われらが美少女を守れ
少女を守れ

☆ チュニジア


 誰かを好きになったとき、突然、あらゆるものが楽しく、美しく見える。
人間にはそういう力があるというお話を、
『ウソをつく力 赤塚行雄』より。

 第二次世界大戦中のドイツ軍捕虜収容所でのこと。
捕まったフランス捕虜たちは、絶望し、イライラしたりケンカをしたり、節度のないだらけた状態におちいっていた。軍隊としての規律や礼儀正しさを失っていた。(戦争と平和の、撤退ナポレオン軍もボロボロでした)

 一人が提案をする。ここには女性は一人もいない。けれども、もしここに、フランスの美しい女性がいたとしたらどうだろう。少女がいると思って行動しないか。大声で怒鳴ったり、裸になったりしたときは、彼女にあやまろう。彼女に気に入られるように、紳士的に振る舞ってみよう。

 この提案は成功して、道徳心と規律が戻ってくる。ドイツの監視兵たちが立ち聞きをすると、どうやら少女をかくまっていると疑われる。ドイツの所長がやってきて、女性を引き渡せと要求する。

 提案した男は、ウソですとは言わず、断じてこの女性は渡せないと言う。この女性に命をかけようと思っていた。この男は逮捕されて、汚い独房に入れられる。他の兵士たちは、この姿を見て感動する。本当に少女はいるんだ。
 
 その男は、数週間の尋問にも耐えて、痩せて戻ってきた。兵士たちは大喜び。命をかけてわれらの少女を守ったのだ。どうして耐えられたのですかという質問に。

 「目に見えないフランス少女を守るという想像力が、もう一つの現実をつくる力になったんだ。だからぼくはへこたれなかったんだ」

 恋する若者は、むこうからやってくる少女を見て、胸をときめかせる。現実にはそんな少女はいない。それはウソなのであるけれど、人間というものは現実を再構成できる存在であり、その再構成に「意味」を発見して、生き生きと生きようとする。

 私たちは毎日、同じような生活をしている。だから日常が退廃して、「意味」を失ってしまう。ときどき「意味」を深くかいま見ることが必要で、「意味」を見つけると、生きようとする「意志」が、再び生気あふれるものになる。
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[2014/06/19 19:15] | おすすめの本 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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