ2012 第1幕
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 先週、BSプレミアムで2013年2月11日(月)に放映されました、アレーナ・ディ・ヴェローナ野外オペラ・フェスティバル2012年6月23日収録の『アイーダ』です。

ダニエル・オーレン指揮 ヴェローナ野外劇場管弦楽団&合唱団&バレエ団
ジャンフランコ・デ・ボジオ演出

 かつて1989年、アレーナ・ディ・ヴェローナの代々木国立競技場で行われた日本公演は観劇しました。巨大で印象的な舞台ですが、しかし、あの舞台。平土間ではなくて、階段状の比較的近い席だったが、やはり広すぎて声がよく聞こえません。

 この時は、コッソット、キアーラ、マルティヌッチ、カプッチッリという豪華過ぎる配役が予定されていました。やけに簡単にチケットがとれると思って当日になると、裏キャストのほぼ無名な歌手の日でした。アイーダ歌ったアプリーレ・ミッロだけ有名かな。映像で見る限り、キアーラよりもミッロの方が良さそうだった。

 そして、もちろんバージョンアップしているでしょうが、演出は同じジャンフランコ・デ・ボジオでした。そんなわけで、歌唱に期待はしていないものの、ちょっとわくわくして見てみました。


第1幕 第1場27m12s、第2場9m54s。

 客席は夕暮れだけれどもまだ明るい状態で始まる。ダニエル・オーレンという指揮者は、何度も名前は聞いているし、たぶん生で接したこともあるような気もするが、出てきてみると見覚えがない。体操の着地のように、両手を広げて客席にごあいさつ。イスラム風?ちっちゃくて丸い帽子をかぶっている。変だ!

 またもやテノールが長州小力みたいな太っちょだ。2000年以来、イタリアオペラで見るテノールが、ほとんどこんな感じ。フォークトみたいなテノールはいないのだろうか。さらにアムネリスもアイーダも、そこそこ似たようなもんだ。ビデオ収録といえども、あくまでも歌唱力で選んでいるに違いありません。

 アイーダが歌い終わって、第2場になると、いきなりカルナック神殿の大列柱室みたいな柱が移動していた。移動の時間は映像でカットしているのだろう。そして手前が広くなっており、80人ぐらいの僧侶、50人ぐらいの白い巫女のダンスが圧巻。普通の歌劇場とは違うアレーナの魅力ですね。

 最後は手前で、ラダメスとランフィスが歌って終わる。どういうわけだか、逆にと言うか、バス歌手はスリムな人が多い。ランフィスが一番イメージピッタリで良い。しかし二人の後にいる、金色の卑弥呼みたいな第一ダンサーが終始目立ってカッコイイ。

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[2013/02/15 17:30] | アイーダ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
スカラ座のアイーダは…見るべきだったかなー??の続き!
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 フランコ・ゼッフィレッリの『アイーダ』演出の映像がある「ジュゼッペ・ヴェルディ劇場ブッセート」公演のDVDは以前採り上げた。その時に比べたら大きくて豪華な舞台装置だ。しかし、巨大石造建築のメトに比べると、いささか安価にすませている雰囲気は感じられる。

 特に第2幕に顕著であるが、金色の棒のようなモノをスダレのようにたくさん吊して、豪華金色ピカピカの世界を表現している。金を現すのに金色はいらない。金色を多用しても、平面的になっていると金色に見えない。

 中世のモザイクを見ても、金箔をガラスに張り付け、それを砕いて小さくし貼り付ける。ダイヤモンドのカットと一緒で、角をたくさん作り、そこが光って、金色を感じさせる。あるいは、1枚1枚の角度の違いによって、キラキラ感を出す。

 基本は汚れて黒ずんだ黄土色、一部黄色、さらにその一部が白く光っている。これで金色に見える。したがって、金の棒がたくさんあるのは、金いっぱいの感じを表現するのに理にかなっていると思う。

