騎士団長殺し届く
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 最近、夏目漱石の、虞美人草、彼岸過迄、行人、明暗を読んだところで、半年に一冊づつくらいのペースで出ている吉川 一義訳の「失われた時を求めて」を借りてきた。10巻と11巻、囚われの女である。この2冊だけで、漱石4冊文に匹敵するだろう。

 そこで読み始めたら、図書館からリクエストしていた「騎士団長殺し」が届いた。この本は、毎度ながらさいたま市の図書館では1000人待ち状況だったのだが、春日部市では半年ほど待って届いた。

 両方はムリなので「失われた時を求めて」は、早速返却した。(この本は、いつでも借りられる)「戦争と平和」と「カラマーゾフの兄弟」を2週間で読めと言われても、はなからムリだろう。あるいは「ニーベルングの指輪」を1日で聴け、と言われたら、ああ、何とかできるか。

 そんなわけで読み始めたのだが、2日で半分、つまり一冊読めてしまった。結局、4日で2巻読めた。続けて「失われた時を求めて」も読んでもよかったのだ。7年ぶりの長編、「カフカ」並の長さでありながら、読み終わって『スプートニクの恋人』『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』のような短めの小説を読んだ感じしかしなかった。後半にクライマックスもなかったし、いつものように穴倉探検がある以外は、それほど事件は起きない。ちともの足りない。

 しかしなんと、愛好している「草枕」のように主人公がオペラ好きの画家の話ではないか。冒頭で、画家が妻に逃げられる。その女性関係も親近感が持てる、というか似たような経験があるような気がする。ただ、やたら別れた奥さんとか、死んだ妹のことを繰り返し考えるところは執着しすぎで気分が悪くなる。

 「ドン・ジョヴァンニ」が主題音楽なのもいい。次に、《薔薇の騎士》。村上春樹はいつも具体的に演奏者を挙げるが、なんでまたよりによってゲオルク・ショルティ指揮ウィーン・フィルハーモニーの演奏なんだ。クライバーとかカラヤンとか、ベームとかバーンスタインとか(クナッパーツブッシュとか)いろいろあるではないか。

 主人公の友人も、画家の息子で美大出なので、絵画論が雄弁に語られる。他の人もやたらと絵を見る目がある。ここで語られる絵画論は、文学論の焼き直しではないかと思われる。ともあれ「草枕」の画工の説と同様、すなおに納得はできない。しかし村上さん、古典音楽といい、絵画といい、造詣が深そうに見える。これも翻訳で読むと、素晴らしいのかもしれない。


騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編
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[2017/07/16 18:15] | おすすめの本 2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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