「ドン・ジョヴァンニ」 ブルーノ・ワルター指揮 メトロポリタン歌劇場ライブ1942
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☆エツィオ・ピンツァの「ドン・ジョヴァンニ」 違うCDだけど


 先週、いつもは見ることのないブックオフの中古CDコーナーを見ていて、\1250の値札がついた「ドン・ジョヴァンニ」のCDを見つけた。けっこう他のCDは、高くて買う気がしなかったが、これなら外してもいい値段だ。音、悪そうだし。

 ワルターということはわかるが、輸入盤なので、配役などわかりにくかった。
ピンツァ、ノヴォトナ、サヤン、キプニスとメトの常連みたいな歌手が載っているので、まあ、あの有名なワルター盤だろうとおもって買った。

ブルーノ・ワルター指揮 07/03/1942 NUOVA ERA 1989 Made in Italy
ドン・ジョヴァンニ=======エツィオ・ピンツァ
ドンナ・エルヴィーラ======JARMILA・ノヴォトナ
ドンナ・アンナ=========ROSA・バンプトン
ドン・オッターヴィオ======シャルル・クルマン
レポレロ============アレクサンダー・キプニス
ツェルリーナ==========BIDU・サヤン
マゼット============マック・ハーレル
騎士長=============ノーマン・コードン


 これが聴いてみたら、音質が良い。
今まで、メトのライブというと、「ジークフリート、タンホイザー、フィガロの結婚」を持っているが、そのどれよりも音がいい。最近聴き直した、「フルトヴェングラーのスカラ座リング」よりもはるかに良くて、カラヤンの1950年スタジオ録音の『フィガロの結婚』と同じくらい聴きやすい。

 なにしろ安価に売っていないために、名演と評判の高い、1937年ザルツブルグ音楽祭ライブは、両方とも聴いていない。したがって、こっちの方がすごいとは言えないのだが。このメトのワルター録音、「フィガロ」は音質がひどくて楽しめなかったが、「ドン・ジョヴァンニ」はひと味違う。

 最近、現代的なキビキビ速くて軽い演奏が多くて、ガーディナー、ハーディング、そして期待していたアバドなどの演奏に、ちょっとガッカリしていたところだ。そこにこの圧倒的名演。まだ、フルトヴェングラーもベームもカラヤンも採り上げていないけど、このワルター盤が、もっとも衝撃を受けた演奏であるのは間違いない。
なにしろ、もう4回も聴いた。

 こんなに激しく胸を掻きむしる「ドン・ジョヴァンニ」は聴いたことがない。
序曲から、オケの全奏にティンパニの強打が、まるで絨毯爆撃のよう。最初からエツィオ・ピンツァの見事な声量のある声。こんなエンジン吹かしすぎの演奏で、最後まで持つのだろうか。

 エツィオ・ピンツァは、ワルターのザルツブルグ、メト両方の「ドン・ジョヴァンニ」「フィガロの結婚」で主役を歌っている。ピンツァなしでは上演できない。

  ピンツァについてドナルド・キーンの本から抜粋すると。
《敬愛する数多くの女性歌手の中から、さらに最愛の歌い手をただ一人選び出すなどということは、至難の業といっていい。フラグスタート?シュヴァルツコップ?カラス?それとも現役の誰か?その時の気分によって、答えは変わりそうだ。だが、男性歌手の場合、誰が最高か、まったく疑念の余地がない。エツィオ・ピンツァだ。》

 ドン・ジョヴァンニもドンナ・アンナも、もちろん指揮もフルトヴェングラー盤よりもいい。そして、序曲もさることながら、なんといっても第10曲ドンナ・アンナのレチタティーヴァとアリア。この曲は、このオペラの要、「ドン・ジョヴァンニ」の主題のような曲。アンナは、ドン・ジョヴァンニこそ、父親を殺した犯人と気づき、ここに復讐を誓う。ベーム、カラヤン両盤で歌っている、アンナ・トモワ=シントウも大好きだが、それもいまや霞んでしまう。

 第1幕フィナーレも、フルトヴェングラー、ベーム、カラヤンなどの巨匠は、テンポをほとんど変えないで、はやるオケと歌手を押さえるような緊張感を出しているが、ワルターは歌手がオケに付いていけないぐらい、ここまでやるか、思い切り盛り上げている。

 地獄落ちでは、騎士長の最低音に、ティンパニの強打、ピンツァの雄叫び、花火のような効果音まで加わって、ほんとに爆撃されているようだ。拍手が入っても、間髪を入れずの6重唱では、普通はちょっと気分を変え、しゃれた雰囲気にして終わるものだが、歌手たちは声を嗄らして歌い、拍手もかぶる怒濤の進撃のうちに曲が終わっている。






  


  

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[2011/11/15 18:48] | ドン・ジョヴァンニ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top
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