門下生への手紙
  ただ一つ君に教訓したき事がある。

 僕は子どものうちから青年になるまで、
 世の中はけっこうなものと思っていた。

 旨いものが食えると思っていた。
うつくしい細君がもてて、
 うつくしい家庭ができると思っていた。

 換言すれば、これらの反対をできるだけ避けようとしていた。

 然るところ世の中にいるうちは
 そこをどう避けてもそんな所はない。

 不愉快なものでも、嫌なものでも一切避けぬ。

 進んでその内へ飛び込まなければ、
 何にも出来ぬということである。

死ぬか生きるか、命のやりとりをするような、
 維新の志士の如き烈しい精神で文学をやって見たい。

1906年 明治39年 39歳の夏目漱石


  昨日、偶然50年前の夏目漱石全集の解説を読んでいたら、この文章の原文らしいものが載っていた。
これの3倍ぐらいの量があった。今では使わないような言葉もあった。
ここでは、わかりやすくちょっと変えてある。
              
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[2017/07/19 17:34] | おすすめの本 2 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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