落ちこぼれの出ない教育
落ちこぼれの





 上司から部下に、あるいはベテランから新人に、ちょっとした注意をすると、
「そういうふうに上から言うの、やめてもらえますか。」
「その上から目線が、ムカつくんですよ。」
あたかも自分が被害者だとでもいうような、理不尽な態度をとる若者が増えてきている。
というところから、日本人の問題、日本の教育の問題点に迫っています。

『「上から目線」の構造 榎本博明』より


☆☆

甘えが強い人は被害者意識を持ちやすい
 ある40代の管理職は、最近は上司に叱られて傷ついたと総務に駆け込む若手が増えてきたという。「双方から事情を聴いてみると、上司が注意したのはもっともなことで、注意の仕方もとくに問題があるとは思えない。そんなケースがほとんどなんです」

 これらの歪んだ甘えの心理には、非常に自分勝手な被害感情が含まれている。ほめてもらいたいのに、ちょっとしたミスをして、叱られてしまった。失敗したのを自分が一番気にしているのに、慰めるどころか説教口調で注意してきた。いわば、甘えたい気持ちが受け入れられなかった。期待を裏切られた。そこに被害者意識が生じる。叱ったり注意したりした側にけっして非があるわけではない。でも、傷ついたのは確かなのだ。



 日本では、習熟度別クラス編成などしたら、下のクラスに入れられた子どもたちが劣等感を持つからかわいそうといった反応が出たりする。これは、父性原理に基づく国の人たちからすれば、理解に苦しむことだろうが、私たち日本人にとっては何の違和感もない。能力が違ったって、同じ年齢なら同じ学年。これは、まさに母性原理に基づく発想だ。

 では、母性原理や父性原理というのは、いったいどのようなものなのか。
 河合は、「よい子だけがわが子」というのが父性原理とすれば、「わが子はすべてよい子」というのが母性原理だとしている。

 母性原理は、「包含する」機能にその特徴がある。すべてをそのまま包み込み、個性や能力に関係なく一切平等に扱う。それは、保護的なやさしさではあるが、母親が子どもを守るがゆえに束縛するように、メンバーを温かく保護する代わりに、すべてのメンバーに一体感を強要するようなうっとうしさがある。

一方、父性原理は、「切断する」機能にその特徴がある。主体と客体、善と悪、上と下など、すべてのものを区別し分類して、その個性や能力に応じて扱いを変える。そうすることによっで個々のメンバーを鍛え上げていくが、ときに厳しすぎて個人を潰してしまうこともある。

 個人を厳しく鍛えて個々の成長に導くよりも、メンバー間にあまり差がつかないように配慮する「落ちこぼれの出ない教育」が重視される日本の教育風土も、集団の和を重んじる風潮も、母性原理のなせるわざと見ることができる。

 日本では、落ちこぼれを出したとしで教師や学校の側の責任を追及しがちだが、これは母性原理に基づく発想と亭える。良い面としては和気あいあいとした仲間意識が醸し出され、支え合いが起こりやすいが、悪い面としてはだれかが突出することを嫌うため、足の引っ頻り合いが起こりやすい。

 国政を見ていても、日本の総理大臣は、自分の主義主張で動くというよりも、自分の属する組織の中に不満が生じないようにみんなの要求充足のバランスをとることに腐心する。そのため、だれがなっても大して変わらないと椰喩されることになる。これも母性原理が強いことと無関係ではないだろう。




  


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テーマ:教育問題について考える - ジャンル:学校・教育

[2012/02/29 16:04] | おすすめの本 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
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コメント
ニケさん、こんばんは!
思わず、なるほど~と唸ってしまうお話でした。
良い悪いは別として、この考えは一理あるなって思います。

実は、ちょうど明日から新任職員が私の部下として入ってきます。
それも23歳の若い女の子。
優しく教えてあげようと思っていますが、私は結構はっきり物事を言うタイプなので、知らぬ間に上から目線と思われるかもしれませんね。
なんかやりにくい世の中になってきたな~(苦笑)
[2012/02/29 19:15] URL | picchuko #- [ 編集 ]
picchukoさん、ありがとうございます。

 自分が若くて、部下だったときも、かなり生意気な態度をとっていたような記憶があります。したがって、人に注意できるような立場でもありません。でも、うっかり年下の人に意見すると、ムカッとした顔をされるものです。

 平和ボケと、平等意識でこうなるんでしょうかね。上司にはなりたくないものです。

ドゥブロヴニクの大聖堂は、入りませんでした。残念!
[2012/02/29 23:17] URL | にけ #- [ 編集 ]
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