 あと、ビデオのチャプター割をしていて感じたのだが、幕間、場間に画面が暗くなり、十分時間を取ってから次の場が始まるといった、落ち着いた演奏?というか構成をしていた。バレンボイムのテンポは、速いところと遅いところと緩急があり、普通とちょっと違って落ち着かない部分もある。先日のマゼールの「椿姫」のように、普通と違うけど、納得して身を任せられるのとは、ぜんぜん違う。


ミラノ・スカラ座 2009年日本公演2009,9,4 NHKホール
指揮:ダニエル・バレンボイム
演出・舞台装置:フランコ・ゼッフィレッリ
衣裳:マウリツィオ・ミレノッティ
照明:ジャンニ・マントヴァニーニ
振付:ウラジーミル・ワシーリエフ
合唱指揮:ブルーノ・カゾーニ
エジプト王 カルロ・チーニ
アムネリス 代役でエカテリーナ・グバノヴァ
アイーダ ★★ヴィオレッタ・ウルマーナ
ラダメス ★ヨハン・ボータ
ランフィス ジョルジョ・ジュゼッピーニ
アモナスロ ★★ホアン・ポンス


 2回見たらタイトルが変わりまして、「見るべきだった!」から「スカラ座のアイーダは…見るべきだったかなー?」と疑問符になりました。前回は前半だったので、なんだか全体に良かったのだ。後半は、個別歌手の力量が計られる。

 アモナスロのホアン・ポンスは、以前のマゼール指揮の時と同じキャスト。全くもって板についている。すばらしい。ラダメスのヨハン・ボータも、容姿に目をつぶれば、かなりいける。

 肝心のアムネリスが代役でエカテリーナ・グバノヴァ。第4幕第1場のクライマックスで力が足りない。何ごとも思い通りにならない女王様であるが、ここは言霊で、言葉で神官たちを殺すぐらいでなければならない。この点、メトのザージックの方が桁違いにいい。

 アイーダのヴィオレッタ・ウルマーナは、かなり、アプリーレ・ミッロとかぐらい良い。彼女がアムネリスを歌ってくれた方が締まるのではないかと思う。しっかし、太っている歌手が、やっぱりいいんだなー。

 このオペラ、最後はアムネリスの「パーチェ」のくり返しで終わる。英語の「ピース」の語源だと思われるが、平安、安らかに。てことは、現代の「平成」ってまさに「パーチェ」。シィレンチョ!


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[2011/01/29 19:17] | アイーダ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
スカラ座のアイーダは…見るべきであった、残念!
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 何度か採り上げているように、年末年始にBS放送でメトロポリタンとスカラ座の公演をたくさん放映した。その中にかぶる演目が一つだけあった。『アイーダ』である。ブログ始めてから今まで、余り採り上げてこなかったが、よくよく考えると、外来オペラでは3回も見ているし、テレビ放映されたものもたくさん見ている。

 あまり実演を見に行かない私としては、外来オペラ3回は最多だし、人気の演目ということもあってビデオで見た種類も最多だろう。実はそのせいもあって、一昨年のスカラ座来日公演では、珍しい方の「ドン・カルロ」を選んでしまった。バレンボイムは同時に行われた「レクイエム」のチケットも取ってあったし、その前年「トリスタンとイゾルデ」も見たから、この『アイーダ』はやめておいたのだ。

 ああ、あれは失敗だった。『アイーダ』の方にしておけば良かった。メトの舞台と段違いの、絵にも描けない、言葉に言えない、伝統を感じさせるすばらしさ。

 スカラ座の『アイーダ』というと、1972年デ・ルッロ&アバドで、アーロヨ、コッソット、ドミンゴ、カップッチッリ、ギャウロフ。という素晴らしすぎる、そのキャストをそのまま使ってムーティがEMIにオペラ初レコーディング。このCDは買っている。

