『ラインの黄金』 バレンボイム スカラ座2010 第4場
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ライン バ2010-3



 第4場 ライン川に沿う山地のつづき

 背景が緑になり、ワルハラ渓谷らしくなる。回転する月も現れる。アルベリヒの降りていった階段から、フリッカ、ドンナー、フローが上がってくる。金塊を運んだような動きは全くない。

「フライア様の身代金は…」とか言っているが、特になにもないぞ!と思っていたら、いつのまにか、なにやら黄色の光が漏れている板が重ねてある。1m方形、厚み8cmぐらいの板を重ねてあるのだが、厚みの側面は光っておらず、正方形の面から光を放っている。持ち上げると光面が多く見える。

 舞台上の明るさが増し、フライアが現れる。巨人兄弟とその巨大影も映る。その光る板を、版画を乾燥させて保存しておく台、高さ2mほどの台に差し込んで、ちょっとしたファンシーケースのように重ねる。

 その重ねてある隙間から、フライアの目が見えるということで、ヴォータンの持っている指輪、実はてぶくろ、を要求する。ところが「指輪はわたさん!」と駄々をこねるヴォータン。舞台背景が上から青みを増してくる。月も回転を止めた。なにか悪い予感が。

 地下から女性がせり上がってくる。が下半身がどんどん長くなって、ざっと3人分の背の高さになる。エルダはアンナ・ラーション、昨年「ミサ曲ハ短調」で聴いた歌手だ。舞台上は真っ青。しかし、これでは歌いにくいだろう。歌い終わると、地下に沈む。

 ヴォータンもあきらめて、指輪手袋を隙間に突っ込むと、ファンシーケース黄金は、これまた地下に沈む。指輪の取り合いをする兄弟は、弟が、フライアに気があった兄を殺す。

 全体が暗くなり、2場で出てきた「裸の人間がくんずほぐれつ、ゆっくり動いているようなものが見える最後の審判のように、身悶えている人々」のようなものが、全体に広がり、琥珀の中に閉じこめられた人間の化石のように変わる。フローが歌い出すと、だんだんハッキリしてくる。これは、死んだ英雄たちの亡骸、あるいは魂の身もだえか。

 全体が白っぽく明るくなってくる。数人のダンサーが床に倒れていたが、少しずつ起き上がり、みんなで激しく踊りだす。月はなくなり、「琥珀の中に閉じこめられた人間の化石」らしい背景が白っぽくなり、ぼやけてきたと思ったら、いつのまにか人間の浮き彫り、白い板に掘られたレリーフ状になっていた。これは、不思議だ。

 次にそのレリーフ板背景が、上にあがっていく。こんなにハッキリ舞台装置が動くのは、今回ではめずらしい。後ろは真っ黒。床は、凹凸部分を持ち上げたのか、平面の水たまりに変わっていた。

 ローゲ以外のみんなは、舞台奥の暗闇に消える。いつのまにか「レリーフ板背景」がもどっており、床の水に反射した照明の揺らぎが「レリーフ板背景」にゆらゆら投影されて、なんとも微妙な雰囲気に。

 床の段差がもどり、「レリーフ板背景」が赤く染まり、ローゲが手をかざして音楽が終わって幕となる。拍手。

 幕が開いて、女5人、男4人のダンサーがごあいさつ。続いて一人ずつ出てくる。ラインの乙女、フロー、フライア、ドンナー、ミーメときて、それからファーフナー、ファゾルト、エルダ、フリッカ、アルベリヒ、ローゲ、最後がヴォータン。このような序列なのかと、改めて思う。



『ラインの黄金』ダニエル・バレンボイム指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団
ギー・カシアス演出 2010年5月26日収録 2h32m23s
2011年12月27日(火)深夜24:20~翌日3:13(173分)放送

ヴォータン:ルネ・パーペ
ドンナー:ヤン・ブッフヴ
アルベリヒ:ヨハネス・マルティン・クレンツレ
フロー:マルコ・イェンチュ
ローゲ:シュテファン・リューガマー
ミーメ:ウォルフガング・アプリンガー・シュベルハ
ファゾルト:ヨン・クワンチュル
ファフナー:ティモ・リーホネン
フリッカ:ドリス・ゾッフェル
フライヤ:アンナ・サムイル
エルダ:アンナ・ラーション
ヴォークリンデ:アガ・ミコライ
ウェルグンデ:マリア・ゴルチェフスカヤ
フロスシィルデ:マリナ・プルデンスカヤ
バレエ:イーストマン・バレエ・カンパニー



