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オペラ サモトラケのニケ
なぜだか、ただいま『フィガロの結婚』特集と……『ドン・ジョヴァンニ』が割り込んできました。
『ワルキューレ』 二期会 飯守泰次郎 東京フィル 東京文化会館
二期ワル小


 恥ずかしながら、わたくし、『ワルキューレ』を舞台で見るのは初めてです。この点、ワーグナー愛好家のみなさまとは格段のキャリアの違いがありまして、みなさまのを読ませていただいただけで満足してしまって、いったい何を書いたものでしょう。

飯守泰次郎 指揮 東京フィルハーモニー交響楽団 東京二期会公演
演出:ジョエル・ローウェルス 東京文化会館 2008年2月21日(木)
衣装:小栗菜代子  照明:石井リーサ明理  舞台監督:小栗哲家                       
ブリュンヒルデ=====桑田葉子
ヴォータン=======泉良平
フリッカ========増田弥生 (押見朋子の代役、別キャスト日のグリムゲルデ)
ジークムント======大野徹也
ジークリンデ======増田のり子
フンディング======小鉄和広

 演出でドキッとしたのは、なんといっても第一幕、カーテン越しの部屋の奥にベッドがあり、ジークリンデの上にフンディングが、足を踏ん張り、しっかり乗りかかるのが見える、見えてしまった!ってところです。小澤「タンホイザー」の時も、(思いっきり横の席だったので体の前の方まで見えたのですが)、ヴェーヌスが一糸まとわず立っていたのにも驚きました。こんなもんなんでしょうかね。

 ビデオで見ていると、たいてい、ほとんど退屈で眠い「第2幕」『フリッカの説教にグウの音も出ないヴォータンの場面』です。しかし、面白かった。第2幕の中でフィナーレを除けば、ここがいちばん緊張感を持って、ワクワクしながら見れました。フリッカにはかないませんなー。
 サンマも言ってました「シウバに勝てるのは、大竹しのぶだけや」

 この演出では、さまざまな場面でヴォータンとフリッカが、劇の進行を見守っている、というか見張っている。睨んでいる。みんな行動ががんじがらめに縛られている。どこかの国民みたいだ。ブリュンヒルデみたいに、ちょっと羽目を外すと、羽根をとられるんだな。自由人ジークフリートの登場がまちどおしい。『ジークフリート』単独でやってくれるのはいつのことか。


 そんでもって、なにしろ『ワルキューレ』見るのは初めてなので、
「これが常識や!そんなことも知らんのか!」とイエローカードを覚悟の上で、気になってしょうがなかったこと。

★『オーケストラピットが低すぎる! おまけに蓋をしている。』★

 『トリスタンとイゾルデ』と『マイスタージンガー』は2回ほど見ているし、ただしNHKホール、『オランダ人』『タンホイザー』2回はここ東京文化会館で、昨年も若杉『ダフネ』と小澤『タンホイザー』で見ているが、こんな感じじゃなかったはず。一階でごらんの方は分かりにくいのかもしれないが、指揮者の飯守さんも登場して客席に挨拶するときだけ踏み台に登って体を出していたが、その後は頭も出ないぐらい沈んでしまう。後ろの方の座っているオケ部員の頭からピットの上まで1.5mぐらいある。ほぼブリュンヒルデ一人分弱。そして、オーケストラピットの舞台側に、1m幅ぐらいの覆いがついている。ちょっとだけバイロイトに似せているのか。一階後方の人には、この覆いが効果があったのかも。
ええい、伝わらないだろうから、図解します。

二期ワル図


 舞台装置と照明は概ね美しくてよかったと思います。斜めになった四角い舞台の、表面テクスチャがとても目障りの良いもので、その上で歌手が動き回るのを見るのを気分良くさせています。いつも、プロンプターボックスがあるあたりに、四角い井戸のような物が置いてあり、その中からきれいな光が漏れているのも、意味は分からないが、趣があります。