 その後、たぶん初めてTVで見た『アイーダ』が、ロリン・マゼール指揮、ルカ・ロンコーニ演出、スカラ座1986年。
アイーダ(アムネリスの奴隷、実はエチオピア王女):マリア・キアーラ
ラダメス(エジプトの武将):ルチアーノ・パヴァロッティ
アムネリス(エジプトの王女):ゲーナ・デミトローヴァ
アモナズロ(エチオピア王):ホアン・ポンス
ランフィス(司祭長):ニコライ・ギャウロウ
エジプト王:パータ・ブルチュラーゼ   

 ランフィスとエジプト王は、メトも含め、このあと歌手が先細りしていくような気がするので、この時の2人は最高。そしてさらに今後、見た目のかっこわるいラダメスが続き、アイーダやアムネリスも、たとえばリッチャレッリのような役柄にふさわしい見栄えの歌手がいなくなる中、アムネリスがゲーナ・デミトローヴァである。

 アムネリスがこのオペラの主役だと思っているが、エジプト女王にふさわしい容貌でビデオになっているのはデミトローヴァただ一人である。歌唱に関してはコッソットに劣り、メトのザージックもそれに次ぐが、長丁場画面を見ていると、少々の歌の欠点などよりも、エリザベス・テーラー張りのデミトローヴァの方が納得できるし、泣ける。先日のメトの舞台なんか、主役3人ともひどくて見ていられない。まあ、演奏は双方とも並ですけど。



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[2011/01/27 19:42] | アイーダ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
メトロポリタンオペラ、2009年の「アイーダ」
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 11月末に、ハイビジョンでメトロポリタンオペラの映像を連日放映した。
「トスカ」「アイーダ」「トゥーランドット」「ホフマン物語」の4つも。

 衛星放送を録画して、非常に思ったのだが、ハードディスクに録画した番組名を見るとわかりにくい。なぜならまず「5.1」とか「BSベスト・オブ・ベスト」とか「ハイビジョン特集」とかの名前がついていて、その後で「世界遺産」とか「美の巨人」とか「欧州鉄道紀行」などの番組タイトルがつき、その後に、これが本題である「ヴェネチア」とか「レオナルド・ダ・ビンチ」とか「九寨溝」とかが出てくる。

 それが長すぎるものだから、ビデオのタイトル表示は一行だけ、テレビ番組表だって短い、「BSベスト・オブ・ベスト わが心の旅 パ」というふうに、タイトルが途中で終わっていて内容がわからないのだ。

 「5.1」というのも、特殊な高音質サラウンド音源なのだろうが、アナログテレビで見る限り、以前の放送よりも音質が悪い。これも、新製品に買い換えろということか。


 そこで「トゥーランドット」の途中から見ることが出来たのだけれど、知人から「アイーダ」を見せてもらった。今回のメト・シリーズは、名歌手がコメンテーターを務めている。なんと、ルネ・フレミングがその任に当たって、歌い終わった歌手にインタビューしたり(話がかみあわないけど)、舞台裏の説明などをする。


指  揮:ダニエレ・ガッティ
演  出:ソーニャ・フリゼル
アイーダ:ヴィオレータ・ウルマーナ
アムネリス:ドローラ・ザージック
ラダメス:ヨハン・ボータ
アモナズロ:カルロ・グエルフィ
ランフィス:ロベルト・スカンディウッツィ
[ 収録:2009年10月24日、メトロポリタン歌劇場 ]


 それが始まってビックリ、以前見たのと同じ舞台装置、演出のようだ。それもレヴァイン指揮の20年ぐらい前だと思う。まさかそんな!と調べてみたら演出家名が同じだった。第1幕を見た限り、ほとんど同じだと思う。過去の配役は


指  揮:ジェイムズ・レヴァイン
演  出:ソーニャ・フリゼル
アイーダ:アプリッレ・ミッロ
ラダメス:プラシド・ドミンゴ
アムネリス:ドローラ・ザージック
アモナズロ:シェリル・ミルンズ
司祭長:パータ・ブルチュラーゼ
[ 収録:1989年10月7日、メトロポリタン歌劇場 ]