  



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[2012/02/20 18:15] | ラインの黄金 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『ラインの黄金』 バレンボイム スカラ座2010 第3・4場
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☆ 



 第3場 ニーベルハイム
 緑だった背景が真っ赤になり、左右から横筋がいっぱい入った、鉄板が何層にも重ねてあるような壁面が出てきて、真ん中に人一人通れるぐらい開けて止まる。上からも横長の壁が3つ降りてくる。それぞれの壁の間から真っ赤が覗いている。

 つまり、全体的に見ると、郵便局の〒マークの上にもう一本棒を付けて、横に伸ばした赤い光が見えているのだ。中央上から、4m四方で厚み30cmの鉄板4枚重ねたようなお立ち台がデンと降りてくる。その上部には、まるで天蓋のように照明器具がたくさん付いている。上から吊している4本のひももハッキリ見えている。

 いきなりアルベリヒがミーメをいじめている。「隠れ兜」で姿を隠すが、4人のはだか風のダンサーがアルベリヒを取り囲んで姿を隠している。ダンサーはお立ち台の上でしばらく踊っている。

 ヴォータンとローゲ登場。ミーメの声が立派なので、ローゲの声がいつもよりもソフトに聞こえる。アルベリヒはお立ち台の上で、ダンサーをソファーにして座ったり、自分の威力を誇示する。近づこうとすると、ダンサーが見えないバリアとなりはねつける。逆にダンサーの黒子に操られているアルベリヒにも見えなくもない。

 大蛇になるところは、背景に不明瞭なアルベリヒの姿を映し出す。逆に、ヒキガエルになるところではダンサーがいなくなり、すぐにつかまってしまう。

 ここでの、ダンサーを「隠れ兜」や鎧や、バリアなどに扱う演出は、他の場所と違って効果的で面白いと思う。シンプルな舞台装置もカッコイイ。

 〒字の縦スリットから出て行き、今度は別のダンサーが10人ぐらい出てきて場面転換のダンス。その鉄板上の背景板が引いて、元々の赤い壁が、金色っぽくなって現れる。



 第4場 ライン川に沿う山地
 つかまったアルベリヒが、財宝を持ってこさせる場面。アルベリヒは4人の女性に囲まれている。(第1場の時に使った写真はここの場面。)どうやら、鎖につながれているようすを表しているらしい。女性の間から手を出して指示しているところなんぞは、ちょっとカッコイイし、うらやましい光景だ。

 ローゲの方には、下だけ黒いタイツをはいた男性ダンサーが付いている。と言っても、ほとんどゴロゴロしているのだが。背景は同じものながら、岩ッぽい灰緑色。海底みたいに光は揺らいでいる。

 ヴォータンがアルベリヒから指輪を奪う。指輪ではなくて、金をまぶした手袋であるが。アルベリヒの回りのダンサーは四方に倒れる。自由の身になったのだ。さんざん悪態をついた後、地下に降りる穴を下っていった。


Conductor Daniel Barenboim
Staging Guy Cassiers
Sets Guy Cassiers and Enrico Bagnoli
Costumes Tim Van Steenbergen

Wotan Rene Pape
Donner Jan Buchwald
Froh Marco Jentzsch
Loge Stephan Rugamer
Alberich Johannes Martin Kranzle
Mime Wolfgang Ablinger-Sperracke
Fasolt Kwangchul Youn
Fafner Timo Riihonen
Fricka Doris Soffel
Freia Anna Samuil
Erda Anna Larsson
Woglinde Aga Mikolaj
Wellgunde Maria Gortsevskaya
Flosshilde Marina Prudenskaya

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[2012/02/14 22:14] | ラインの黄金 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『ラインの黄金』 バレンボイム スカラ座2010 第2場
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 というような文字通り「場つなぎ」の舞踊があって(開始から26分後)第2場へ入る。後壁が光の色を変えたらしく、緑色になるとともに、いつの間にかヴォータンとフリッカが立っていた。始めは大勢で床でゴロゴロしていたダンサーも、段々減っていき、最後は歌手2人にダンサー2人となった。

 さて、だんだん明るくなってくると、よく見えてくる。ヴォータンは、ネクタイはしていないが、大富豪風スーツ。左目にはクマがある。眼帯などはしていない。フリッカも舞踏会風ドレス。ブラウン髪を短くまとめている。2人のダンサーが、それぞれ歌っている歌手の後ろで、感情表現(らしい動き)をしている。

 背景がちょっと変わる。表面は岩肌であるが、ライトの明暗で、グランドキャニオンか黄河流域か、といった峡谷らしい風景を投影している。ワルハラなんだろうか?

