「トリスタンとイゾルデ」第2幕 イルジー・コウト NHK


ワーグナー / 楽劇「トリスタンとイゾルデ」から「前奏曲と愛の死」、第2幕(演奏会形式)
イルジー・コウト指揮
トリスタン: アルフォンス・エーベルツ
イゾルデ: リンダ・ワトソン
国王マルケ: マグヌス・バルトヴィンソン
ブランゲーネ: クラウディア・マーンケ
メロート: 木村 俊光

2008年11月16日(日)NHKホール 3階C6列15番 ¥3,460


 演奏内容については、他の人が立派に書いているので遠慮しときます。今日は少な目のコメント。値段が格安なので、そのわりには、悪くないなー、てなもんです。

私が『トリスタンとイゾルデ』を聴いたのは、1986ウィーンと2007ベルリン国立歌劇場来日公演だけなので、日本のオケではこんなもの?
みなさんがそこそこ褒めているところを見ると、いい線を行っている演奏だったのか!と思うだけで、それほど感心しなかった。

 3階の、真ん中よりちょっと前の方だったけれど、そのせいか声の力が弱い。オケの音も少ない。しかし、今まで聴いた名歌手は、3階後方でも、ビンビン響いてくるすごい声だった。したがって、どの歌手も評価したくない。
ワーグナー歌手がこの程度のはずはない。

メロートは、昨年のベルリン国立歌劇場の来日公演では、
私が聴いたもっとも素晴らしいテノール、ライナー・ゴールドベルクが歌っていました。そのせいもあってか、テノールが歌うものだと思っていたら低い声で変だった。

 ちょっとした驚きは、終盤のブランゲーネが遠くから二人に注意を呼びかける歌。やけに大きな声で、こりゃあスピーカーを使っているのか?と思ったら、3階横通路の左端で歌っていた。ステージで歌っているときはなんとも思わなかったが、近くで聴くと、うっとりするような素晴らしい声だった。
クラウディア・マーンケという歌手、覚えておこう。
他の歌手も1階で聴くと、ほんとに良いのでしょうか。疑わしい。




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[2008/11/17 23:31] | トリスタンとイゾルデ | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
『トリスタンとイゾルデ』 バレンボイム ベルリン国立歌劇場来日公演
 海外の歌劇場の来日公演体験では、もっとも数多く接したのはサヴァリッシュ指揮のバイエルン国立歌劇場だが、もっとも感銘を受けたのは今回で3回目の体験となるベルリン国立歌劇場だ。以前の2回は、まだ東ドイツの時で、オトマール・スイトナー指揮の「フィデリオ」と「マイスタージンガー」だ。この時に聴いた、スパス・ヴェンコフとライナー・ゴールドベルクがもっとも素晴らしいテノールだった。スイトナーという指揮者は、熱狂的なファンがいるほど人気者ではないし、サヴァリッシュ同様、どこからみてもごく普通の演奏しかしないのであるが、魔法にかかったように感動に包まれた。

 そして今回の「トリスタンとイゾルデ」もたいへん素晴らしい体験となった。これは指揮者やソリストが素晴らしいという以上に、ベルリン国立歌劇場の総合力のたまものだろう。第1幕の出だしこそ、音量大きめで凡庸、不安を感じたものの、その後尻上がりによくなり、第3幕のゆったり精妙な演奏は、これこそ現代最高のワーグナー指揮者の実力を感じさせるものだった。


ダニエル・バレンボイム 指揮 ベルリン国立歌劇場管弦楽団・合唱団     
ハリー・クプファー演出  NHKホール 2007.10.17公演

イゾルデ========ヴァルトラウト・マイアー
トリスタン=======クリスティアン・フランツ
マルケ王========ルネ・パーペ
ブランゲーネ======ミシェル・デ・ヤング
クルヴェナール=====ロマン・トレケル
メロート========ライナー・ゴールドベルク


