神々のたそがれ スカラ座2013 第1幕 第1場
スカラ座神々1-1ss


 LPの時から何度も聴いているフルトヴェングラーの『トリスタンとイゾルデ』を、散歩しながら久しぶりに聴いてみた。予想に反して、なにしろ歩きながらだよ、それがとても良かった。いつもより滋味に富んだ味わい深いものがある。フラグスタートっていいな。その後の演奏で、これに一番近いのはバレンボイム=ヴァルトラウト・マイヤーではないかと思っている。ついでにビデオになっているヨハンナ・マイアーも聴いたことがある。いや『トリスタンとイゾルデ』を聴いたのはこの2回だけなんだけど。バレンボイムの指揮は、このくらい感動的なものなのだろうか。バイロイトの指輪からどう進化しているのだろうか。

 この『神々の黄昏』のプロローグと第1幕、新国立劇場の公演では、それなりに充実していたような気がしますが、ビデオで見ると、エロティックなダンサーでも出てこない限り集中力を持続するのが困難です。なんだかしっかりと見たような気がしない。何が起こったのか分からない。つまらないような気がする。それなのに何かグダグダ言っていいものだろうかという思いを持つこと、『パルジファル第1幕』と同じです。

 『神々の黄昏』というタイトルは、ワーグナーが参考にした『エッダ』の中にあったもので、ワーグナーが名付けたわけではない。そもそもワーグナーは最初、この『神々の黄昏』を作ろうと思って、台本もここから完成し、それがどんどん増して、さかのぼっていって長大な「ニーベルングの指環」になってしまのだから、このなかにこそ主題があると言えるのではないか。

 神々の没落と、新生人類の誕生。女性の愛による救済。そんなワーグナーによく出てくる主題が、『ワルキューレ』『ジークフリート』よりも強く打ち出されている。もうちょっと短ければ『神々の黄昏』の方が人気が出てもおかしくない。


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 この演出では、前方になんらかの舞台装置があっても、基本的に舞台奥は液晶パネルが敷き詰めてあって、その映像の変化で全体の雰囲気を支配している。「隠れかぶと」は数人の女性ダンサーが回りにへばりついて動き、「指輪」は金をまぶした手袋というのは以前と同じ。(小さい声で言うけど、モンスターエンジンの左手ショートコント「ゴッドハンド洋一」を思い出してしまう)

①18m 3人のノルンが現状世界をなげく。
②16m ジークフリートが、ブリュンヒルデの元から旅立つ。
⑤8m間奏+15m ブリュンヒルデを、ワルトラウテが諫める。
⑥12m グンターに変装したジークフリートが、ブリュンヒルデを略奪に来る。
この4つの場面は、ブリュンヒルデの岩場で同じセット。

 舞台中央に箱をくみ上げた小山がある。箱の表面は鉄板が錆びたようなまだら模様に塗装されている。①3人のノルン場面では、この箱の上に布がかぶせられている。赤い紐がたくさん上から降りてきていて、それをノルンがつかんでいる。紐で世界を動かしているかのように。うまく操れないと嘆いているのかもしれない。ヴォータンの槍は折られたし、世界は賢者の声を聞かない。

 岩場の最上部がなにやら変な形をしていると思ったら、布を取ったらジークフリートが横たわっていたのだ。「ジークフリートのラインの旅」途中でも、旅立ったはずのジークフリートはここに横たわっている(背景が明るくて、シルエットが映っている)
ブリュンヒルデは腰までくる金髪を後で一本に編んでいる。身長の倍ほどもある裾を、クジャクのように引きずっている。引きずり女だ。「引きずり女は福を呼ぶ」

ここから第1幕第1場
③6m間奏+14m ギービヒ家の3人。
④25m ギービヒ家へジークフリートがやってきて、義兄弟となる。
 ギービヒ家になると、岩場は舞台後方へ移動し、仕切りとして巨大な、シャッターまたはブラインドのような壁が降りてくる。同じ形の金色の箱を積み上げた壁と、横に並べたベンチが「左から右へ」とやってきて、グートルーネが横たわっている。グートルーネは普通の金髪現代女性だが、ドレスはすこし引きずっている。ハーゲンとグンターは、腰まである釣り用の防寒長靴を履いて、肩からベルトでつり下げている。上はワイシャツ。グンターのみ、育ちが良いのかネクタイをしており、肩ベルトも2種類かけている。ハーゲンは束ねていない長髪の黒髪。グンターは普通の白髪交じりのブロンド。ハーゲンだけ明らかに生まれが違うようだ。なんだかふてぶてしく、堂々としており生命力がある。あたかもジークフリートのようだ。

 普通のオペラと違って、この「ニーベルングの指環」だけは、ソプラノの出てこない、男声だけの部分の方が私は好きだ。不可解なことだが。

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テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

[2014/01/20 18:19] | 神々の黄昏 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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