 ここでフライアと巨人登場。長い金髪、普通のドレスのフライアに、ダークスーツの巨人。この巨人は背の高さと顔つきが全く違って、とても兄弟には思えない。背後の緑の壁に、影絵のように、等身大のフリッカと3倍はあろうかという巨人兄弟の影が黒く映っている。実際はなにもしていないが、影ではフリッカをもてあそんでいる。

 ヴォータン、巨人ともに男性は短髪オールバック。壁の上には、月らしい、まん丸いものが浮かんでいる。巨人2人の影の、真っ黒い中に、裏が透けて見えているようだが、裸の人間がくんずほぐれつ、ゆっくり動いているようなものが見える。システィーナ礼拝堂にあるミケランジェロ作の最後の審判のように、身悶えている人々のようだ。

 フローとドンナーがよれよれコートで出てくる。細身のフローに、もじゃもじゃ頭のファルスタッフみたいなドンナーでして、とても神族とは思えません。そして、この舞台の主役っぽいローゲであります。ローゲには特別に背後霊ダンサーが付いています。しかし、見た目はもじゃもじゃファルスタッフの、さらにハゲが進んだ状態です。まさに額が多い分、顔が広いのです。こりゃ地毛か?いや、カツラでしょう。

 ローゲダンサーと巨人の影絵はしばらく続きます。上に浮かんでいる月は、だんだん暗くなってきました。フライアのせいでしょう。ローゲは一時だけ、歌と関係なく、後ろで踊っているダンサーと同じ振り付けで踊ります。

 ルネ・パーペは終始汗をかいている。これはヴォータンの辛い立場を表す演出なのか、たぶん自汗だろうけど。パーペは、ディースカウみたいな四角い顔の大きな男で、どうも見た目がいけません。昔見た、三遊亭小園遊がさっそうと歩いているのを思い出します。

 最後の方は、女性3人ダンサーが出てきて、うーん色っぽい。お話と何の関係があるのだろうか。上の方にある月田と思った丸いもの、回っている。鳥かごのように、たてに並べられた棒が回っているのだ。それで球体に見えている。いつのまに変わったのだろう。それとも、始めっからこれだったのだろうか。

 巨人がフリッカを連れて去ったが、女性ダンサーは床でゴロゴロ。ローゲはまたまた、ダンサーに合わせたりしている。床下から数人のダンサーが出てきて、神々のひとり一人を地下に引きずり込もうと床に伏せっていく。ヴォータンはかろうじて立っている。

 ローゲ一人、フライア効果に影響されず、元気だ。ローゲ自体の動きはないが、ダンサーが、せっせと足を高く上げたりしている。これが背後霊ダンサーの効用か。

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[2012/02/10 20:28] | ラインの黄金 | トラックバック(2) | コメント(0) | page top
『ラインの黄金』 バレンボイム スカラ座2010 第1場
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 年末にNHK-BS放映された、スカラ座『ラインの黄金』です。先に『ドン・ジョヴァンニ』は書きましたが、ウィーン、バイロイト、ザルツブルグなどとは雰囲気が違いますね。この『ラインの黄金』。ビデオでは、サヴァリッシュ盤、ブーレーズ盤、レヴァイン盤、ツァグロゼク・シュトゥットガルト盤、クプファー演出のバレンボイム盤などを見ているはずです。なかでも、演奏ではサヴァリッシュが、演出(映像的に)ではクプファーが良かったように思います。さて、今回はどうでしょう。


『ラインの黄金』ダニエル・バレンボイム指揮 ミラノ・スカラ座管弦楽団
ギー・カシアス演出 2010年5月26日収録 2h32m23s
2011年12月27日(火)深夜24:20~翌日3:13(173分)放送

ヴォータン:ルネ・パーペ
ドンナー:ヤン・ブッフヴ
アルベリヒ:ヨハネス・マルティン・クレンツレ
フロー:マルコ・イェンチュ
ローゲ:シュテファン・リューガマー
ミーメ:ウォルフガング・アプリンガー・シュベルハ
ファゾルト:ヨン・クワンチュル
ファフナー:ティモ・リーホネン
フリッカ:ドリス・ゾッフェル
フライヤ:アンナ・サムイル
エルダ:アンナ・ラーション
ヴォークリンデ:アガ・ミコライ
ウェルグンデ:マリア・ゴルチェフスカヤ
フロスシィルデ:マリナ・プルデンスカヤ
バレエ:イーストマン・バレエ・カンパニー


