『八月の光』とフォークナー
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あれから読んだの、カフカの『失踪者』
フォークナー『八月の光』(原題:英語: Light in August )
フォークナー『アブサロム・アブサロム!』(原題:Absalom, Absalom! )


 ウィリアム・フォークナーの、といっても初めて読んだのですが、『八月の光』です。「戦争と平和」以降、カフカの『失踪者』が特にひどいけど、ほとんど全体の構成がおかしいというか、小説の最後がしまらないで終わっている感じだったのです。

 ところがこのフォークナーは違いました。プロローグとエピローグがガッチリしています。ゴシック建築を見上げるような立派さです。あまりによかったので、もう一冊『アブサロム・アブサロム!』というのも借りてきました。2冊、一週間で読みました。

 ところがこの2作品、同じ架空の街の話でした。南北戦争や禁酒法時代の合衆国。付いている地図も同じもの。解説によるとヨクナパトーファ・サーガ(といわれる連作)の中では第5作目と第6作目であるという。架空の土地「ヨクナパトーファ郡ジェファソン」という街で起こった事件。

 てことはバルザックの小説のように、同じ街や同じ人物が登場する小説をたくさん書いたっていうことだ。バルザックの場合は、舞台設定は同じでも、それぞれの小説でテーマが違っているようだ。「谷間の百合」と「ゴリオ爺さん」しか読んだことがないが。

 『八月の光』の主人公はリーナ・グローヴという妊娠して子供が生まれそうな女性。『アブサロム・アブサロム!』は流れ者トマス・サトペンとその一族のお話であるが、お話の中心はそうではないのだ。

 『八月の光』ではジョー・クリスマスという流れ者の話が全体のほとんどを占めている。『アブサロム・アブサロム!』では息子のチャールズ・ボンが問題の中心だ。この二人の血筋が同じなのだ。今では何をそんなに気にしているのかわからないぐらいの、僅かな血の問題だ。こんな事を、明るみに出したり、ヤジを飛ばしたりしたら、都議会議員のように責められ、ウーマンラッシュアワー 村本大輔のツイッタ―のように炎上することでしょう。

 それは、白人としか見えないけれど、8分の1だけ黒人の血が混じっているということだ。この時代、黒人は奴隷であろうがなかろうが、人間扱いされていない。たとえ16分の1でも、黒人の血が混じっているというだけで、黒人扱いだ。それどころか、ホントは黒人のくせに、白人のふりをして欺していた悪人よばわり。江戸時代の武士と町人みたいに「切り捨て御免」、たった100年ぐらい前なのに。

言い忘れていた。同じ町の舞台設定のせいもあるのか、端役まで人物描写が自然で説得力がある。まるでトルストイのようだ。『響きと怒り』も読んだほうがいいかな。


八月の光 (新潮文庫)
アブサロム、アブサロム!(上) (岩波文庫)
響きと怒り (上) (岩波文庫)

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[2014/07/07 17:36] | おすすめの本 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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