 舞台上には、3幕通しで、中央にデンと巨大なブロンズ像が置いてある。サモトラケのニケよろしく、背中に大きな翼が生えている天使とか女神とか言われているみたいだが、私には「イカロスの翼」に見えた。「太陽」ではなく「愛」に近づきすぎて地上に落下、地面にたたきつけられ化石となったイカロス。右羽根は広がって地面についており、左羽根は高く上を指すようにとんがっている。その上に伸びた左羽根の影が、トカゲのしっぽのように床面に落ちている。全体で見ると悪魔のシルエットのようにも見える。

20071018191635.jpg


 ブランゲーネのミシェル・デ・ヤングは今年の小澤「タンホイザー」で丸裸を見せてくれて印象的なヴェーヌスでしたが、今回、他の歌手が凄すぎるせいか特に印象に残りません。クルヴェナールのロマン・トレケルも映像ではお馴染みでしたが、今回初めて聞きました。悪いところはないのですが、声量不足で、やはり印象薄です。

 
 メロートがなんとライナー・ゴールドベルク。私の聴いた最も優れたヘンデン・テノールです。この配役を見たとき、これはトリスタン役に何かあったときの代役になるように、影のダブルキャストしてもってきたのかとも思ったのですが、お年がなんと68歳。ということは私が聴いたときも、すでにけっこう衰えていたのかもしれません。緊張感のある立派な声でした。歌っているだけで凄いですが、メロートでは歌うところ少なすぎです。前回ウイーンの時はハインツ・ツェドニクが歌ってました。なんてもったいない。

 マルケ王のルネ・パーペは、現代もっともすぐれたワーグナー歌いだとは思うし、何の不満もないのだが、以前見た時のテオ・アダムの方が断然心に響いている。残念。どうもこの第2幕終盤の場面は、第3幕にそなえてトリスタンを休ませるために、マルケ王の歌を引き延ばしているような気がしてならない。

主役トリスタンのクリスティアン・フランツは、どこぞでジークフリートを歌っているのを見たような気もするが、いちばん馴染みのない歌手だ。第2幕、愛の二重唱ではマイアーとはりあって見事な歌唱をみせるが、その他では声を完全に出していないようでイゾルデに圧倒されている。おまけに見た目がいけない。どう見てもトリスタンではない。

 イゾルデは一番期待のヴァルトラウト・マイアーです。バレンボイムの『トリスタンとイゾルデ』は1993年にバイロイトでのビデオ収録、1994年にベルリンP.O.とレコーディングしています。前者のイゾルデはヨハンナ・マイアー、後者がヴァルトラウト・マイアーを起用しています。私の初めてのトリスタン体験である1986年のウイーン国立歌劇場公演のイゾルデがヨハンナ・マイアー。今回2007年がヴァルトラウト・マイアー。ということでバレンボイムの両イゾルデと私の聴いたイゾルデは一緒なのですが、そりゃあもう断然今回のヴァルトラウトの方が優れています。

 ヴァルトラウト・マイアーは、エディタ・グルヴベローヴァ、フィオレンツァ・コッソット、ギネス・ジョーンズとならんで私の聴いたもっとも優れたソプラノです。その声量は、これだけ揃っている名歌手を圧倒して、最後の「愛の死」まで衰えません。いや、ますます力強くなって荘厳なフィナーレを迎えました。最後に「イカロスの化石」の中に「イゾルデ」が同化して消えていくのが印象的でした。 

 2回観劇(感激)した人の話によると、十分予想通りだが、どうやら神奈川県民ホールの方が音質が良いらしい。横浜は遠いから、ホテルでも取って見に行きたいものだ。

 今年は、とても悲しいことがあった。

悲しみを浄化してくれるような『トリスタンとイゾルデ』これで十分。
ドレスデン国立歌劇場は気にしないことにしよう。

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[2007/10/18 19:18] | トリスタンとイゾルデ | トラックバック(2) | コメント(4) | page top
『トリスタンとイゾルデ』ショルティ指揮 ウイーンPO 1960
 雨の今日は、30年ぶりに富士スピードウェイでおこなわれた「F1日本グランプリ」を見るためだけのような日だった。脅威の新人はときどき現れるが、フジテレビのF1中継が始まって以来、ほとんどすべてのレースを見ているが、今年のルイス・ハミルトンのようなすごい新人は他に知らない。豪雨の今日も、2年連続最年少チャンピオンのアロンソもクラッシュしてリタイアする厳しいレース、ポールポジションからそのまま優勝してしまった。あと2戦を残してチャンピオンシップも開幕以降ずっとリードしている。

