『タンホイザー』 バイロイト2014 第2幕
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『タンホイザー』2014.8.12  バイロイト祝祭劇場 ライブ収録
Ⅰ.58m12s Ⅱ.68m30s Ⅲ.50m16s
指揮:アクセル・コーバー
演出:セバスティアン・バウムガルテン

タンホイザー:トルステン・ケール★
ヘルマン:ユン・クヮンチュル
ウォルフラム:マルクス・アイへ
エリーザベト:カミラ・ニールント
ヴェーヌス:ミシェル・ブリート  


 第1幕が終わった後、これは劇場でもこんなことをやったのか映像だけなのか理解できないのだが、台本読み合わせみたいな、それも指揮者の指示の入った、念入りなものが映し出される。リハーサルの初期段階のものなのか。それが長く続いた後、長い説名の字幕と、日本語訳が表示される。「149人という人数が最適だ」「人間の排泄物もバイオガスの精製に利用される」など読む気にならない。

 第1場は基本的にタンホイザーとエリーザベトが歌うところである。ヴォルフラムは灯油缶のようなものに、エタノールを注いだりの作業をしている。その間、エリーザベトに払いのけられる。どう見ても二人のじゃまをしているとしか思えない。二人はイチャイチャし、タンホイザーがエリーザベトにのしかかると、ヴォルフラムが割って入る。タンホイザーが長く歌うところでは、公証人らしき人が現れ、タンホイザーの手を取って、何枚かの書類にむりやりサインさせる。何か契約をしたのだろう。

 歌合戦の場に続々登場する。ヘルマンはいかにも東洋人体型で、顔が大きくて変だ。みんな034とか番号の入ったタンクトップを着ている。行進曲の間には、全裸でタンクやボイラーやトイレの使い方・歩き方のマニュアル映像がくり返し流れる。丸いヴェーヌスベルグの天上がちょっと持ち上がって歌合戦の中央舞台となる。回りにも二階にも人がびっしりと埋まり、なんだか普通の歌合戦ぽくなってきた。不良の牧童もヴェーヌスも目立った場所にいる。

 タンホイザー以外の歌手は、目のまわりに、黒をマジックで塗ったみたいなサングラス風な顔をしている。タンホイザーは時々ヴェーヌスのところへ行ってイチャイチャする。タンホイザーの最後の歌では、ヴェーヌスも舞台へ上がって一緒に踊る。これで正体がばれると、二人の乗った丸いヴェーヌスベルグが持ち上がってきて、階段を使い檻のようなものの中に入る。

 エリーザベトは剣を持って叫ぶ。それから手に刺して手を血だらけにする。円筒引っ込み、背景に乳房を出したマリア映像が映る。タンホイザーの白い服にも血がつき、エリーザベトの血は腕から両胸まで赤く染めた。他の騎士はバケツなどを持って後に控え、二人だけが前に出て、熱唱して幕となる。

 音楽はヴァルターが歌うところと、終結部からして、ドレスデン版のようだが、なんだか聴いたことのない音がする部分があった。回りの背景や演出はだんだん気にならなくなり、最後は普通に感動的であった。不思議なことに。

 ヴェーヌスベルグへ行ったとは、臨死体験した人とか、世に受け入れない天才芸術家のようで、トルストイ風、幸福な家庭には戻れないのである。ヴォルフラムやヴァルターやビテロルフの方が、洗脳されて幸福だと思いこんでいる。この演出の「自給自足型製造所」というヴァルトブルクは、自由な世界であるヴェーヌスベルグの食料生産基地と上排水施設ではないのか。そこで働く人よ、目を覚ませ。
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テーマ:音楽 - ジャンル:学問・文化・芸術

[2014/11/05 17:54] | タンホイザー | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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