 バレンボイムは、まず小さく3回ほど棒を振ってから、大きめに振り降ろした。そこから演奏が始まった。カラヤンのライブ映像を見ても、先に「いち」「に」と小さく合図をしてから、棒を振り下ろしていた。

 幕が開くと、センターは緑色の壁である。ほとんどは真っ黒であるが、光の当たったところだけ緑色に輝いている。サファイアとかの石を薄く切って積み上げているような輝くテクスチャーを生み出している。これは当然照明によって色が変わる。

 その前、左右に、2倍サイズの畳を立てかけているような方形の板。金屏風のように輝いている。表面上はキレイだが、板を立てているだけで、奥行きのない簡素な舞台だ。これで水の中だと思えってことか。きっと、この背景の板が引っこむと、後ろに壮大な舞台装置があるのではないかと、思わせる。

 ラインの乙女たちは、みんな、腰まで来るぐらいの長い金髪とブロンド。黒っぽい、肩を出した普通のドレス。かと思っていたら、明るくなってみると黒地にいろいろな模様が入った、懲りに凝った衣装だ。

 アルベリヒは、現代的、浮浪者風、よれよれコート、長い手袋とブーツとまあ、もじゃもじゃ頭の寒いファルスタッフといった体型だ。こんな今風なのはやめてほしいものだ。

 緑の壁面は、光の揺らぎで海底の雰囲気を出し、ときおり顔のようなものが映ったり、ぼんやりダンスをしている姿が映ったりする。その前の、まあ、なにもない所で、4人が大騒ぎをするわけだ。といっても、勝手に踊っているだけのようだが。

 床面には薄く水が張ってあるらしく、時々、バチャバチャしている。左右の金屏風巨大畳は、いつの間にか表面が岩肌になっている。岩のような金塊が現れたということか。

 「オレはこのようにして、愛を呪うのだ」アルベリヒが着ていた上着を脱いで、振りかぶって水にたたきつけると、緑だった背面壁が金色に変わる。奥の壁が上にあがり、金色地に、真ん中に黒い煙が立ち上る。結核の肺のレントゲン写真にも見える。

 水びちゃびちゃの中、8人の男女ダンサーが現代的舞踏をくりひろげる。全面、赤っぽい金に煙がただよい、あたかも金が燃えているかのようにも見えているうちに第1場は終わる。背景は金から緑に色が変わってくる。
…って、これで金塊が持ち去られたことになるのか。

 これって、二期会の『ダフネ』『ファウスト』の時にあった「演出・振付:大島早紀子」を思い出すぞ。ラインの乙女たちも歌手というよりも、モデルのようだ。美しい人が多いので、見た目に退屈はしないが、こんなにダンサーが要るのか。これが『ラインの黄金』か?




  

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[2012/02/07 18:04] | ラインの黄金 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
新国立劇場 『ラインの黄金』再演  第4場
■第4場■

 またまた舞台は第2場と同じものが、右から出てくる。ダンボール箱とか大槍入れなどはなくなっている。

 ヴォータンに指輪まで取り上げられたアルベリヒは、指輪に呪いの言葉をかける。その後、指輪を持つものは殺される運命になるのだが、なぜ、アルベリヒにそのような力があるのかわからない。ヴォータンにもローゲにも誰にも、その呪いを解く力はない。

 アルベリヒの財宝は、舞台の前面通路を通って、ヴォータンの大槍を入れていた箱があったあたりに、スーツケースで並べられる。その数20個ぐらい。

 ローゲの登場した箱のあったあたり、左側で、フライアを箱に入れて、その中にスーツケースの中身をあける。最初と最後だけ、金粉のようなものがでてくるが、途中は、ただスーツケースを開けてひっくり返す形だけ。

 ファーゾルトはフライアを手放すのが惜しくて、隠れ頭巾と指輪まで要求する。フライアは、私にそんなものと交換する価値があるのかしらと、なんだか、巨人と一緒にいても悪くないような雰囲気を醸し出す。

 ところが、指輪をなかなか手放さない、わがままヴォータンを諫めるために、エルダが現れる。しかも、変なところから、変な体勢で現れる。舞台の箱の左下のジグゾーパズルが開いた。パズルの輪郭を光らせながら。その中に、ビーナスのように横たわったエルダがいる。