 カルショウの『ニーベルングの指輪』レコーディングの本が新訳で出ました。古い方は持っているので、すぐに買う気はないが、たいへん面白い本です。デッカの『ニーベルングの指輪』はまず、クナッパーツブッシュ指揮のワルキューレ第1幕に始まったのですがうまくゆかず、次にショルティ指揮でワルキューレ第3幕を録音しました。これらは全曲録音の一部とはなりませんでしたが、どちらもフラグスタートが歌っているので貴重な録音です。

 以降のデッカ・ショルティの録音を年代順に挙げてみます。
1957年 ワルキューレ第3幕 
1958年 ラインの黄金
1960年 トリスタンとイゾルデ
1962年 ジークフリート
1964年 神々のたそがれ
1965年 ワルキューレ
1970年 タンホイザー
1972年 パルジファル
1975年 マイスタージンガー
1976年 さまよえるオランダ人
1986年 ローエングリン
1995年 マイスタージンガー


ショルティ指揮 ウイーンPO 1960
イゾルデ========ビルギット・ニルソン
トリスタン=======フリッツ・ウール
マルケ王========アルノルト・ヴァン・ミル
ブランゲーネ======レジーナ・レズニック
クルヴェナール=====トム・クラウゼ

 あの「ラインの黄金」の後にレコーディングされているんですね。オールスターキャストが得意のデッカとしてはめずらしく、ニルソン以外はパッとしない歌手です。まあ、「タンホイザー」も、コロとルードヴッヒ以外はたいしたことないと思いますが、それにしても貧弱な歌手陣です。どうしてこの時期に、こんな歌手で録音したのでしょう。 (つづく)

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[2007/09/30 23:29] | トリスタンとイゾルデ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『トリスタンとイゾルデ』のディスコグラフィー
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『ばらの騎士』が終わったら、次はベルリン国立歌劇場『トリスタンとイゾルデ』です。
過去に視聴したもの、現在視聴できるもののリスト。
★マークは実際に見たもの、買ったもの。その他は借りたかコピーしたもの。


ハインリッヒ・ホルライザー指揮 ウイーン国立歌劇場来日公演1986 ★
エファーディング演出 1986.4.10 NHKホール
Ⅰ.75m Ⅱ.63m Ⅲ.64m

イゾルデ========ヨハンナ・マイアー(バレンボイム・バイロイトと同じ)
トリスタン=======ゲルト・ブレンアイス(ルネ・コロの代役)
マルケ王========テオ・アダム(なんとハンス・ゾーティンの代役)
ブランゲーネ======トルデリーゼ・シュミット
クルヴェナール=====フランツ・グルントヘーバー
メロート========ハインツ・ツェドニク
牧人==========ワルデマール・クメント
舵手==========ロバート・カーンズ


フルトヴェングラー フィルハーモニアPO 1952 ★

イゾルデ========キルステン・フラグスタート
トリスタン=======ルートヴィヒ・ズートハウス
マルケ王========ヨーゼフ・グラインドル
ブランゲーネ======フランシュ・シーボム
クルヴェナール=====ディースカウ


ショルティ指揮 ウイーン国立歌劇場 1962

イゾルデ========ビルギット・ニルソン
トリスタン=======フリッツ・ウール
マルケ王========アルノルト・ヴァン・ミル
ブランゲーネ======レジーナ・レズニック
クルヴェナール=====トム・クラウゼ


カール・ベーム バイロイト祝祭管弦楽団 ヴィーラント演出 1966

イゾルデ========ビルギット・ニルソン
トリスタン=======ヴィントガッセン
マルケ王========マルッティ・タルヴェラ
ブランゲーネ======クリスタ・ルートヴィヒ
クルヴェナール=====ヴェヒター


