レオナルドの真作 美しき姫君
平等院006


姫君003




年末にBS朝日でも放映された、レオナルドの真作のお話です。
『美しき姫君 発見されたダ・ヴィンチの真作 マーティン・ケンプ』より。


 わたしたちの前に姿を現わしたのは、十九世紀の精巧な模倣品ではなく〝本物″だった。何度もこの目で検分し、科学分析を重ねた結果、わたしは、『美しき姫君』と仮に名付けたこの肖像画がレオナルド・ダ・ヴインチの傑作であることを、微塵の疑いもなく確信するに至った。本書は、この世紀の大発見を初めて包括的に検証した一冊となる。

 今まで知られなかったダ・ヴインチの本格的な作品が日の目を見るというのは、希有の上にも希有な出来事だ。この五十年間に発見されたのは、どちらかといえば軽い作品が数点。紛い物の大作ならいくらでもあったし、その中には第一級の贋作と呼べるものも交じっていた。白眉は一九六七年、マドリッドのスペイン国立図書館で、長らく所在不明だった稿本が見つかったことだろう。

 だが、この 『美しき姫君』 ほどの絵は今まで一度も登場しなかった。単に〝絵″と呼ぶのが申し訳ないくらいに美しく整えられたその色彩と色調は、色チョークとペン、茶色のインクの絶妙なバランスが紡ぎ出したものだ。ヴュラム(子牛皮紙)の上に広がる、巧赦をきわめた賓沢品最高レベルの色彩、色調、構図を備えた、チョークによる一大名画だ。絵画としての完成度、科学的データ、時代背景。さまざまな要素がすべて、この作品は真作だと告げている。


何が証明されたのか?
 ここまで、われわれはあらゆる角度から調査を行なつてきた。とはいえ、結局のところ、この子牛皮紙に色チョークで措かれた横顔の女性像は、ほんとうにレオナルド・ダ・ヴインチが一四九〇年代半ばに描いた肖像画なのか? ほんとうにモデルはビアンカ・スフォルツァなのか? 決定打となるような証拠はひとつも見つかっていない。

 一方、ルーヴル美術館の『モナ・リザ』が、ダ・ヴインチが措いたリザ・ゲラルディーニ(フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻)の肖像であり、一五〇三年の着手から長い年月を経て完成したという通説にも、証拠はない。本物の 『モナ・リザ』だと主張される絵が、少なくとももう一枚存在するし、モデルの正体についてもさまざまな説が出ては消えてきた。

 そんなモナ・リザ・デル・ジョコンド″像が、ダ・ヴインチの自筆作品として認められるに至ったのは、いくつもの情報が結びつけられた結果であり、何よりもこの絵が、ダ・ヴインチの活動の全体像をとらえるうえで大きな手がかりになつたためだ。

 いくつもの情報を結びつけ、蓄積した結果、われわれは 『美しき姫君』 の作者がダ・ヴインチだという結論を導き出した。技法と描画材の特徴、専門的調査で得られた結果のそれぞれが、この絵はダ・ヴインチ作だと主張している。

 描画材と土台に見られる破損と修復の跡は、まさしく五百年余を経た絵画のそれだ。肉眼で見える表面も、その下の層も、大部分の描画は左手によるものだった。画面に残されていた指紋と掌紋も、ダ・ヴインチ特有の画法をかんがみたうえで注目された。事実、皮紙の左端に検出された指紋は、ダ・ヴインチ自身の手が子牛皮紙に触れたという強力な(決定的ではないにせよ)証拠と見なせる。





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テーマ:絵画・美術 - ジャンル:学問・文化・芸術

[2011/02/10 17:32] | 美術の本 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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