 もちろん、今までヴォータンたちのいたところは暗くなり、立ち上がって舞台中央に来て歌うエルダにスポットライトが当たる。ラインの乙女たちと同様、顔に妙な白塗りの模様が描いてある。このような、奇異な状態であるが、このエルダの歌唱は、もっとも感動的な場面だった。

 これで、指輪をわたして、めでたく、巨人たちは、左から右へ手前通路を通って帰って行く。その途中、ファーゾルトが、フライアをあきらめたのだから、指輪は俺によこせとか言ったのに、ファーフナーが腹を立てて、ファーゾルトを殺す。

 フライアが駆けつけて、通路下に手を伸ばす。ここのところはよく見えないが、立ち上がったフライアのスカートには血のあとがべっとり。二人にはこんな別れが待っていたとは。その他、アルベリヒの剣を使って、指を切り落としたり、なにやら切ったり殺したりと、血なまぐさい部分は、目を瞑ることにしよう。


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というわけで、これから第2場からの箱舞台から、ヴァルハルへ向かう。最初から、真ん中の穴から、遠くのヴァルハルが見えていたが、それが真っ白になっている。それが動いているようだと思っていたら、なんと、今までの箱舞台が、下に下がっていく。上の方から真っ白な、ヴァルハルが現れる。ただし、手前に箱がある分、舞台のかなり奥にある。

 箱舞台が完全に地下へ降りると、ヴァルハルの手前に、真っ暗で大きな穴が空いている。何層にも重なっている、舞台下の鉄骨などが、ウエハースのように重なっているのが見える。これがめっぽう面白い光景だった。こっ!ここが、描きたくて、こんなにイラストを描いてきたのだ。しばらくすると、奥にあったヴァルハルが、穴を塞ぐように、前にせり出してきた。

 ヴァルハルは、真っ白な3角形で、左に「WAL」、右に「HALL」の2mぐらいのゴシック文字が、壁に立てかけてある。部屋の上と、左右には、矢印と数字を書いた、黄色の看板が、規則正しく取り付けられている。

 悲しみにふけるフライアをよそに、フローはビデオを回し、他のみんなは誇らしげにたたずむ。色とりどりの風船が舞っている。これが7色の虹のつもりかな。神々はみんな白いスーツ。

 最後の威風堂々といった感じの音楽で、三角の奥が開いて、神々は舞台奥へ向かって歩いて去っていく。ローゲだけは同じ黒の燕尾服でタバコを吸う。一仕事が終わった。もうこんな自分勝手な神々にはうんざりだ、てなことを最後に言う。


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[2009/03/19 19:54] | ラインの黄金 | トラックバック(2) | コメント(2) | page top
新国立劇場 『ラインの黄金』再演  第3場
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■第3場■

 舞台左側にある階段から地下の世界に降りる。そうすると第2場の箱が右側に移動すると同時に左側からニーベルハイムの箱がつながって出てくる。第2場のセットは右から出てきて、右に引っこんだということ。第3場が終了すると、また右から第2場のセットが出てくる。

 第2場と似たような、ひっくり返したような、変形長四角の穴の空いた、白い箱。右下に「NIBEL」、左上に「HAIM」という太ゴシック体の文字が逆さまに貼り付けられている。くりぬかれた穴の中は、ほとんど真っ白。柱が2本立っていて、奥の方の下の方で、金の精錬などをしているようだ。火の手が上がったり、ハンマーで叩いたりする様子の上の方だけちょっと見える。

 ミーメに作らせた「隠れ頭巾」は、ヘルメットタイプ。ヴォータンとローゲの前で、変身するときは、中央床から、パズルの形が立ち上がり、その後、または下にもぐって、大蛇に変身する。大蛇の顔は左上から出てきた。

 ヴォータンとローゲ、アルベリヒにミーメ、その4人以外の人物がいる。ラインの乙女がシンクロナイズドスイミングをしていた時の衣装に近い、白い水着にコートを羽織っている女性だ。しかも、ラインの乙女よりも、明らかにスタイルがいい。愛を断念したはずなのに、アルベリヒには愛人がつきまとっているのか。うらやましいぞ!

