京都人の密かな愉しみ
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 ここ数年、京都の人が優しくなったような気がしている。
 お店にありがたくないシングルの客なのに、奥の眺めの良い席が空いたからといって移動させてくれたり、頼んでないコーヒーをつけてくれたり、となりにすわったご夫妻が、人のいない名所を教えてくれたり。京都が変化したのか、私が変わったのか。十年以上、毎年訪れている成果があらわれて来ているのか。京都人というのは、よそものを受け付けないのはもちろん、友人や近所の人までにも壁を作ったつきあいをしている、という話もある。年始にとてもいい番組があった。

「京都人の密かな愉しみ」Le Charme discret de les gens de kyoto BSプレミアム

 京都を愛好し長年研究している、イギリス人学者の視点から見た、京都人の魅力と不思議を写し出した、ドキュメンタリーっぽいドラマです。ドナルド・キーンさんが目に浮かびます。私が最初に見たのは2時間ものでしたが、先週の再放送では「作法編」「縁結び編」「秋から冬の味覚編」「代替わり編」と、30分4本立てに再構成されていました。
 主筋となる内容は、「300年近く続く大きな老舗菓子屋の若女将」と「洗い屋職人の息子」が、家業を継ぐのに抵抗があり、自由に生きる方向を選ぶか葛藤したが、結局は伝統を受け継ぐ立場となる。

 ほとんどの人は、自分は自由に生きていると思わされているだけで、縛りがないと生きていけない。「個性を尊重する」とか「自分探し」などといった最近の風潮に釘を刺す養老孟司さんに言われるまでもなく、「自分に合った仕事」なんてものはないし、十年二十年とひたすら師匠の真似をして、それでも折り合わないのが「個性」というものでしょう。

 京都人は、他人に迷惑をかける事を極端に嫌う。だから必要とされる仕事を絶やさないようにする。それでいて人を侵さず、他の干渉を嫌う。京都で生活する暗黙のルールを、子供の頃から叩き込まれている。円滑なルールを乱すよそ者は受け入れない。

 就職先の内定が決まったので東京へ出たいと頼む職人の息子。当然ひどく反対されると予想された父親の返事は「おまえの人生なんだから、おまえの好きなようにしていい」拍子抜けした息子にさらに「おれには出来なかったからな」と。父親には、息子に継いでほしいという気持ちと、こんなつらい思いをするのは自分の代で終わりにして、息子には自由に生きてほしいという気持ちがある。

エンディングに「京都慕情」が流れていた。
(オリジナルの渚ゆうこではなくて、ゆったりと武田カオリが歌っているが、とてもいい)

 あの人の姿なつかしい 黄昏の河原町
 恋は、恋は弱い女を どうして泣かせるの
 別れのつらさ知りながら
 遠い日は二度と帰らない 夕やみの桂川

 京都の家業を継ぐほど素敵なことはない。

京都人の密かな愉6

京都人の密かな愉7

京都人の密かな愉5

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テーマ:日本文化 - ジャンル:学問・文化・芸術

[2015/02/15 17:57] | おすすめの本 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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