 ごらんのように、パッと見ただけで、以前の方が歌手が良さそう。
アムネリス役のドローラ・ザージックだけ一緒なのには、ちょっと驚いた。1950年録音のベーム指揮『影のない女』で主役を歌っているレオニー・リザネクを、同じ役で1984年の東京で聴けるのだから。確か同じ頃、メニューインも聴いたな。だからあり得るが、珍しいことだ。

 そのザージック、かつてよりキレが悪い。っていうか、みんな太っていて、レポレロが3人揃って歌っているようなで、みんなオーラがない。アズチューナも歌い、フィオレンツァ・コッソットの跡を継ぐような、かつての勢いはなくなっている。

 特に良いと思ったのは、ランフィス。したがって、第1幕第2場は気分が良い。ラダメスのヨハン・ボータは、昨年、バレンボイム指揮のスカラ座「レクイエム」の時に聴いたが、全然悪くない好感の持てる歌手だった。しかし、録音のせいもあるのかパッとしない。

 演出同じで、歌手が劣るとは、何のために再収録したのだろうか。はたして、第2幕以降、新たな発見があるのか。


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[2010/12/28 18:32] | アイーダ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
「アイーダ」 ジュゼッペ・ヴェルディ劇場 ブッセート2001 後編
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フランコ・ゼッフィレッリ演出 カルロ・ベルゴンツィ音楽監督
マッシミリアーノ・ステファネッリ指揮
ブッセート ジュゼッペ・ヴェルディ劇場 2001年1月27日 ライブ収録

アイーダ[S]: アディーナ・アーロン
アムネリス [MS]: ケイト・オールドリッチ
ラダメス[T]: スコット・パイパー
エジプト王 [BS]: パオロ・ペッキオリ
ランフィス[BS]: エンリコ・ジュゼッペ・イオーリ
アモナズロ[BS]: ジョゼッペ・ガッラ
アルトゥーロ・トスカニーニ財団管弦楽団
アルトゥーロ・トスカニーニ財団合唱団

Ⅰ.40m21s Ⅱ.32m18s Ⅲ.34m05s Ⅳ.33m16s


 前奏曲が始まって、まず驚くのは、オケピットの狭さ、そしてバイロイトではないが、舞台の床下の奥の方まで人が入っている。通常よりもオケの人数が多いためにそうしているのか、それとも床面を張り出しているのか、いつもそうなのかはわからない。舞台の床の真ん中、プロンプターがいるあたりに、オケの中まで支えの太い柱が見える。

 300人収容の小さい劇場。そのため舞台もオケピットも小さいが、出てくる音も、またずいぶん違って聞こえる。ヴァイオリンやチェロの音が、あたかもソリストが一人で弾いているかのように生々しい音を紡ぎだしている。そういった通常のアイーダ演奏とは別の魅力を感じる反面、指揮者の個性みたいなものは全く出ていない。

 舞台装置は、たいてい左右と上に、ドッシリとした石の彫刻や柱があり、真ん中が奥深く空いているという構造になっている。小さいセットのせいか、いつもよりも精巧に作られているように感じる。レリーフや背景の絵も美しい。

 第1幕と第2幕の始まりの部分が一番重要な場面だと、演出時にゼッフィレッリが説いていたが、この部分はまったく不満はない。第2幕の動物とかダンサーがやたらたくさん出てくる凱旋の場は、すっぱりカットされていて、この幕の時間は短縮されている。

 第3幕では、ラダメスの衣装が、寝間着ふうで、だらしない感じがするのが違和感を感じる。歌ばかりのこの幕では、さすがに新人歌手、若干の聞き劣りがする。

 第4幕はいままでと違って、舞台真ん中にツタンカーメンのレリーフのようなものがある大きな祭壇があり、左右が奥へとつながっている。第2場で上下に分かれるために、そういう構造になっている。