 それでもって、問題は、アルベリヒが捕まって、場面がニーベルハイムを左へ、右から出てきた第2場のセットが押して行く、この場面転換のとき。3人がいなくなったとたん、ミーメと愛人が、セットが左へ消えかかる寸前、右端ぎりぎりで、女性の方からミーメに抱きついた所で見えなくなる。

 愛を断念したアルベリヒに、ハーゲンなどという子どもがいるのは変だと思っていたが、実は、アルベリヒの愛人の浮気でできた子どもでは。父親はミーメだったのか。そんなことを感じさせる演出だが、むさ苦しいニーベルハイムに、水着の女性がいるのは、うん、いいことだ。

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[2009/03/16 19:31] | ラインの黄金 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
新国立劇場 『ラインの黄金』再演  第1場と第2場
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 通常の、指揮者が入ってきて、観客の拍手に応えてからオケに向かってタクトを振る、という場面はなかった。舞台上も、ピットも真っ暗な状態から、前奏曲の音楽が鳴り始める。真っ暗な中、舞台上には一筋の光が。どうも映写機から投影された光のようだ。変形横長のスクリーンらしきものが舞台下から上がってくる。ピットにも徐々に光が入ってきて、普通の状態になる。ってことは、導入部分は、真っ暗で指揮者も楽譜も見ずに演奏していたのだろうか。

 オーケストラビットには、メンバーがぎっしり。こんなにいっぱい詰まっているのは見たことがない。おまけに舞台前方の板の下にまで、ハープが4台と他の楽器も苦しそうに入っている。つまり、昨年の二期会『ワルキューレ』のようにピットを深くしないで、浅くて全員が良く見える。ピットの壁らしきものもほとんど見えない。最大音量も、他で聴いたことがないぐらい大きく鳴り響く。

■第1場■

 スクリーンの前方に、映画館の椅子のような、横に長く19席もある、つながった椅子が前方を塞ぐ。その奥にももう1列あるように見える。ただし左側が奥にはいるように、斜めにおかれている。それを強調するために、左に行くほど小さくなるように作ってある。遠近法を付けすぎ。

 ラインの乙女たちは、上半身だけの着ぐるみに、お腹のあたりに短い足を付けて、それを椅子の背にのっけて、「カステラ一番・文明堂」的に楽しんでいる。アルベリヒも登場した時は、頭に、ゴリラの顔をかぶって出てくる。全身赤いジャケット。スクリーンには終始不思議な模様が映っている。乙女はその後、2回、衣装を替え、最終的には白い水着でアルベリヒを誘惑する。ただしスタイルはそれほど良くない。

 新体操かシンクロナイズドスイミングを思わせるような動きで、アルベリヒをからかうラインの乙女たち。結局のところ、悪態をついて、黄金を盗み、恋をあきらめたアルベリヒ。舞台の奥へ飛び込むと、水のようになったスクリーン上にアルベリヒが飛び込んで泳いで遠ざかっていく姿が映る。

 まあ、ここまではそれほど印象的でもない。よくある、意味の分からない、音楽が疎かにされた、過剰な演技と奇抜な舞台装置のように思えた。


■第2場■

 第2場のセットは、第1場の舞台をそのまま左へ押し出すように、右から出てきて舞台全面を覆い尽くす。箱の表面の平面には、意味不明な数式とジグゾーパズルの切り抜き、のようなものが黒いサインペンで書いたように見える。下地は黄色からオレンジになったり、赤黒くなったりと、証明によって変わるので、白か黄色ではないかと思う。

 箱の中に第1場のスクリーンのような変形な長方形の穴が空いている状態。その穴の中が部屋になっている。部屋の奥の壁には、部屋の形を小さくしたような穴が空いており、向こうのワルハラ城?が見える。「WAL」の文字の一部が見えている。巨人が登場するのもここから。

 その穴の右側に、巨人とフライアが出入りするためのドアがある。左側には下へ降りていく階段がある。さらにその部屋全体の手前にも通路がある。これは、こびとが黄金を持ってくるときと、ファーフナー、ファーゾルト兄弟が帰りながら争いをする場所にも使われるが、その他の時は存在に気づかないほどのもの。

 部屋の左右の隅には、ダンボールが重ねられて置いてある。新居の完成を待って、引っ越しの準備をしているのだろうか。ヴォータンはガウンを着て、城の図面らしきものを見て悦に入っている。

 フリッカは、スーツを着て、ばりばりのビジネスウーマン。表情厳しく、社長をいさめる美人秘書といったところか。声も容姿もすばらしい。あんまり、奥様の感じはしない。

 ドンナーとフローは、役どおりというか、今回のメンバーの中では、体型的にも、演技も歌もぱっとしない。いちおう神なのに頼りのない兄たち。依存症的フライアもイマイチだと思うが、もともと、そういう人たちなのだ。悪いわけではなくて、こんなものなのでしょう。フローは、ビデオカメラでみんなを撮影している。なんのために?

