「戦争と平和」と苦悩
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 「アンナ・カレーニナ」「失われた時を求めて」「源氏物語」「戦争と平和」といった長編を読んでいると、同じような部分が気になってくる。長編しか読みたくない。

 ここで出てくるのは一般庶民ではなく、裕福な貴族・皇族などである。およそ世界中の人間の中で、もっとも幸せな生活をしている人たちの話である。

 男性は政治的・階級的な闘争、あるいは求婚といった、まあそれなりの社会的使命があるらしい活動をしている。熟年女性も自分のサロンを開いて、名士を集め影響力拡大をねらっている。

 ところが若い女性は、すべての生活を周りの人々に世話してもらい、婚活?以外は何もしていないように見える。それもほとんど親族がお膳立てしたり、無鉄砲な若者が求婚してくるのを待っているだけ。心の中では葛藤があるが、意志を示すことを許されていない。

 このような人任せの生活の中で、言い寄ってくる男性には、男って汚らわしいと思い、仲良くなればなったで、ここ数日顔を出さないと、裏切られた、死にたいと叫ぶ。相思相愛でありながら、自分は相手にふさわしくないと、やってきても会わない。こんなことが噂になったら生きていけないと悩む。

 源氏物語では特に、素直に恋愛を楽しめばいいものを、ちょっとした行き違いに苦悩し、早く死にたい、尼になりたい、そんなことばっかり言っている。皇族から求婚されたり、どう見ても幸せな暮らしをしているのに。

 男性の方も、わざわざ戦争の最前線に配属されるよう望んだり、ささいなことで決闘をしたり、意味のない賭で財産をなくしたりと、自ら不幸を招き寄せる。普通にしていれば最高に幸せな身分なのに。しかしまあ、このような一族だからこそ貴族の地位にあるのでしょうけど。

 このように、ドストエフスキーでなくても読んでいて十分に苦しい。
トルストイの言葉。
"永遠に比べたらほんの一瞬しか生きていられないのに、人生なぞ苦しむに値するものだろうか?"  "流れ進むのは我々であって時ではない。"

 それぞれ自分探しを続ける若者たちの成長の物語、人間の一生を語っているようである。
「戦争と平和」も半分を過ぎた。
(読むのは2回目だが、内容は覚えていない)
苦悩の先に救いがあるのだろうか。

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[2014/06/09 18:32] | おすすめの本 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
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コメント
戦争と平和
 なかなか皮肉な読み方をされますね。ぼくは読んだのが高校時代だったので素直に感動した。ソ連版の映画も高校時代に試写会で見た。のちにテレビでアメリカ版も見たけど、ソ連版のほうが何倍もよかった。でもツタヤにはアメリカ版はあるけど、ソ連版はないですね。いつかもう一度見たい。
[2014/06/09 23:43] URL | 石崎徹 #uE0ZWTE6 [ 編集 ]
Re: 戦争と平和
 石崎さま、コメントありがとうございます。

 いや、けっこうのめり込んで、楽しんで読んではいるのですが、身近な人間に対するように腹を立てたりしているのです。それで、みんなもっとおおらかに生きようよ!なんて思っています。アンドレイ公爵がいちばん共感できる人物です。このような貴族は、最前線で戦うことを自ら買って出るくらいの一族だからこそ貴族の地位にあるのでしょうね。

 映画を見るのは、苦手です。1年前ぐらいにBSでやっていて、最初に出てくる、窓際にすわって酒を一気飲みするシーンだけ見て止めておきました。
[2014/06/10 14:54] URL | にけ #- [ 編集 ]
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