カールベーム フランス国立管弦楽団 ニコラウス・レーンホフ演出 1973ビデオ

イゾルデ========ビルギット・ニルソン
トリスタン=======ジョン・ヴィッカース
マルケ王========ベングト・ルンドグレン
ブランゲーネ======ルート・ヘッセ
クルヴェナール=====ヴァルター・ベリー


サー・レジナルド・グッドール ウェールズ・ナショナル・オペラ 1981 ★

イゾルデ========リンダ・エスター・グレイ
トリスタン=======ジョン・ミッチンソン
マルケ王========グウィン・ハウエル


レナード・バーンスタイン バイエルンRSO 1981 ★

イゾルデ========ヒルデガルト・ベーレンス
トリスタン=======ペーター・ホフマン
マルケ王========ハンス・ゾーティン
ブランゲーネ======イヴォンヌ・ミントン
クルヴェナール=====ベルント・ヴァイクル


カルロス・クライバー ドレスデン国立管弦楽団 1982 ★

イゾルデ========マーガレット・プライス
トリスタン=======ルネ・コロ
マルケ王========クルト・モル
ブランゲーネ======ファスベンダー
クルヴェナール=====ディースカウ


ダニエル・バレンボイム バイロイト祝祭管弦楽団 ポネル 1993ビデオ
Ⅰ.82m56s Ⅱ.82m52s Ⅲ.77m34s

イゾルデ========ヨハンナ・マイアー
トリスタン=======ルネ・コロ
マルケ王========マッティ・サルミネン
ブランゲーネ======ハンナ・シュヴァルツ
クルヴェナール=====ヘルマン・ベヒト


ダニエル・バレンボイム ベルリンPO 1994 ハイライトCD

イゾルデ========ヴァルトラウト・マイアー
トリスタン=======ジークフリート・イェルザレム
マルケ王========マッティ・サルミネン


クリスティアン・ティーレマン ウイーン国立歌劇場ライブ 2003

イゾルデ========デボラ・ヴォイト
トリスタン=======トマス・モーザー
マルケ王========ロベルト・ホル


アントニオ・パッパーノ コヴェント・ガーデン王立歌劇場 2005

イゾルデ========ニーナ・シュテンメ
トリスタン=======プラシド・ドミンゴ
マルケ王========ルネ・パーペ
ブランゲーネ======藤村実穂子
クルヴェナール=====オラフ・ベーア

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[2007/09/11 21:57] | トリスタンとイゾルデ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
バレンボイム バイロイト ポネル 1993年ビデオ
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ダニエル・バレンボイム バイロイト祝祭管弦楽団 ポネル 1993年ビデオ
Ⅰ.82m56s Ⅱ.82m52s Ⅲ.77m34s

イゾルデ========ヨハンナ・マイアー
トリスタン=======ルネ・コロ
マルケ王========マッティ・サルミネン
ブランゲーネ======ハンナ・シュヴァルツ
クルヴェナール=====ヘルマン・ベヒト
メロート========ローベルト・シュンク
牧人==========ヘルムート・パンプフ

 フィリップスのワーグナー全集に入っているVHSテープを自家製DVD化したもので見ていたのだが、今回図書館から正規のDVD2枚を借りてきた。バレンボイムの指揮は、後にベルリンフィルを使ってスタジオレコーディングされたものに比べれば、感銘度は落ちるものの、なかなか立派なでき。先に取り上げたベームとは対照的に、きわめてゆっくりしたフルトヴェングラーっぽい演奏。

 ポネルの演出と舞台装置も、ベーム盤に比べれば、格段に素晴らしい。イゾルデ以外の配役も、文句の付けようがない。ウイーン国立歌劇場の実演と同じで、イゾルデのヨハンナ・マイアーが弱い。歌い方が悪いというよりも、声に力がない感じがする。ワーグナーの主役には、なによりも超人的な声の力が要求される。

 以前にビデオテープで見たときには、つまらなくて退屈だった部分も、DVDになったら画像の鮮明さと音質の良さで、最後まで見切ることができた。特に、いままで余りよくわからなかった第3幕が楽しめた。最近の聴き込みの成果が出たのかも知れないが、トリスタン一人で長時間歌っている長い長い第3幕が、充実して感じられた。