 ファーフナーとファーゾルトが登場する場面では、音楽ともに、真ん中の窓の奥からサーチライトの光が2つ、客席を照らして巨人の印象を深めた。二人の太り具合は、なんだかちょうどいい具合で、現実にこれくらいの巨漢はいそうな雰囲気。着ぐるみのような感じはするけど。声は立派で申し分ない。

 フライアがこのメンバーの中では、大柄な女性なので、巨人との対比がちょっと弱まった感がある。おまえ、そんなに弱くないだろう。フリッカよりも強そうだぞ!

 舞台左の前方に、比較的大きめのダンボール箱がおいてあった。ローゲが来ないことにヴォータンが怒っていると、なんと煙とともに箱の中から登場。これは、最初からずっと潜んでいたわけではなくて、舞台の床の穴から入ったものと思われる。登場だけではなくて衣装もマジシャン風。シルクハットにステッキにタキシードだったような。いつもよりカッコイイです。

ローゲこそが、主役のいないような『ラインの黄金』で最も重要な役割を演じています。ヴォータンをはじめとする神々の中身のなさとは裏腹に、ローゲとアルベリヒの主導権争いがテーマのようにも感じられます。通常よりもヴォータンが、3の倍数でもないのにアホになり、ローゲは凛々しくなっています。ローゲだけが感情的にならず、常に冷静にこの物語をコントロールしています。ただし、今回のトーマス・ズンネガルド、声はそれほど魅力的ではない。ミーメを圧倒する、キャラクターテノールであってほしい。

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[2009/03/13 20:17] | ラインの黄金 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
新国立劇場 『ラインの黄金』再演
新国ライン



 ワーグナーファンならずとも、2001年の新制作の時に体験したであろう、トーキョーリングの『ラインの黄金』。やっと見てきました。新国立劇場でこんなに見事な作品が上演されるとは、驚きです。

 だいたいこの『ラインの黄金』って、ビデオではバイエルン、メト、シュトゥットガルトのものを見、CDでは6種類ぐらい聴いているが、それほど楽しめたことはない。後半、気分が乗ってきて感動しそうになることはあるものの、前半は全くつまらないと思っていた。

 『ラインの黄金』と『神々のたそがれ』って、いまのところ、『ワルキューレ』『ジークフリート』の両脇に付いているから、無理してつき合っているところで、決して好んでいるわけではない。

 それなのに実演では、新国立劇場で見た中で、最高の感動を与えられた。今まで新国で見た、『ドン・カルロ』『リゴレット』『ファルスタッフ』『仮面舞踏会』などの平凡さとの違いはどこからくるのだろうか。恐らく、演出が格段に優れているのだろう。歌手も、普通の公演のような不満はほとんどない。しいて上げれば、フライアがもう少し小柄な歌手だったら良かったのでは、と思うぐらい。

 さすがに、能でしか体験したことのないような、2時間40分一本勝負。肉体的にはかなりきついが、終わりに近づくにしたがって目が覚める感動に包まれる。オーケストラのメンバーにもっとも負担のかかる演目というのもうなずける。あいだに休憩を入れてもいいような気もするものの、ずっと途切れないで続くというのも、必要としているオペラなのかもしれない。


【指 揮】ダン・エッティンガー  【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【演 出】キース・ウォーナー   新国立劇場 2009年3月10日  

【ヴォータン】ユッカ・ラジライネン
【ドンナー】稲垣俊也
【フロー】永田峰雄
【ローゲ】トーマス・ズンネガルド
【ファーゾルト】長谷川顯
【ファフナー】妻屋秀和
【アルベリヒ】ユルゲン・リン★
【ミーメ】高橋 淳
【フリッカ】エレナ・ツィトコーワ★
【フライア】蔵野蘭子
【エルダ】シモーネ・シュレーダー★
【ヴォークリンデ】平井香織
【ヴェルグンデ】池田香織
【フロスヒルデ】大林智子


