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油絵ファンダメンタルズ 2
油絵ファンダ22


 自分と比べて、「あの人は、アメリカへ留学したから、英語がうまいんだ」ということで納得してしまう人がいます。芸大行ったから、ピアノの先生してるんでしょ。美大行ったから、絵がうまいんでしょ。いやいや、人一倍努力したんでしょう、とは思わないのです。美大を出たからといって、その後も絵にかかわる仕事をしている人は、ほんのわずかだと思われます。

 初心者の方は、何十年も絵を描いている人や、絵の先生は、喜びをもって楽に絵を描いていると思っています。他の学科とは違って、絵がうまい人は、最初から絵がうまいのだ(だから努力しても無意味なんだ)と思い込んでいる人もいます。最初から、楽にうまく描けるわけがないし、年期を積んだからといって、描くのが楽になったりはしないものです。美大に行ったから、絵がうまくなったわけでも、最初からうまいわけでもないのです。(なんだか、愚痴っぽくなってる)

 最初のころの未熟な絵を人に見せたり、批評されたりするのはつらいものです。しかし、自分から見ても下手な絵を、何百枚も描いてから、まともな絵が描けるようになります。下手な絵を描かないといけないのです。あるいは、自分の見る力が上達すると、年を経るごとに下手になっていくように感じることもあります。(同じように、このような未熟な文章でも書かなくては、汗)

 テレビで見たのだが、ある有名な現役彫刻家は、戦後10年ぐらい、シベリア抑留されて若いころ苦労をされたそうである。インタビュアーが「シベリアでの労働、大変だったでしょうね」と尋ねたところ、返ってきた答えは「彫刻家を続けることの方がどれだけ苦しいか」というものだった。芸術を追及するということは、命を削るような苦しみの連続なのかもしれません。

 有名な音楽家、ピアニストとかヴァイオリニストなどは、5歳未満の幼少期から楽器の特訓をしています。その後も、生涯、1日8時間の練習を課していたりするようです。モーツァルトとか、カラヤンなどは、5歳の時に、演奏会に出ています。生まれた時から、天才ですね。

 通常、画家を志すのは、もうちょっと年を取ってからだと思います。音楽家のような天才や、毎日何時間もデッサンを重ねたという話は聞いたことがありません。現代では、芸大、美大というものがあります。受験勉強という形で、中学生ぐらいから、デッサンを教えてくれる美術研究所に通ったりします。普通の学科の予備校とは違って、研究所と言います。

 研究所では、通常、毎日6時間程度を2年ぐらい、デッサンの研修をします。毎日、鉛筆や木炭の粉で、体中真っ黒になってます。大学を含めて、出席もほとんどとらないので、休んだからといって怒られるわけでもありません。実力が付けばいいのです。

 前回も書いたように、ここらあたりの段階から、先生に手取り足取り教えてもらった記憶はありません。昔の職人徒弟制度のようなもので、見よう見まね、盗めるモノは盗みなさい、という態度です。それよりも、展覧会を見たり、技法書を読むこと。他人の描き方を見比べ、自分より優れているところを取り入れること。仲間内で議論しながら新しいことを身につけていくこと。自分で勉強することを見つけていくしかないのです。(美大を出たから、自動的に絵の先生をしているわけではないのです)


油絵ファンダ2
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テーマ:絵画 - ジャンル:学問・文化・芸術

[2019/08/18 16:06] | 油絵ファンダ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
油絵ファンダメンタルズ
油絵ファンダ1


 よのなかのどんなことでも、スポーツはもちろん、特に学習系は、初心者向けから中級ぐらいまでの教則本がたくさん出ている。もちろん師匠について学ぶしかないものもある。英会話とか、音楽評論とか、投資・資産運用などの本は、たくさん読んだことがある。本を読んだだけで、例えば英語など習得できるわけがない。お金儲けがうまくなるわけでもない。実践経験が必要だ。

 もちろん「絵画入門」「鉛筆デッサンのコツ」「油絵の描き方」などの本も、何百冊も読んでいる。(メンタリストのDaigoほど読書家ではないが)本を読んでも、絵がうまく描けるようになるわけがない。ただ非常に懇切に、描画過程を説明してくれている著者もおり、人に教える参考にはなっている。

 著者によって、全く同じことが書いてあったり、反対のことが書いてあったりもする。いつも初心者のデッサンの見本に見せる本があるが、この間確認したら、表紙の取れたボロボロのその本は、1977年発行の「アトリエ」だった。42年ぐらい前の本である。その後、これ以上の本を見つけられないので、ずっとそれを使っている。初心者、最初の3か月ぐらいは。

 若いころ、大学に行っていたが、大学の先生に何か教えてもらった記憶はない。大学受験を突破して入学してきた生徒であるから、テクニカルなことは習得済みという体で、ぼんやりしたことしか言われなかった。それも週に1回、軽く見回りするだけである。友達同士で、とき油の使い方や、絵の具のメーカーによる違いなど研究しあったことはある。
 
 中学時代も、高校時代も、美術の先生は、美術の免許を持っていなかった。油絵については、学生の方が詳しい程度のものだ。大学の教務課で、うちの中学校の先生は、美術の免許を持っていないと言っても、信じてもらえなかった。(その後、通信教育で美術2級の免許を取ったらしい)

 教育実習もやったけれど、絵の教え方なんて知らない。子供の時に、絵の教育実習の先生から受けた授業をまねてすました。そのときの教育実習の先生はちゃんと、絵のことが分かっていた(と思う)。

 ちょっと普通の高校生では体験しない役得もある。高校3年生の時に、美大予備校みたいなところに通ったが、そのカリキュラムの中に裸婦デッサンがあるのである。つまりスタイルのいい女性の裸を、何時間も見続けるのだ。修行である(汗!)。もちろん裸にはすぐに慣れる。まれにモデルさんが、(あたりまえだが)服を着て歩いている姿を見て感動したりする。学食で、服を着ている?モデルさんに、アイスクリームをもらったこともある。

 というわけで、それからずっと初心者相手の絵の先生をしている。学生時代も習った覚えはないし、自分は、いわゆるカルチャースクールのようなところで習ったこともないので、他の先生が、どのような教え方をしているのかわからない。

 いろいろな先生の教室を渡り歩いた生徒に聞くと、たいていの先生は基礎的なことはそれほど教えず、構図とか色合いとか、要するに大学教授みたいな大ざっぱなものらしい。改めて基礎的なデッサンが学びたいので、ここに来ました、という人もいた。最初は「鉛筆の線の引き方と、幾何形体のデッサン」と聞いて驚く人もいる。「油絵はまだ、描けないんですか?」「半年ぐらいデッサンです」

 斎藤秀雄が小澤征爾に指揮の基礎として教えた、タタキ、腕の振り降ろしの訓練みたいなことです。楽譜を読んだり、音楽をやるのは、もっと先の話です。小説の書き方なんて教えられないんです。教えられるのは、日本語の「てにおは」です。

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