 特にルネ・コロは第3幕で見直した。たった一度だけ聴いたときのコロが、大して良くなかったので、どうしても一流のテノールと思えないでいるのだが、ここでの熱演はすばらしい。「タンホイザー」だと、メルヒオールのような立派な声でもなく、ヴィントガッセンやヴェンコフのようには役になりきれず、うまく歌えていないと思うが、トリスタンは、ほんとうにトリスタンのようだ。ウイーン国立歌劇場の「トリスタンとイゾルデ」で、彼の歌を聴きたかった。

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[2007/09/07 14:18] | トリスタンとイゾルデ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『トリスタンとイゾルデ』 ウイーン国立歌劇場来日公演1986
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 たった1度の『トリスタンとイゾルデ』体験です。たまたま行っていた軽井沢から電話してチケットを取ったのを憶えています。図書館から借りてきたベーム・バイロイト盤で聴いて、今から思えば、曲のことをほとんどわかっていないのに聴きに行きました。

ハインリッヒ・ホルライザー指揮 ウイーン国立歌劇場来日公演1986
エファーディング演出 1986.4.10 NHKホール
Ⅰ.75m Ⅱ.63m Ⅲ.64m C席、¥18,000

イゾルデ========ヨハンナ・マイアー(バレンボイム・バイロイトと同じ)
トリスタン=======ゲルト・ブレンアイス(ルネ・コロの代役)
マルケ王========テオ・アダム(なんとハンス・ゾーティンの代役)
ブランゲーネ======トルデリーゼ・シュミット
クルヴェナール=====フランツ・グルントヘーバー
メロート========ハインツ・ツェドニク
牧人==========ワルデマール・クメント
舵手==========ロバート・カーンズ
若い水夫========ペトロス・エヴァンゲリデス

 期待していたルネ・コロとスパス・ヴェンコフのダブルキャストが、代役になってしまったのはがっかりだったが、その他の配役は目を見張るものです。トリスタン役がへこんだ代わりに、テオ・アダムを持ってきたのでしょう。彼は、この後来るバイエルン国立歌劇場とベルリン国立歌劇場の『マイスタージンガー』でも1度だけハンス・ザックスを歌いました。それには当たりませんでしたが。

 席がガラ空きだったわけではないのですが、各幕ごとに移動しました。第1幕では1階の後ろに寄りかかって見ました。近くで見たかったので。第2幕が本来の座席3階左翼。まあ、結局ここが感動しましたけれど。第3幕は2階中央席と右翼の間の通路。音はここが一番よかったが、落ち着かない。まあ、席は移動しない方がいいと思います。

 トリスタンのゲルト・ブレンアイスですが、思ったよりも悪くない。1973年パルシファルでウイーンデビュー、同年バイロイトもジークムントでデビュー、その後ウイーンでローエングリン、フロレスタン、バッカス、エリック、シュトルツィング、マックスなどを歌っている。それよりもイゾルデのヨハンナ・マイアーの方が、声が弱くて今ひとつおもしろくなかった。ダブルキャストのギネス・ジョーンズの方がよかったのに。

 マルケ王のテオ・アダムは完璧でしょう。あまり面白くないこの役ですが、主役がダメな分、アダムが出てくると締まります。第2幕がいちばんよかった。指揮は良いのか悪いのかわかりませんでしたが、オケの音は、今まで聴いたどこよりも美しく響いていました。舞台の前方に薄い布が掛かっていて、微妙に少しづつ色が変化して、後ろのセットが見えたり見えなくなったり。こんな演出、初めて見たので、推移の美しさに感動しました。

 この時のウイーン国立歌劇場引っ越し公演も、前回よる劣るとはいえ、すばらしい歌手と指揮者です。ベームはいませんが、ペーター・シュナイダー、エーリッヒ・ラインスドルフ、ハインリッヒ・ホルライザー、ジュゼッペ・シノーポリ、コンサートにはロリン・マゼールという指揮者たちです。歌手ではヤノヴィッツが「フィガロ」と「ばらの騎士」に出ているのをはじめ、フレーニ、トコディ、ワイズ、ヘンドリックス、ドヴォルスキー、ゾーティン、ジョーンズ、ケルビーノにデロレス・ツィーグラーといった、名前知ってる歌手目白押しです。最近のめちゃめちゃ高価な引っ越し公演とはえらい違いで、こんなこともあって、実演から遠のくこのごろです。