 歌手はみんな甲乙つけがたく、立派に歌っている。主役3人はアメリカ出身。ラダメスはアジア人に見える。アイーダは黒人系。アムネリスはアングロサクソン系。ここで活躍したからといって、すぐに大歌劇場で歌えるわけではないが、将来が期待される。

 なかでもとりわけ優れているのは、アムネリス役のケイト・オールドリッチである。解説でも、イタリアの新聞記事から、この時23歳であったことが分かったと書いているぐらいの驚き。

 アムネリスといえば、世のドラマティック・ソプラノが、声に自信がついたときに意を決して臨む役である、ともある。 第4幕第1場はフィオレンツァ・コッソットが歌うのを2回聴いたことがある。はなっから、比べちゃいけないことは分かっているが、それを思い出すと幼い感じは、ちょっとだけする。若さからいって、20年後か。

 前奏曲と同じく、最後の場面でのヴァイオリンの音が、印象的に心に響く。舞台が狭いせいで、カーテンコールは左右いっぱい。舞台下の奥にいたオケ団員も、全員前へ出て、立って拍手に加わる。ブラーヴォ!

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[2009/01/12 22:40] | アイーダ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
「アイーダ」 ジュゼッペ・ヴェルディ劇場ブッセート 2001 前編
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フランコ・ゼッフィレッリ演出 カルロ・ベルゴンツィ音楽監督
マッシミリアーノ・ステファネッリ指揮
ブッセート ジュゼッペ・ヴェルディ劇場 2001年1月27日 ライブ収録

アイーダ[S]: アディーナ・アーロン
アムネリス [MS]: ケイト・オールドリッチ
ラダメス[T]: スコット・パイパー
エジプト王 [BS]: パオロ・ペッキオリ
ランフィス[BS]: エンリコ・ジュゼッペ・イオーリ
アモナズロ[BS]: ジョゼッペ・ガッラ
アルトゥーロ・トスカニーニ財団管弦楽団
アルトゥーロ・トスカニーニ財団合唱団

Ⅰ.40m21s Ⅱ.32m18s Ⅲ.34m05s Ⅳ.33m16s


 この映像は、イタリア・ブッセートにある「ジュゼッペ・ヴェルディ劇場」でおこなわれた公演です。ヴェルディの生まれた街で、新人歌手の登竜門として知られるコンクールがおこなわれる場所。したがって、歌手は新人、300人収容の小さな劇場での公演だ。

 昨年見た、ムーティ指揮の『ファルスタッフ』DVDもこの劇場での演奏。ところが演技についても歌唱についても、たいへん魅力的な演奏に仕上がっている。その新人とは思えない素晴らしさは、ひとえに、フランコ・ゼッフィレッリの演出というか演技指導のたまものだ。

 2枚組のDVDの一部にボーナストラックとして、ゼッフィレッリが演技指導するドキュメンタリーが付いている。ゼッフィレッリが中央で意見を言い、横にいるカルロ・ベルゴンツィにたまに話しかける。指揮者は遠くで歌手が歌うときのピアノ伴奏をするのみ。専門的な歌唱指導の場合だけ、名歌手ベルゴンツィの指示を仰ぐのだろうが、そのような場面はほとんどない。普通は指揮者が指導するようなことも、全てにゼッフィレッリが意見を言っている。

 マッシミリアーノ・ステファネッリという指揮者については、解説でもまったく触れられていない。おそらく、指揮者も歌手と同じで、指導される新人の部類に入っているのかもしれない。ゼッフィレッリがNo.1で ベルゴンツィがNo.2という権力構造がはっきり映っている。 

 ゼッフィレッリはいろいろな話をして、新人歌手相手にドラマの核心を語る。そのなかで、カラヤンはこの場面を、こうとらえていた、と話すところもあった。私たちは、先輩から学んだ伝統を、若手に伝える義務があるという話もしている。ゼッフィレッリもベルゴンツィもかつてカラヤンと共演している。