 それから第三幕、舞台奥にワルハラなのか天国なのか、かすかに見える扉に向かって階段を亡くなった英雄たちが登っていく姿も、伝統的西洋絵画『聖母被昇天』のように、魂の浄化の過程を見ているかのよう。同様に、最後にブリュンヒルデが火に包まれる所も、太い蝋燭っぽい火柱の中に、彼女が見え隠れするのも、ヴェネチアングラスの逸品を見ているような美しさがありました。

 歌手については、知ってる人は一人もいないので、なーんにも説得力がないが、男声陣は、ちょっとお疲れ気味の声だと思った。といってもそれほど悪いわけじゃない。いつもだいたい不満はあるものだ。女声3人、ジークリンデ、ブリュンヒルデ、フリッカについては、日本人としては、ほぼ文句のつけようのない立派な出来映えではないかと満足しています。

 オーケストラの演奏、多少のミスはみられたものの、音楽の流れが滞ることなく生きづいていて感動に浸りました。きっと『ワルキューレ』のような大曲を、そつなくまとめるだけでも大したことなのに、こんなにも音楽が心に染み込む自然な流れを作り出すとは!いや、飯守泰次郎さん、お見事です。



テーマ:クラシック - ジャンル:音楽

この記事に対するコメント

にけさま、こんにちは。この日は2階席でしたので、私もオケピットや飯守さんの指揮ぶりが全望できました。
にけさんの、素晴らしい再現画像、完璧ですね。見入ってしまいました!
私には絵心なく、言葉の長たらしい羅列です。こうして自分の観劇の記録が残せるのもblogの楽しみですね。
オケピットは、普段より深かったですね。文化会館も悪くないと思いました。
今回2回とも、ちょいと泣きすぎました。
【2008/02/24 13:54】 URL | yokochan #- [ 編集]


よかったですね。オデュッセウスは感激しっぱなしで、ちょっと大変でした。
オケ・ピットは本当に深かったですね。高さを調節できるらしいですが、おそらく最も深くしてるんでしょうね。
今回のスタッフによる『ジークフリート』『神々の黄昏』(もちろん『ラインの黄金』も)制作を強く希望したいです。
【2008/02/24 19:02】 URL | オデュッセウス #- [ 編集]

yokochanさん、ありがとうございます。
yokochanさんのを拝見して、アチャーこれ以上書くことないじゃない、と思って2日ほどほったらかしにしていました。
オケピットのことを言いたくて図解してみたんですけど、毎回書いておけば、舞台を思い出す手がかりとして、のちのちいい記録になるかもしれませんね。
それにしても、ダブルキャストの2回とも見に行くなんて、なんて熱心な。
もうちょっと、見習わねば。
【2008/02/24 19:13】 URL | にけ #- [ 編集]

オデュッセウスさん、ありがとうございます。
オケピットの高さが変えられるなんて、今回初めて知りました。
まだ経験不足で、感激しっぱなしとか、涙をうるませるとかまでは浸り込めないのですが、それでも昨年のベルリン『トリスタンとイゾルデ』以来の感動です。
次が待ち遠しいです。
【2008/02/24 19:29】 URL | にけ #- [ 編集]

ワルキューレの音に包まれて
いつも拝見させて頂いています。フィガロと申します。
この世の最高の音楽はモーツアルトの「フィガロの結婚」と思っていますので
ハンドルネームは「フィガロ」。貴兄が2007年のベストに選ばれたベームのあの「フィガロの結婚」。
同感であります。「ワルキューレ」私も聞いてきました。音が素晴らしかったです。NHKホールの
ベレンボイムもあれはあれでよかったですが、今回の押えた音が素晴らしく、至福の4時間でした.
今後も貴兄のページ楽しみにしています。
【2008/02/25 17:40】 URL | フィガロ #- [ 編集]

フィガロさん、同感です。
わたしも、「この世の最高の音楽はモーツアルトの「フィガロの結婚」と思っています」
ベームのフィガロの結婚、納得していただいていたのですね。なんだ、もっと早く言ってくださいよ。自分の趣味が変わっているのかと思って、発表するのをためらっていました。
NHKホールよりずっと音が良かったですね。
これからもよろしくおねがいします。
【2008/02/25 20:28】 URL | にけ #- [ 編集]


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