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[2007/09/03 17:58] | トリスタンとイゾルデ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『トリスタンとイゾルデ』カール・ベーム オランジュ音楽祭ライブ 第2弾DVD
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 旅から帰ってきて、図書館に行くと、カルロス・クライバー『「ばらの騎士」第3幕DVD』ほか、リクエストしていたものが届いていた。トリスタンとイゾルデの中で、演奏家が全く表示されていないDVDがあったので、とりあえずリクエストしておいたら、なんと、以前4月に取り上げたVHSテープと同じ内容のものでした。

 DVDになって、映像の方はあいかわらずひどいものでしたが、音声がステレオになりテープより安定して気持ちよく聴くことができました。


『トリスタンとイゾルデ』
オランジュ音楽祭ライブ映画 1973年7月4日収録。
VHS2枚組  TAPE1 1h50m07s  TAPE2 1h41m50sだったものが
片面2層DVD 213min MPEG2 STEREO になりました。

カールベーム指揮 フランス国立管弦楽団 ニコラウス・レーンホフ演出

イゾルデ========ビルギット・ニルソン
トリスタン=======ジョン・ヴィッカース
マルケ王========ベングト・ルンドグレン
ブランゲーネ======ルート・ヘッセ
クルヴェナール=====ヴァルター・ベリー
メロート========スターン・ウンルー
牧人==========ホルスト・ラウベンタール

 ひどい映像ですが、このころのライブ映像はこの程度だったのです。古いNHKイタリアオペラの映像を見ても、ちょっとライトの当たりが弱いところは真っ暗になって、中間の微妙な色彩は表現できません。カラーでありながら白黒テレビを見ているような印象を受けます。これを見ると、フルトベングラーの「ドン・ジョヴァンニ」、カラヤンの「ばらの騎士」がいかに作り物であったかがよくわかります。

 ニルソンの声が圧倒的に素晴らしいのは以前に書いたとおりです。ベームの指揮は、バイロイト実況録音盤と同じで、速くてキビキビ隙のない演奏です。ただし他の指揮者のような、こってりとした官能的な陶酔感のようなものはありません。ベームのワーグナーは本当に速い。わたしは中でも「ジークフリート」が好きです。モーツアルトの、ゆっくり、たっぷりして緩急自在、滋味溢れる演奏とはなんたる違いでしょう。若き日のカラヤンやカルロス・クライバーのような引き締まった速いテンポでたたみかける演奏です。

「モネは目だ!だが、なんと素晴らしい目だろう」というセザンヌの言葉を、かつて取り上げましたが「ベームは音楽だ!だが、・・・・」と言いたくなります。吉田秀和がどこかに書いていましたが、ベームは徹頭徹尾音楽家なのだが、カラヤンやバーンスタインは芸術家なのだ。ベームの「コジ」や「オランダ人」はかけがえのない最高のものであるが、同じ指揮者の「ドン・ジョヴァンニ」「トリスタン」「ばらの騎士」となると、どうであろうか。

 ワーグナーにとって、音楽は、ただ音楽だけではなかったのである。この、カラヤン全盛時代に、最も人気のあった当代随一の指揮者、カール・ベームの光と影がよく出ている映画です。

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[2007/08/11 21:36] | トリスタンとイゾルデ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
『トリスタンとイゾルデ』カール・ベーム オランジュ音楽祭ライブ
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 『ファルスタッフ』第1幕が変なところで途切れましたが、『トリスタンとイゾルデ』のビデオが入ってきたためです。『トリスタンとイゾルデ』プロジェクトも着々と進んでいるので、急遽これを入れましょう。

『トリスタンとイゾルデ』
カール・ベーム オランジュ音楽祭ライブ映画 1973年7月4日収録。
VHS2枚組  TAPE1 1h50m07s  TAPE2 1h41m50s

