おとなになる
 いつだったか大江健三郎の文章を読んでいたら、三世代にわたる海外でも有名な日本の文学者について書いてあった。先輩世代では谷崎潤一郎、川端康成。同世代では三島由紀夫、安部公房。後輩で現在圧倒的に売れているのが村上春樹と、吉本ばなな。大江らの真ん中世代がいちばん売れないんだとぼやいていた。

 村上春樹の長編はだいたい読んでいるが、吉本ばななは、それほど有名ではなさそうな作品を二作読んだことがあるだけだった。長い作品でないと興味がないのだ。有名な「キッチン」も読んでいなかった。それで、先日、小説読み始めたいのだが、何から読んだらいいかという質問に答えて「キッチン」と言ってしまった。人に勧めておいて自分が読んでいないのもいけないと思い、読んでみた。

そしたら有名な「キッチン」は、とても良かった。感動した。それで、調子に乗って図書館から吉本ばななの本を六冊借りてきた。そのなかで、最も短い、子供向けエッセイとでもいった「おとなになるってどんなこと?」をすぐに読んだ。これもすごく良かった。なにが良かったのか、はっきり言えないが、すこし書き出してみます。


 いちばん大事なことは、自分の中にいる泣き叫んでいる子どもを認めてあげることです。ないことにしないことです。そうすると心の中に空間ができて、自分を大丈夫にしてくれるのです。大人になるということは、つまりは、子供の自分をちゃんと抱えながら、大人を生きるということです。

 たくさんの時間を共有して、お互いの匂いやいやなところを知っている体の言葉と、精神的に同じ価値観を共有している精神の言葉と、両方を備えていないと友だちとは呼べないと私は思っています。
 
 本当に友だちと呼べる関係になるには、長い時間がかかると思っています。だから人生の中でそんなにたくさんの友だちができるはずがありません。恋愛と置き換えるととても簡単なことですが、毎日のように会っていても、たとえその人とセックスしていても、お互いが「あなたがとても好きです、恋人と呼んでもいいですか?」と約束を交わさないと恋人とは呼べません。

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[2016/12/11 16:25] | おすすめの本 2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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