 これを見て、カラヤンのザルツブルグ音楽祭の映像を思い出した。演出は、有名なミヒャエル・ハンペだが、演出とは名ばかりで、まるでカラヤンの助手のように映っていた。歌手の演技にまで、事細かくカラヤンの演技指導が入っている。ウィーン国立歌劇場時代は演出もたくさん手がけたカラヤン。どんな人も、カラヤンの意に反する意見は言えないだろう。

 そんなカラヤンのように、ゼッフィレッリが全てを支配しているような公演であるが、その心のこもった、熱心な指導には、感心させられる。これは、20代の新人の公演であるが、イタリア各紙で絶賛された。

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[2009/01/03 21:21] | アイーダ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『イル・トロヴァトーレ』メトと『アイーダ』オランジュ音楽祭
メトトロ



 メトロポリタン歌劇場の『イル・トロヴァトーレ』ですが、普通に市販されているDVDです。最近取り上げたメト『ナクソス島のアリアドネ』と『ワルキューレ』も市販されていますが、自家製録画のモノでした。ジェームズ・レヴァイン指揮で、マルトン、ザージック、ミルンズ、パヴァロッティというそこそこの配役です。今回は正規のDVDだったので、音質がとてもよく、レヴァインの指揮もなかなかのもので、歌唱もなかなかのものと、いったんは思ったものの、やっぱり何にも感動しない演奏だった。

 逆に『イル・トロヴァトーレ』の台本と音楽は、やっぱり素晴らしいと思った。『椿姫』や『アイーダ』なんてのは、よくできた作り話だが、『イル・トロヴァトーレ』は現実にあったことだと強く思う。そう思わせるなにかがある。


『アイーダ』 オランジュ音楽祭 1976年 ピエール・ジョルダン監督

 以前取り上げた『トリスタンとイゾルデ』カール・ベーム指揮 オランジュ音楽祭ライブ映画 1973年7月4日収録のものと、非常に似たような映像。同じプロダクションで制作されたモノなのかどうかは不明。『トリスタン』同様に、明るいところと暗いところの明暗差がくっきりで、カラー映像ながら白黒映像を見ているような印象を受ける。ただしこちらの方がいくぶん、きれいに映っている。

 『トリスタン』は別の場所であったが、この『アイーダ』はアウグストゥスの像があることで有名なオランジュの、ほぼ紀元頃に作られた円形古代劇場を使っておこなわれている。 

トマス・シッパース指揮 トリノ歌劇場O&Cho サンドロ・セークイ演出
オランジュ音楽祭 1976年 ピエール・ジョルダン監督

アイーダ=========ジルダ・クルス=モロ
アムネリス========グレース・バンブリー
ラダメス=========ペーター・グーガロフ
アモナスロ========イングヴァル・ヴィクセル
ランフィス========アゴスティーノ・フェリン
国王===========ルイージ・ローニ

 カメラ5台、強風の中のステレオ録音、編集に6ヶ月という、かなり高い完成度を目指した、編集ばっちりの映画でありながら、奇妙な生々しさと訴えかけるもののある映像である。すべてが美しいメトロポリタン歌劇場のDVDと、全く反対だ。5台のカメラも、真上から写したり、客席奥の高い真横から写したりと、通常の映像と違って落ち着かないことはなはだしい。この強引なライブ映像、アイーダとアムネリスのドレスが強風にはためいている中での歌唱に熱いものを感じる。

 なんてかわいそうなアムネリス。どうしてタイトルが『アムネリス』ではないのか。
幸せに死んでいく二人を前に、たった一人で生きていかなければいけないのに。

 『イル・トロヴァトーレ』どうしてタイトルが『アズチェーナ』でないのか。
この劇は、アズチェーナで始まり、彼女の「おかあさん、かたきをとったよ!」で終わるのに。

 どうして『スザンナの結婚』・・・・・やめときます!

テーマ:オペラ - ジャンル:音楽

[2008/02/20 18:30] | アイーダ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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