カールベーム指揮 フランス国立管弦楽団 ニコラウス・レーンホフ演出

イゾルデ========ビルギット・ニルソン
トリスタン=======ジョン・ヴィッカース
マルケ王========ベングト・ルンドグレン
ブランゲーネ======ルート・ヘッセ
クルヴェナール=====ヴァルター・ベリー
メロート========スターン・ウンルー
牧人==========ホルスト・ラウベンタール

 これはビデオ製品としてはひどい出来です。開始や幕間にフランス語のテロップが流れるのは、TV放映に使ったものがそのままになっているし、3幕物を2組のVHSテープに収めているため、2幕の途中でテープ交換しなければいけません。おまけにLDまたはVHDなどのビデオディスク用に編集されたのか、1時間ごとに、はっきり映像が途切れています。第2幕のブランゲーネの1回目と2回目の歌の間で、テープ取り替え。

 ベームがその美しさに驚嘆したという映像も、ひどい物です。とても映画とは思えません。かなりの望遠で撮っているため、ピントが甘い、フレームがぶれて安定しない、しょっちゅうコマ落ちする、など目を覆いたくなる不出来な映画です。『風と共に去りぬ』よりも画質は落ちるし、フルトヴェングラーの白黒『ドン・ジョヴァンニ』に色を付けた程度のものです。

 演出のニコラウス・レーンホフは、サヴァリッシュ指揮バイエルンの『ニーベルングの指輪』の悪名高い演出家ではないか。若いと思っていたが、こんな頃から活躍していたのか。

 舞台は大きな円形があり、その中に小さな円形の舞台があります。舞台は大きな円形の後ろ側にくっついた状態で、前側にオーケストラがいる配置です。それぞれの円形の周辺にライトが配置され、2重の円形を際立たせています。この祝祭劇場は野外なので垂れ幕などがありません。幕が開いているか閉まっているかを現しているのは、周辺にあるライトの当て方によっています。アレーナ・ディ・ヴェローナの来日公演の時、幕間には舞台の最前列から客席に向かってライトが当てられていました。客席から舞台が見えないように、目隠しのためにライトを当てるわけです。客席はギリシャ劇場形の半円形段々畑タイプです。

 さまざまな問題点をかかえつつ、音はモノラルでも意外によく聴こえる。そして、どういうわけだか、ニルソンの声の威力がビンビン伝わってくるのです。バイロイトライブや数々のデッカの録音では感じ取れなかった、ニルソンの凄みがよく出ています。同時にトリスタン役のヴィッカースのいまいち感もよくわかります。


 第1幕では 中央に、半円に曲がった10段ほどの階段が2つ。互いに追いかけごっこをしているように丸くなっている。そこに青白い光が当たっている。階段の上に登ると、船の甲板にいる設定のようだ。

 第2幕 1幕とほぼ同じ、曲線に曲がった10段ほどの階段が2つ。ただし配置が違う。クワガタが舞台奥から顔を出しているような、そんな感じで左右に半円の弧をえがいた、手前から奥に向かって高くなる階段がある。このクワガタの左右の階段が開いたり閉じたりする。閉じているときは二人だけの世界だ。

 2本目のテープ始まって2m30sでブランゲーネ2回目の歌、8mでメロートとマルケ王登場。そんなところで切れているわけだ。マルケ王は、歌い回しはわるくないものの、声の通りが悪い。

 第3幕 クワガタの輪の5段目ぐらいの高さの部分まで、平べったい円柱を切ったものを置いて、輪の中を埋めた状態。その平面上にトリスタンが倒れている。ニルソンが出ていないと、この長丁場、ちょっとつまらない。しかし、終盤に近づくにつれて、声に違和感はあるものの、ヴィッカースの熱演に感動させられる。ニルソンも最後ちょっとだけなので印象は弱い。

 第1・2幕では、最高に巧い交通整理のおまわりさんだったベームの演奏だが、3幕になって芸術に昇華したようだ。繊細優美で、オケが完全に主役になっている。さすが大指揮者ベームの棒だ。

 曲が終わると、倒れていたヴィッカースが立ち上がって、ニルソンにキスをした。

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[2007/04/26 22:04] | トリスタンとイゾルデ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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