■2001年新制作時のキャスト■
指揮 準・メルクル 東京フィルハーモニー交響楽団
演出 キース・ウォーナー  装置・衣裳  デヴィッド・フィールディング

ヴォータン アラン・タイトス ハリー・ピーターズ
ドンナー 青戸知 大島幾雄
フロー 永田峰雄 水口聡
ローゲ ヴォルフガング・ミュッラー=ローレンツ 星洋二
ファゾルト ハンス・チャマー 長谷川顯
ファフナー フィリップ・カン 佐藤泰弘
アルベリヒ オスカー・ヒッレブラント 島村武男
ミーメ ゲルハルト・ジーゲル 松浦健
フリッカ 小山由美  藤村実穂子
フライア 田中三佐代 岩井理花
エルダ  ビルギット・レンメルト 黒木香保里
ヴォークリンデ クラウディア・バラインスキー 森野由み
ヴェルグンデ 蔵野蘭子 白土理香
フロスヒルデ 大林智子 菅有実子

テーマ:ソフトウェア - ジャンル:コンピュータ

[2009/03/11 20:51] | ラインの黄金 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
『ラインの黄金』 シュトゥットガルト歌劇場 2002
ラインの黄金2

ローター・ツァグロゼク指揮 シュトゥットガルト州立管弦楽団
演出:ヨアヒム・シュレーマー
装置&衣装:イェンス・キリアン
照明:ダーフィト・フィン
2002年9月28日、12月29日  T.T.2h26m24s


ヴォータン:ウォルフガング・プロープスト
ドンナー:モッティ・カストン
フロー:ベルンハルト・シュナイダー
ローゲ:ローベルト・キュンツリ
アルベリヒ:エサ・ルートゥネン
ミーメ:エバーハルト・フランチェスコ・ローレンツ
ファゾルト:ローラント・ブラハト
ファフナー:フィリップ・エンス
フリッカ:ミヒャエラ・シュースター
フライア:へルガ・ロース・インドゥリダドティア
エルダ:メッテ・アイシング
ヴォークリンデ:キャトリオーナ・スミス
ヴェルグンデ:マリア・テレーザ・ウルリヒ
フロスヒルデ:マルガレーテ・ヨスヴィヒ


 このリング序夜『ラインの黄金』、以前に見たことがあるビデオでは、サヴァリッシュ=バイエルンとレヴァイン=メットしかないし、実演では来年の新国のを見るのが初体験だ。したがって、どう転んでも、ラインの黄金の楽しみ方はわからないのだが、前2者よりも、面白い感じは受けた。

 舞台装置は、2階にも廊下のある邸宅の広間。真ん中に噴水のような直径6mぐらいの水槽がある。ここに黄金も入っていた。それが、なんだかビデのようにも見え、壁面も大理石、あるいはタイルで、どう見てもトイレっぽい。巨大なトイレだ。以前外国のホテルの部屋で、こんな化粧室の中みたいな内装に辟易したことがある。ちょっと不愉快な空間設定だ。

 歌手はアルベリヒのエサ・ルートゥネン以外は、この歌劇場専属の歌手だそうだ。たしかにアルベリヒはうまいが、他の歌手もそれほど下手な印象は受けない。衣装が現代的なスーツ姿で、いまいち乗り切れないが、フリッカの髪型と赤いスカート以外はそれほど不満ではない。

 フライアがファゾルトを好きになってしまった設定のよう。黄金と交換の場面でも、この場所に戻ってきたのが不満らしい。
「わたしに黄金と交換する価値があるの?」と言うところなんか、「このままでもいいのに」と言っているように聞こえる。他の演出でもそうだったのかしら。その後、どんどん洋服を脱いで、何というのかよく分からないが、薄いシミーズ姿?になる。それで頭から黄金の鎖をマフラーのようにかぶっている姿は美しい。最後にファゾルトが倒れたところでは、死体にうずくまって悲しんでいる。

 このリングのプロダクション、4部作それぞれ別の演出家とチームで制作している。他の部分に制約を受けない、影響されないようにしているそうだが、『ワルキューレ』と、なんだか似通っているところも多い。この2作しかまだ見ていないんだけれど。『ラインの黄金』演出は舞踏家であるヨアヒム・シュレーマーで、歌手に過剰な動きをさせているようだ。

 2作で明らかに似通っているところ。全員の服装はもちろん、フライアとジークリンデのセミヌードならぬ下着姿は、ほとんど同じ。クライマックスのエルダが忠告に出てくる場面、中央後の壁が開いて、光が射し込み、左右のドアから風が吹き込みカーテンが内側になびく。『ワルキューレ』第1幕の、最後の場面でも同じようなことが起こる。

 前半はほとんど面白いところはなく、アルベリヒとミーメが出てくる場面から引きつけられていき、最後はかすかに感動させられる。よく分かっていなかっただけに、『ワルキューレ』よりも印象深い。

テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

[2008/10/12 23:04] | ラインの黄金 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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